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第一章48 『挑戦』


 自室に帰ってきたティアラたちはそれぞれ提案の内容を考えていた。

 しばらくするとミファーから『できた!』と声が上がった。


「ちょっと待って早くないかしら? まだ五分も経ってないわよ」


「ミファー天才だから!」


「…………リーファどう思う?」


「バカだと思う」


「今ミファーのこと悪くゆったぁ!?」


 無表情で言うリーファと、表情豊かに叫ぶミファーの絵面はもうティアラの目には茶飯事だ。

 それよりも、提案ができたということだが、


「どういう内容なの?」


「ふふん! ミファーの提案はぁ! これ!」


 言いながら、恐らく提案の内容が書かれているであろう紙が差し出される。

 ティアラは席を立ってそれをみるためにちょっと歩く。


「えっと? ミファーと追いかけっこして触れたら金貨五十枚……五十枚!!?」


「ふふん! 面白いでしょティアラぁ!」


「リーファどう思う?」


「ミファーが加護を使えるとしても賞金は多くて十枚が妥当だと思う。参加費用にもよるけど……」


「金貨十枚? それ多くないかしら?」


『百万……』


「ミファーの加護だからね。ただ私がやったら一瞬で終わるし、他の人だと勝負にもならないから、提案するならもっと整えないと」


「それもそっかぁ!」


「というか、二人はお互いの加護知ってるのね」


「うん!」


 元気よく返事するミファーに微笑んで、ティアラは再び机に戻る。


『ずっと思ってたけど、なんで加護聞かないの?』


「ん……加護はその人にとって大事なものだからよ。聞くのは無粋なの」


『ふ~ん。あれ? でもこの前リーファがティアラの加護聞いてなかった?』


「あれは多分、あたしが自分の加護を弱いと思ってたからよ。加護の無効化だと推測したリーファが、強いって言って元気づけるためにあえて聞いたんだと思うわ」


『なるほど!』


 ティアが納得した声を聞くと、ティアラは気合を入れなおして自分の提案の内容の思考に時間を費やす。

 それから十分が経つと――――、


「できたわ!」


「ほんとぉ!?」


「わぁ!?」


 真横からミファーの声が聞こえて、ティアラは椅子ごとひっくり返る。


「大丈夫!?」


「だ、大丈夫じゃないわよこのバカ! なんで隣にいるのよ! びっくりしたじゃない!」


「ご、ごめんなさい……」


 いつも通りに怒られてしょんぼりするミファー。

 このミファーを見るとどうも怒りが冷めてしまう。憎めないやつとはまさにミファーのことだろう。


「まぁいいわ。それよりミファー、いいのができたわ!」


「ほんとぉ!!?」


 パァッと光が出そうなほどの笑顔になって、椅子を起こしたティアラと一緒に机の上の紙を覗き込む。


「あたしは小企画は難しいと思ったから、屋台を考えたのよ」


「食べ物系?」


「えぇ、あたしはミャミュのスープが好きだから、スープの屋台に決めたわ」


「ミャミュ……」


「――? ミャミュはあたしの専属のメイドよ? それがどうかしたの?」


「な、なんでもないよぉ!」


 何かはあるわね……


 あまりにもわかりやすい。


「それでティアラ! 独自性は?」


「それはね、スープの味の濃さをお客さんが決められるの」


「わぁ! いいねいいね! ティアラ絶対雇用されるよ!」


「そ、そうかしら?」


 ダメだ。ミファーに乗せられる。それはなんか嫌だ。


「私もできた」


「ほんとぉ!? みせてリーファ!」


 と、あっという間にリーファのもとへ駆け出すミファー。

 慌ててティアラもそのあとを追った。


「私は食べ物系の屋台にした」


「あたしと同じね。何の食べ物?」


「ドーナツ……」


「そっかぁ! リーファ甘いもの好きだもんね!」


「なんかうざい」


「なんでぇえ!?」


 とミファーの叫び声が響き渡る。

 何はともあれ、それぞれ提案内容は固まってきた。

 それからさらに整える作業を挟み、あとは明日先生に渡すのみになった。


※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※


 次の日、最後の授業が終わると、またミファーが提案内容の書いた紙を持って駆け出した。


「ちょっ、待ちなさいよ!」


 慌てて、リーファとティアラはそのあとを追う。


「先生先生先生!」


「ミファーちゃん、どうしたの?」


「小企画の提案内容書けた!」


「ミ、ミファー早いわよ」


「ご、ごめんなさい……」


「……まぁいいわ」


 しょんぼりしたミファーを見て咄嗟に言ってしまう。

 何というか、ホントにズルいと思う。


「ティアラちゃんたちも?」


「はい、あたしとリーファは屋台ですけど」


「見てもいい?」


「うん!」


 元気よく頷いたミファーを始めとして、三人それぞれが先生に紙を提出する。先生はそれを受け取って、一枚ずつ目を通して、それから――――、


「うん、いいと思うな。雇用されるといいね! あっそうだ、雇用される場合、十一月二十日までに話が来ると思うから、もし来なかったら残念だけど……」


「わかった! 大丈夫! ミファーは雇用されるから!」


「その自信どこから来るのよ」


「まぁミファーだから」


「……今ミファーのこと悪くゆったぁ!?」


 そんなこんなで、ティアラたちの小企画と屋台の提案という挑戦は果たされた。

 あとは雇用の話が来るまで待つだけだ。いつ来るかはわからないが、気長に待つとしよう。

明日の投稿時間は20時10分です!

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