第一章67 『初対面のような再会』
「ううぇ!? また負けたぁ!」
五日後の十一月三十日の朝、リーファとミファーとティアラの三人はトランプをして過ごしていた。
そして今、ミファーが三連敗を記録する。
「ババ抜きじゃミファーは勝てないわよ。わかりやすすぎるわ」
「ミファーだから」
「今ミファーのこと悪くゆったぁ!?」
などと声を荒げるミファーに構わず、ティアラが立ち上がって、
「そろそろあたし行くわね」
「飾り付けの仕事ぉ?」
「えぇ。二人は?」
「私たちはあと二時間後くらいにある」
「あれ? いつもとかなり時間違うわね?」
と、言いながらティアラが小首を傾げる。
するとミファーが大慌てで口を開いて、
「わぁ! えっと、えっとね! 今日は違うんだって!」
あまりにも下手な説明にリーファはティアラを見たままジト目になる。
「それは今聞いたからわかるわよ……」
と、同じくジト目になったティアラが言った。
「まぁいいわ。じゃあ行ってくるわね」
「うん! 行ってらっしゃい!」
「頑張って」
そう言って、背中を向けたティアラを見送る。
ゆっくりと閉まったドアがカチャリと音を立てたあと、リーファはミファーの方へと顔を向けた。
「ねぇ、ティアラに隠す意味ある?」
「あるよ! せっかく特別雇用になったんだもん! もしかしたら今後の提案次第で当日にも働くことになってティアラを驚かせられる!」
そのミファーらしい考えにリーファはもう一度ジト目になる。
そう、わざわざさっき仕事の時間のずれをミファーがはぐらかしたのは、今日あるのが特別雇用の仕事で、それがバレると特別雇用であることもバレて、ミファーの計画がおじゃんになってしまうからだった。
「ティアラもう気付いてそうな気もするけど……」
「ううぇ!?」
「……まぁでもせいぜい、何かある、くらいだとは思う」
いくらミファーの反応がわかりやすいからと言って、特別雇用になったことまでをティアラが看破しているとはさすがに思えない。
「リーファリーファ! 将棋しよぉ!」
「負けるよ?」
「……今ミファーのこと悪くゆったぁ!?」
声を荒げたミファーがやる気になって、そのあとの二時間はまるまる将棋に潰れた。
もっとも、それでもミファーが勝つことはなかった。
※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※
仕事の時間ということで、学園まできたリーファとミファーは、マレディクトゥムから教えられた教室へと足を運んでいた。
「ねぇリーファ! このあと国王様に会うんだよね!」
「国王……」
「リーファ?」
少し考え事をしているとミファーが顔を覗き込んで来て、リーファは頭頂部にチョップを繰り出す。
するとミファーが「いてっ!」と言って両手で頭を押さえた。
「あっ! リーファリーファ! ここじゃない?」
「うん」
目的の教室のドアを開けて、リーファは中へと足を進める。そのリーファの横を駆け抜けるように、ミファーが先に入った。
「来たなっ!」
「マレぇ!」
「どうして抱きつくんだっ!」
先着のマレディクトゥムにミファーが勢いよく抱き着くと、驚きもせずにミファーを見つめる。
それからリーファの方へ顔を向けた。
「リーファ、これはなんだっ!」
「ミファーの習性」
「そうかっ!」
それだけ言ってミファーを見つめ直すマレディクトゥム。その顔は相変わらず無表情で、何を考えているのかわからない。
「それで? いつ国王が来るの?」
「そろそろだと思うぞっ!」
と、その時教室のドアが開かれる音がする。
瞬間的にリーファはその方向へと視線を向けた。
紫色のポニーテールが揺れている。
教室に足を踏み入れて、後へ手を伸ばしてドアを閉める。
それからゆっくりと、紫色の瞳がこちらを捉えて――、
「――――。――レリーファ?」
「えっ?」
ただ一言、目を見開いたメイザスがリーファをみて呟いた。
明日は22時に投稿します。




