序編第三章25 『父親の温もり』
「よし、大体わかった。早速今夜から取りかかるな」
「わかったぞっ!」
メイザスとの相談は四時間にも及んだ。
なにせ、球の動きを毎回同じにするということは、一つ一つの球の動きから発射タイミングまで決める必要があった。
むしろ、四時間で終わったのが不思議なくらいだ。
「ずっと思ってたけど、これって小企画というより大規模小企画じゃない?」
「そうだなっ! 分類としてはそうなるぞっ!」
それを聞いて、リーファは腑に落ちる。
魔法陣を使ってこれほど規模の大きいことをするのにただの小企画になるというのなら、大規模小企画の規模がおかしくなる。
「ねぇねぇ! なんで魔法陣夜にやるのぉ?」
相変わらず無礼にタメ口で、メイザスに質問を繰り出すミファー。だがそんなミファーに嫌な顔一つせずに、メイザスは口を開く。
「魔法陣の書き方は知られたらダメだからだな」
「なんでぇ?」
「メルメルティティスの魔法陣の二の舞になるからだ」
「わぁ! 危ないね! でもでも! 完成したあとに見たら分析できちゃうよ?」
「いや、すべての魔法陣に認識阻害の魔法陣も組み込んでる。だから安心してな?」
「わぁ! ねぇねぇリーファ! ミファー国王様に頭撫でてもらってる!」
と、ちょっと胸を張ったミファーが言うが、なんで頭を撫でられただけで自信を持てるのだろうかと、リーファはジト目になる。
「それとマレちゃん、会場付近は閉鎖してもらうよう言っておいてくれな? 閉鎖理由も隠匿だ」
「わかったぞっ!」
「そんなに危ないの……」
魔法陣の書き方を知られないために会場付近を閉鎖し、あまつさえその理由すらも隠すなんて、どれだけ知られたらまずいのだろう。
「んっ……」
「大丈夫だ」
頭にメイザスの手が乗って、撫でられる。
同時に発されたその言葉を聞くと、リーファは不思議と不安が和らいだ。
「…………」
頭の上で動くその大きな手の温もりで、父親に撫でられていると感じた。
お父さん……
思い返すように内心で呟いて、目を細める。
それからメイザスの顔を見上げて、
「ねぇねぇリーファリーファ! こんなにすごいならティアラも驚くね!」
「ティアラちゃん?」
「ぅ、ううぇ!? ティアラのこと知ってるのぉ!?」
「ティアラ、屋敷で魔法陣書いてるのを見たって言ってた……」
「あっ! そおだったぁ!」
「ティアラちゃんの友達なのか?」
「うん! 仲良しだよぉ!」
「それはよかった」
会話するメイザスとミファーを他所に、リーファはマレディクトゥムに声をかける。
「今日はこれで終わり?」
「そうだっ! 今日はこれで終わりだぞっ!」
「わかった。ミファー帰ろ」
「ん? わかった! 国王様! バイバイ!」
国王に向けてバイバイとはいかがなものか。
リーファは半目になりつつも、メイザスにぺこりとお辞儀して、ミファーと一緒に教室をあとにした。
明日は22時10分に投稿します。




