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第一章60 『包帯と眼帯』


 ティアラと別れたミファーとリーファは、自分たちの小企画の会場へ向かっていた。正確には会場の予定地だが。


「ねぇねぇリーファリーファ!」


「なに?」


「今日って球を避ける舞台を作るんでしょ? たしかれんがを運ぶんだよね!」


「えぇ」


「ミファーの加護でやったら絶対早いよ!」


「それは……たしかにいいかも」


「でしょお!」


 などと言っているうちに、目的の場所に到着した。

 その場所とは学園の周りをグルリと回る大きな道、さらに正確に言えば、学園のI寮側の入口とK寮側の入口の間だ。

 そこにはもうすでに何人もの雇用者が集まっていた。もちろん、マレディクトゥムの姿もあって、


「リーファじゃないかっ!」


 そのマレディクトゥムがリーファを見つけて駆け寄ってきた。

 リーファはめんどうくさそうにマレディクトゥムを見つめながら、


「あぁ……誰?」


「私の名はマレディクトゥム・フォーカルス! 不老不死の天才だっ!」


「――――」


 傷つく素振りもなく二度目の自己紹介をするマレディクトゥムの姿に、リーファはジト目になるしかなった。


「マレマレ! 今日も包帯と眼帯してるんだね! 怪我してるの?」


 と、そこでリーファの隣に立つミファーが、マレディクトゥムの眼帯を覗き込むように体を傾ける。


「怪我? 不老不死の私にそんなものあるわけがないぞっ!」


「ううぇ!? じゃあなんでつけてるのぉ?」


「それはだなっ! 私の左目は見たものを呪ってしまうからだっ!」


「はぁ……」


 よくもまぁこんなにすらすらと変人ぶりを発揮できるなと、リーファは呆れた面持ちでマレディクトゥムを見つめた。

 そんなリーファと対照的に、ミファーは目をキラキラと輝かせて、


「じゃあさじゃあさ、右腕の包帯はぁ?」


「この包帯はだなっ! 右腕をみられないようにするためのものだっ!」


「みられたくないのぉ?」


「違うぞっ! この腕は見られるとその相手を殺そうとしてしまうからなっ! だからみられるとまずいんだっ!」


「ううぇ!? そおなのぉ!?」


「そうだっ! それにこの腕は力が強すぎるからなっ! 普段から力加減に気を付けているぞっ!」


「そおなんだぁ」


 感嘆するミファーと異常な痛さを発揮するマレディクトゥムの相性は最悪もいいところだ。相乗効果で収集がつかなくなる。


「あの……」


「ん?」


 その時、リーファの後ろから声がかかった。

 振り返ってみると、そこには女性雇用者の姿がある。


「レリーファ、様?」


「違うよ! リーファはリーファだよぉ!」


「あっ、そうなの? ごめんなさい、レリーファ様を一度見たことがあったから、あまりにも似てて……」


「ミファーも思う! けどリーファはリーファだよ!」


「そ、そっか、ごめんね」


 そう言って去っていく女性の雇用者。

 その背中からリーファはミファーへと視線を移して、


「ティアラも言ってたけど、レリーファって誰?」


「ううぇ!? リーファ知らなかったのぉ!?」


「いや、入学前に一度リーファがなんか騒いでたから名前だけは聞き覚えあるけど……」


「あぁあの時ね! レリーファ様が失踪したって大騒ぎだったんだよ!」


「だからレリーファって誰?」


「この国のお姫様!」


「……ふ~ん」


 興味なさげに鼻を鳴らして、リーファはマレディクトゥムの方へ顔を向ける。が、そこにマレディクトゥムはいなかった。


「リーファリーファ! 始まるみたいだよぉ!」


「うん」


 見れば、いつの間にかマレディクトゥムが雇用者たちの前に出ている。

 マレディクトゥムは、大きく息を吸って、


「お前たち! 今日はよくきてくれたなっ! 今から会場の要の舞台をれんがで作るぞっ! 大きさは縦横六メートルの四角形だっ! 高さも五十センチほどを考えているからかなりの重労働になるぞっ! そしてこの前も言ったが、大きさ的に生成魔法で作るのはソースが圧倒的に足りなくて不可能だっ! だから学園の企画倉庫かられんがを移動魔法で運んでくる方法になるぞっ! 以上だっ!」


 あれだけ普段から痛いことを言っているのに、こんなにも説明がしっかりしていると調子が狂ってしまう。

 そんなことを思いながら、リーファは「リーファはやく行こう!」と元気に口を開いたミファーに、企画倉庫まで連れていかれるのだった。

明日は22時に投稿します。

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