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第一章68 『取り決め』


 またか、と、リーファは思った。

 レリーファと勘違いされるのはこれで三回目か四回目か。だがこれまでと明らかに違うのは、レリーファの父親であるはずの国王が見間違えたことだった。


「ど、どこに、行ってたんだ」


「あっいえ、あの……」


 真実を明かそうとするが、リーファはその残酷さに気付いて口が閉じる。

 半年近く失踪していた娘に会えたと思っている父親に、それが勘違いであることを伝えるなど、リーファには――、


「別人だぞっ!」


「えっ……」


 隣、マレディクトゥムがミファーに抱き着かれながらバッサリと誤解を解いた。

 それに思わず、リーファは素っ頓狂な声が出る。


「……そ、そうか、そうだよな。学園にレリーファがいるなら、俺に連絡が来ないはずがないよな…………」


 その切ない表情に、リーファは自分の唇を噛んだ。

 それをみて空気を悪くしたと気付いたのか、メイザスは両手で自分の頬を叩いて、調子を戻す。


「――プラステル王国国王、メイザス・ウォン・アスカムだ。よろしくな」


 さっきの揺れを一瞬で隠して、凛とした面持ちで自己紹介をするメイザス。

 その変わりようにリーファは驚いて目を見開いた。ハッとして自分も自己紹介をしなければと思って口を開いても、声が出なくて、


「ミファーはミファー! ミファー・メルティス、です!」


 マレディクトゥムから離れてメイザスに向き直ったミファーが自己紹介を繰り出す。

 さすがのミファーも、国王相手には敬語を使うのか、とちょっと感心しつつ、リーファは深呼吸して、


「リーファです」


「マレディクトゥム・フォーカルス! 不老不死の天才だっ!」


「ミファーちゃんに、リーファちゃん、そしてマレディクトゥムちゃんな。君の話は聞いててな、異常はないか?」


「いつも通りだっ!」


「そうか……」


 マレディクトゥムに問いかけたメイザスが、返ってきた返事に悲しそうな辛そうな表情を浮かべたのを見て、ミファーとリーファは顔を見合わせてお互いに首を傾げた。


「よし、じゃあ始めような。聞いた話だと、球避けの小企画だったな」


「そうだぞっ!」


「じゃあ魔法陣で何をしたいのか教えてな」


「ミファーはね! 避ける球が曲がると面白いと思う! ……あっ! 思います!」


 思い出したように敬語で言いなおすミファーを前に、リーファはジト目になる。


「無理に敬語じゃなくていい」


「ほんとぉ!? やったぁ!」


「ぁ……」


 メイザスの気遣いを受けて一瞬で敬語を崩すミファーに、リーファはさすがに言葉を失った。


「マレディクトゥムちゃん、俺は球避けが何なのかまだわかってないんだ。説明頼めるか?」


「マレでいいぞっ! 説明するぞっ!」


 ここにはまともな奴がいないのだろうかと、国王にタメ口を利くミファーとマレディクトゥムにリーファは呆れるしかなかった。

 そんなリーファに構わず、マレディクトゥムは黒板に四角形を描いて、


「この舞台の中で飛んでくる球を避けるという小企画だっ! 二人の提案で剣を使えるようになったから、難易度は高めに設定するつもりだぞっ!」


「なるほどな。ミファーちゃんが球が曲がった方が面白いって言ったのは、この飛んでくる球のことだったんだな」


「そおそお!」


 メイザスは唇に指を当てて、考えるような仕草を取る。

 そんなメイザスを横目にしながら、リーファは一歩前に出た。


「リーファ?」


 不思議そうな声を出すミファーを他所に、リーファはマレディクトゥムが描いた四角の上面の真ん中に小さめの四角を描く。


「私は、ここに縦に長い四角い台を作って、そこに手をかざしてゲームを開始できるようにするのがいいと思う」


「そうだなっ! それはいい案だっ! できるかっ!」


「あぁ、それなら可能だ。それより、球の発射をどういう形式にするかだな」


「はいはいはい! ミファーは毎ゲーム同じ動きがいいと思う!」


「どうしてだっ!」


 手をピンと伸ばしたミファーの案を、マレディクトゥムが掘り下げる。


「えっとねぇ、同じ動きだったら、何回も挑戦すればクリアできるって思っていっぱいやってくれるかもじゃん!」


「……ホントにミファー?」


「……今ミファーのこと悪くゆったぁ!?」


 ミファーらしくない良い案にリーファが思わずミファーの顔を覗き込むと、若干遅れてミファーが声を荒げた。


「それなら次は球を何にするかだな」


「それなら水がいいと思うぞっ! 当たったらすぐにわかるからなっ! だが剣で切ったあとにも当たると困るなっ!」


「そうだな。それなら――」


 と、それからメイザスと相談しながら魔法陣の取り決めを続けるのだった。

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