表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
神救異世界転移魂 ~絶望に抗う意志がなければ目的を達することはできない~  作者: Riku
序編第三章 『想いを込めて贈って』
103/106

序編第三章58 『三つの加護』


「三つって、どういうことよ……」


 リーファの思いもよらぬ言葉を耳にすれば、ティアラは思わず目を見開いた。

 だってそうだろう。加護が三つあるだなんてことは、聞いたことがない。それにもし仮にティアラに加護が三つあるとしても、なぜそれをリーファが知っているのかがわからない。


「いつか、私がティアラに加護のことを教えたことがあったでしょ」


「んっ、そういうことなのね……」


 リーファがティアラに加護の制御方法を教える際に、ティアラにソースを付与していた。

 リーファのソースが何なのかは厳密にはわからないが、ソースを付与した相手の加護を使えるということだけは知っている。

 つまりリーファは、あの時にティアラの加護が三つあることを知ったということになるわけだが、


「なんで今?」


 それが一番の謎だった。

 仮にわかったのだとしたら、あの時言われていても不思議はない。それなのにリーファは、あの時には言わずに今ティアラに伝えた。

 それになんの意味があるのかティアラにはわからなかった。


「それは……だって、信じられないでしょ。加護が三つあるだなんて……二つだって前代未聞なんだから」


「それはまぁ、そうね……」


 つまりリーファは、自分の勘違いだと思ったということなのだろう。


「けどそれなら、今なんで伝えたのよ。信じられてなかったんでしょ?」


「ティアラは不思議に思わなかった? 急に身体能力がよくなったこと……」


「――っ! それってまさか!」


「私の記憶が正しければ、それは加護の効果。それもティアラが無意識に発動してる加護のね」


「……なるほどね、助かったわリーファ」


 知らず知らずに加護を発動することの危険性は言われるまでもない。

 それにあれが加護なのだとしたら、ふとした瞬間にティアラがとんでもない力を出して人を殺してしまっていた可能性もある。


「恐ろしいわね……。けどあたし、やっぱり信じられないわ。あたしに加護が三つもあるだなんて……」


「もう一度確認してみてもいい?」


「ぇ、えぇ、お願いするわ」


 リーファの申し出を、ティアラは快く受け入れる。というかむしろ、ティアラからお願いしたいくらいだった。

 こんな事態、リーファのソースを用いなければ確証が持てない。

 リーファはティアラの前に一歩踏み出して、ソースをティアラに注ぎ込む。その瞬間、ティアラにソースが付与された。


「あっ……」


「リーファ!」


 リーファが突然クラリと倒れそうになって、ティアラは咄嗟に声を上げてリーファの体を支える。


「だ、大丈夫、大丈夫だから……」


「無理するんじゃないわよ……」


「……わかったよティアラ」


「……どう、だったの?」


「――やっぱりティアラは、加護が三つある」


「なっ! そんな、なんで……」


 心当たりがないかと聞かれれば、ないわけじゃない。


 ――ティアだ。

 ティアラの人生にかなりの影響を与えたティア。もしティアの存在がティアラの加護にまで影響を与えていたとしたら。


「ティアラ?」


「ん、なんでもないわ。それより早くソースを解きなさい」


「うん……」


 そう言ってリーファがティアラからソースを解けば、リーファの顔色がスッと良くなる。それを見れば、ティアラは安堵に胸をなでおろす。


「とりあえず、ティアラに加護の内容を伝える」


「ぇ、えぇ、助かるわ」


 何も情報がなかったら、コントロールなどできやしない。


「まず一つ目、これはティアラも知ってる無効化の加護」


「ん、名前知ってるのね」


「加護の名前は、持ち主の呼び方通りになるみたいだからね。だから、残り二つの名前はわからない……というか、決まってない」


「そう、なら効果も?」


「うぅん、効果はわかる。二つ目は身体能力と運動神経を向上させる加護。力の調整はできるみたい。ただ、体の耐久力は変わらないから、場合によっては体が耐えきれなくて壊れるかもしれない。だから気をつけて」


「わかったわ……」


 本当に自分が加護を三つ持っているのだと、ティアラはちょっと遅れて実感し始める。

 ただやっぱり、まだ信じられていない感じもあって、


「ただまぁ、三つ目の加護あるからあまり支障はないかも、だけど……」


「――? どういうこと?」


「三つ目の加護は、その……」


「何よ、ハッキリ言いなさいよ……」


 リーファがそんなだと、ティアラも不安になってしまう。

 そんなティアラの不安の声に、リーファはまっすぐティアラの目を見つめることで応じた。


「――ふろっ、不死になる……」


「――。――――え?」


「不死に、なる、加護……」


「――――」


 リーファが何を言ったのか、ティアラは理解できなかった。


「この加護は、力の調整ができないみたいで……だから、ティアラはずっと不死に、なるって、こと……」


「――――」


 声が出ない。

 急に胸が詰まった。

 苦しい。息ができない。


『ティアラ、落ち着いて。深呼吸して……』


「すぅ、はぁ、すぅ、はぁ……」


 ティアラはゆっくりと深呼吸をして、心を落ち着かせる。

 だけどそんな簡単に落ち着くわけがなかった。これからティアラは、老いても死ぬことができずに生き続けることになるのかもしれない。


「ティアラ……けどその、老衰はできるみたい、だから、安心して……」


「そ、そうなの? なら、安心ね……。けど納得できたわ。何度か傷が治ってることがあったのも、その加護のせいだったのね」


 フィエリアの自殺を止める時にした負傷が治っていたのも、きっとこの加護が影響していたということになるのだろう。


「不死の加護、そんなところね……」


「だったら、二つ目の加護は?」


「う~ん、そうね……」


『覚醒の加護!』


「覚醒の加護?」


『うん! カッコいいでしょ?』


 カッコいいって……あたし不安なのに……


 それともティアのことだから、この呑気な発言もティアラの不安を払拭するための一言だったりするのだろうか。

 そんなことを考えながらティアラはリーファの目を見て、


「覚醒の加護」


「そっか……。ティアラ、何かあったら相談してね」


「えぇ、助かったわリーファ」


「うん」


「……それよりリーファ、リーファは、あたしがなんで加護が三つあるのか気になったりしないの?」


「え? 理由わかるの?」


「いや、そういうわけじゃないけど、こんなことになってたら少しくらい疑うのが普通じゃない」


「あっえっと、その、き、気になる……」


「ちょっと待って、リーファあんた……」


 この不自然さを考えると、リーファはティアラになぜ三つもの加護があるのかの原因になりうる何かを掴んでいることになる。

 だとしたらもしかすると――、


「――ティアのこと知ってるの?」


「えっ、と……」


「知ってるのね……?」


「……ぅ、うん」


 言いづらそうに頷いたのを見て、ティアラはリーファがティアに口止めされていたのだとすぐに察した。


「ティアぁ……?」


『ぁ、いや、だって仕方ないじゃん! バレちゃったんだから!』


「バレちゃったんだからじゃないわよ! バカ! アホ! あんた自分がどういう存在だかわかってるの!?」


『わ、わかってる……ごめん、ごめんって……』


「ぁ、いや、別に……まぁいいわ」


 思いの外ティアを傷つけてしまったことに気づいて、ティアラは慌ててどうにかしようとするができなかった。

 それからリーファの前に一歩踏み出して、


「ティ、ティアラ……」


「どこまで聞いてるの?」


「ぁ、えっと、別人格みたいなものって……。ただ、普通の別人格じゃないとは思ってたから……」


「まぁ、それもそうよね」


 第一、別人格みたいなものと含みを持たせている時点で、リーファがティアラの加護の所持数の原因となるところをティアだと考えるのも普通と言えるのだ。


「詳しい話はいつかするわ。いつするかはわからないけど……」


「大丈夫、話したくなったらでいい」


「ん……」


 リーファのその言葉にティアラは下げた視線が自然と上がる。


「いいの?」


「うん、理由があるだろうから」


「――! ありがと、リーファ」


「うぅん、そんなことない。それじゃあティアラ、戻るよ」


「えぇ!」


 そうリーファの言葉に強く頷いて、ティアラはリーファと一緒に歩き出すのだった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ