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第一章46 『情報収集』


 リーファとミファーの冬祭りの説明を受けたあと、ティアラがベッドに寝っ転がってくつろいでいると、


「ねぇ! どうせなら提案と雇用しよおよ!」


 と、そんなミファーの声が部屋に響いた。

 ゆっくりと、ティアラは体を起こし、


「本気で言ってる?」


「本気!」


 目をキリッとさせたミファーがティアラを見る。

 それからティアラは口元に指をあてて、悩むようなそぶりを見せる。


「あたしはやってもいいわよ」


 リーファとミファーの話から、何となく興味は持っていた。それに給料が出るというのなら、やる気も出るというものだ。

 そんなティアラの言葉にパァッと笑顔を広げるミファー。その面持ちのまま、リーファの方へと顔の向きを変える。


「リーファは?」


「ティアラがやるならやらないとでしょ……」


「嫌ならやらなくていいと思うわよ」


「やらなかったらミファーが泣くし。それに嫌ってわけでも……」


「うん! ミファー泣く!」


「やっぱりやめよっかな」


「なんでぇえ!?」


 あからさまなミファーの態度にムカッとしたのか、リーファが選択を変え始める。が、それを受けたミファーの目尻に涙があるのをチラリとみて、


「まぁ、夏祭りの時は我慢してたし、いいよ」


「やったぁ!!」


「わぁ!?」


 と、満面の笑みでミファーに抱き着かれれば、リーファが声を上げる。

 だがティアラはそれよりも気になった部分があって、構わずに口を開いた。


「ちょっと待って、夏祭りの時我慢してたって?」


「えっと、ミファーがティアラとも一緒にやりたいから我慢するって言ったの」


「だ、だって、ティアラが頑張ってるのに一緒にやろおなんて負担が増えるよおなこと言えないしさ」


 ティアラは目を見開いたまま硬直する。

 ミファーが友達想いなのは前から知っていたが、ティアラのために自分のしたいという気持ちを抑えていただなんて、ちょっと涙腺が緩む。


「……二人で、やってもよかったのに」


「それはダメ! 絶対ダメ!」


 いつものミファーから雰囲気が変わり、真剣な声で放たれたその言葉に、ティアラは鳩が豆鉄砲を食ったような顔になる。


「それじゃあ明日、放課後に屋台とか小企画の情報収集しよぉ! ティアラいい?」


「いいわよ」


「リーファは?」


「了解」


「やったぁ!」


 と、嬉しそうな笑みを浮かべるミファー。

 そんなミファーを見て微笑みながら、ティアラは明日への期待を膨らませる。実のところ、ミファーのその喜びがわかるくらいには、ティアラも提案や雇用の挑戦を楽しみにしていた。


※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※


「先生先生先生!!」


「ど、どうしたのミファーちゃん。それにティアラちゃんにリーファちゃんも」


 次の日、最後の授業が終わると同時に、ミファーが先生のもとへ駆け出した。

 ティアラとリーファはミファーを慌てて追いかけた形だ。だからちょっと息が切れている。


「ミファーたちね! 小企画とか屋台の提案をしたいんだけど! その前にまず情報収集をしよおと思って! だから聞きに来た!」


 何を聞きに来たのかがわかりづらい言い方だが、それもまたミファーと言えた。そんなミファーをカバーするのは誰なのか、そんなのはもうわかっている。

 ――――リーファだ。


「人気な小企画や屋台などを教えてもらえますか?」


「なるほど、そういうことね。じゃあその前に、雇用希望だけ先にしてみた方がいいかも、小企画主や屋台主には簡単にはなれないからね」


「わかった! じゃあ希望する! いぃい?」


「えぇ、いいわよ」


「私も」


「なら申請しておくね」


「うん!!」


 あたまが取れそうなくらい大きく首を縦に振って、大きな声で応えるミファー。そんなミファーの姿を見て、先生は微笑ましそうな顔をする。


「それじゃあ、昨年の冬祭りで人気だった小企画からね。昨年人気だったのは、的当てゲーム小企画だったと思う」


「的当てゲーム?」


 目を丸くして小首を傾げるミファー。

 ティアラとリーファも、何となくやることはわかるものの、どういった形式なのかがつかめずにいた。


「参加費用銅貨一枚。生成魔法を使って次々と出現する的に、球を投げて当てるゲームだよ。そして全部当てられたら賞金金貨一枚!」


「えっ」


「ううぇ!?」


 驚きの声を漏らしたものの、ミファーの声でかき消された。


「それってクリアした人いるんですか?」


「二人だけクリアしてたよ」


「ミファーもやってみたい!」


「残念だけどミファーじゃ無理ね」


「私も同感」


「なんでぇえ!?」


 と、コントのような会話を繰り広げると、その様子に先生がクスクスと笑う。


「屋台だと、食べ物系が人気だったかな。ゲーム系統の屋台も何個かあったけど、やっぱり屋台の小さい空間でしかできないから、あまり人気が出てなかったかな。先生からはこのくらいの情報が限界、他にも先輩とかに聞いてみるといいと思う。じゃあ、がんばってね!」


 と、そう言って先生は姿を消した。


「先輩!」


「先輩って言ったら……」


 知っている先輩と言えば、一人しかいない。

 ――――メルティアだ。

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