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アイコン戦国志  作者: 小金沢
中国の章
2/6

一五四八   大内家の暗雲     (〇〇二)

~~~周防すおう 大内氏館おおうちしやかた~~~



挿絵(By みてみん) すえ隆房たかふさ

「義隆様! なぜ奴の帰参を許したのですか!?」



挿絵(By みてみん) 大内おおうち義隆よしたか

「なんだなんだ藪から棒に。奴とは誰のことだ」



挿絵(By みてみん) すえ隆房たかふさ

相良さがら武任たけとうのことに決まっています!」



挿絵(By みてみん) 大内おおうち義隆よしたか

「なんだ、そのことか。

相良は優秀で、当家に必要な男だ。それだけの話ではないか」



挿絵(By みてみん) すえ隆房たかふさ

「優秀なのは認めます。だが惰弱な男です。

大内家の屋台骨を支えられる存在ではない!」



挿絵(By みてみん) 大内おおうち義隆よしたか

「昔から私は、軍事のことはお前に、政治のことは相良に任せてきた。

今さらそれに不満を申すのか?」



挿絵(By みてみん) すえ隆房たかふさ

「奴は、相良は大内家を捨てて大友家へ出奔したのです。

主君を裏切った男を信頼などできません」



挿絵(By みてみん) 大内おおうち義隆よしたか

「それはお前やすぎ重矩しげのりが相良をいじめるからではないか」



挿絵(By みてみん) すえ隆房たかふさ

「何を子供のようなことを……。

そんな子供じみた理由で出奔する男を武士と呼べましょうか!

それに裏で大友家と通じている可能性すらある」



挿絵(By みてみん) 大内おおうち義隆よしたか

「めったなことを言うでない。大友家からは養子を迎えたこともある仲だ。

父や祖父は代々争ってきたが、今後は仲良くせねばならんのだぞ」



挿絵(By みてみん) すえ隆房たかふさ

「……やはりこれ以上の勢力拡大は望まれないのですか」



挿絵(By みてみん) 大内おおうち義隆よしたか

「私はすでに中国地方に覇を唱えた。

後はこの西の京とまで呼ばれる山口の発展に尽くすだけだ」



挿絵(By みてみん) すえ隆房たかふさ

「宿敵の尼子家は謀聖とうたわれた尼子あまご経久つねひさが没して以来、

衰退の兆しを見せています。今こそ尼子家を滅する好機とは考えられませぬか」



挿絵(By みてみん) 大内おおうち義隆よしたか

「その経久のジジイが死んだのならば恐るるに足らんではないか。

そんなことより私は、文化で天下を制したいと考えておる」



挿絵(By みてみん) すえ隆房たかふさ

「は?」



挿絵(By みてみん) 大内おおうち義隆よしたか

「京の都は三好家の手に落ち、将軍家も、天皇でさえ傀儡の地位に甘んじている。

彼らが京を捨て、この西の京を頼る日もそう遠くはあるまい」



挿絵(By みてみん) すえ隆房たかふさ

(何を夢物語のようなことを……)



挿絵(By みてみん) 相良さがら武任たけとう

「義隆様、失礼します。またあの宣教師が――す、陶!」



挿絵(By みてみん) すえ隆房たかふさ

「相良……ッ」



挿絵(By みてみん) 大内おおうち義隆よしたか

「おお相良、何用だ」



挿絵(By みてみん) 相良さがら武任たけとう

「ははっ、あの宣教師がまた面会を求めています」



挿絵(By みてみん) 大内おおうち義隆よしたか

「あの汚い身なりの説教臭い異人どもか。追い返せ」



挿絵(By みてみん) 相良さがら武任たけとう

「それが今回はこのような手土産を持参しておりまして……」



挿絵(By みてみん) 大内おおうち義隆よしたか

「こ、これは舶来の宝物ではないか!

そ、それにこっちはポルトガル国王からの親書とな!?」



挿絵(By みてみん) 相良さがら武任たけとう

「見事な品々でしょう!

しかも聞けば将軍家や天皇に献上品を渡すよう命じられていたが、

この日本で最も権勢を誇るのは義隆様だと知り、

あわてて京から取って返してきたとのことです!」



挿絵(By みてみん) 大内おおうち義隆よしたか

「うほっ、そうだろうそうだろう!

何をしておる相良よ、すぐに宣教師殿をここに招くのだ!」



挿絵(By みてみん) 相良さがら武任たけとう

「お任せあれ!」



挿絵(By みてみん) 大内おおうち義隆よしたか

「聞いたか陶よ! ポルトガルも私を日本の統治者と認めたのだ!」



挿絵(By みてみん) すえ隆房たかふさ

「……改めて申し上げます。

せめて毛利家だけでも討つ考えはございませんか」



挿絵(By みてみん) 大内おおうち義隆よしたか

「毛利家? いったい何の話だ?

毛利家は私に臣従を誓っておるではないか」



挿絵(By みてみん) すえ隆房たかふさ

「あの毛利もうり元就もとなりという男、

尼子経久にも劣らぬ謀略家です。生かしておけば当家のためになりません」



挿絵(By みてみん) 大内おおうち義隆よしたか

「お前の言っている意味がわからん。

あんな小領主に何ができると言うのだ」



挿絵(By みてみん) すえ隆房たかふさ

「今なら俺の手勢だけでもたやすく殺せます。

どうか許可を――」



挿絵(By みてみん) 相良さがら武任たけとう

「宣教師殿をお連れいたした!」



挿絵(By みてみん) 大内おおうち義隆よしたか

「おお、待ちかねたぞ!!

陶よ、下がるが良い。私は忙しいのだ」



挿絵(By みてみん) すえ隆房たかふさ

「……かしこまった」



挿絵(By みてみん) 大内おおうち義隆よしたか

「お待たせしてしまったな宣教師殿。

ささ、もそっと近くに――」



挿絵(By みてみん) フランシスコ・ザビエル

「イイデスカ。コノ手ヲ見テ下サイ。決シテ目ヲ離サズニ……」



挿絵(By みてみん) 大内おおうち義隆よしたか

「うん? これはどうしたことだ。

何か大きな、とてつもなく大きなものに包まれていく感じがするぞ……」



挿絵(By みてみん) フランシスコ・ザビエル

「アナタハ布教ヲ認メマスカ?」



挿絵(By みてみん) 大内おおうち義隆よしたか

「認メマス……。ワタシハ布教ヲ認メマス……」

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