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第一章32 『アミリスお姉ちゃん!』


 昼食の時間が終わったティアラたちは、もう一度訓練場にやってくる。

 するとそこには、先着がいた。メルティアとイラだ。


「あっ! ティアラちゃん!」


「ぁ、えっと……メルティア、さ、ん……」


 この前初対面でキスされたことを思い出し、ティアラは顔を真っ赤にして警戒しながらかすかに覚えていた名前を呼ぶ。


「ティアラの知り合いなの!?」


「違うわ。知り合いの妹よ」


「ひどいよティアラちゃん、そこは友達でいいじゃんか!」


「しょ、初対面で、ぁ、あんなことする人は、友達じゃないわ……」


 思い出しながら視線を逸らす。


「えぇ、もう一回してほしくないの?」


「お前やめろよマジで……」


 言いながら唇に人差し指の先をつけるメルティアへ、イラが呆れた声音で制止する。

 と、そんな時後ろからアドバンがやってくる。


「お、全員そろってるな」


「ううぇ!? 加護持ちこんなに少ないの? あっでもそっか、別の学園にも加護持ちいるからかぁ」


「うぅん、加護持ちはこの学園だけだよ」


 と、メルティアがミファーの発言を否定する。


「そおなの?」


「うん、加護持ちはすごいけど危なくもあるからね。だから一つの学園に集めて警備や教師を増やした方が効率的なんだって」


「へぇそおなんだ。誰から聞いたの?」


「アミリスお姉ちゃんだね」


「え!?」


 アミリスの名前が出るのはまだわかるが、お姉ちゃんという言葉がついていることにティアラは思わず反応した。


「そう言えばアミリスお姉ちゃんが来るって聞いてたけどまだかな? ――っああああぁ!!」


「バ、バレた……」


 アドバンの後ろに隠れたアミリスを発見し、メルティアが見つけたとでも言わんばかりに指を指す。

 それに対しアミリスはだいぶ警戒した面持ちだ。


「アミリスお姉~ちゃん!」


「ちょっ、ダメだからね。こんなところでいつもみたいなことしたら、さすがに私も怒るからね!」


「……むぅ、仕方ないなぁ」


 その言葉にふぅと息をつき、アミリスはアドバンの後ろから出てくる。


「アミリスさん、なんでお姉ちゃんって呼ばれてるんですか?」


 そんな時、リーファがふと疑問を投げかける。それにはティアラも同感だ。

 なにせアミリスとメルティアは恐らくかなり年齢が離れている。少なくともお姉ちゃんと呼ばれるような年齢差ではなさそうに思う。


「たしかに!」


 と、何もわかってなさそうなミファーが同感する。


「初めてこの子に会った時に、歳が近いって勘違いされてからずっとこの呼び方なの。勘違いは解いたんだけどね……」


『『『あぁ……』』


 イラ、ティアラ、リーファが同時に、やめてもらえなかったんだ、と理解する。メルティアとは初対面のリーファですら察してしまえるという事実。

 ちなみにミファーは『え? え!?』と言いながら視線が三人を行ったり来たりしていた。


「アミリス、そろそろ始めるぞ」


「そ、そうね、始めよっか。みんなに集まってもらったのは、加護の扱い方を研磨するため。そして、加護持ちとして危機感を持って暮らしてもらうため」


「あぁ、だからこの前先生が加護を確認したわけね」


 研磨ということは、少なくとも制御はできていないと話にならないというわけだ。


「ティアラのお母さん! ミファーもう扱えるよ!」


「でもミファーちゃん、どんな状況でも誤用しないって言える?」


「そ、それはぁ、わかんない……」


「……それにこの授業は、加護の危険さを理解してもらうためのものでもあるの。あとは、戦闘技術への応用を覚えるためでもある」


「な、なるほど……」


「だからこれから二人一組で教えるから……あれ? 五人?」


「あっすみません! 俺は加護持ちじゃないです」


 と、イラが手を上げる。

 それを見たアミリスが動きを止め、鋭い視線をイラへ向けた。


「……あなた、すごい強くない?」


「うえ? ぉ、俺ですか? バリクソ弱いですよ?」


「へ? あ、そっそうなの? そっかぁ……」


 勘を外しちゃったとアミリスが頬を赤らめる。


「あれでも、加護持ちじゃないならなんでここに?」


「ぁ、あぁこいつの管理を先生に任されて……」


 そう言いながらメルティアを見やるイラに、アミリスが『あぁ……』と納得の声を漏らす。


「えぇ、別に私なにもしないよ?」


 などとほざくメルティアを横目に、イラはあからさまにため息をこぼす。


「まぁ邪魔はしないようにするので……」


「うん、わかった……」


「それでお母様、二人一組になればいいの?」


「なら私ティアラちゃんとがいいかなぁ」


「ぃ、嫌よ!」


 メルティアの提案に顔を真っ赤にして否定する。

 その様子にアミリスが何かを察したように口を開く。


「まさかメルティアちゃんティアラにまでしてないよねぇ!?」


「してないよ~」


「ティアラ……」


「えっと……」


 さすがにあんなことをされたなんて母親に言えるわけがなく、ティアラは視線をそらして黙り込むしかない。


「じゃあじゃあ! ミファーがメルティア、さん? と組むからリーファとティアラで組みなよ!」


「いいの?」


「いいよティアラ! それに二人は一緒にいないとダメ」


「え?」


「ふ~ん、ミファーちゃんって言うのかぁ」


「お前マジでやめろよ?」


 と、獲物を変えた捕食者の目でみるメルティアに、隣に立つイラが忠告する。

 そんなこんなで、リーファとティアラ、ミファーとメルティアの組に分かれる。ティアラとリーファの方をアミリスが、ミファーとメルティアの方をアドバンが担当することに決まった。

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