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アイコン戦国志  作者: 小金沢
織田信長の章
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1/6

一五五一   魔王が生まれた日   (〇〇一)

~~~尾張 那古野(なごや)城~~~



挿絵(By みてみん) 織田(おだ)信行(のぶゆき)

「今日は父・信秀(のぶひで)の葬儀に集まってくれたことを、まずは感謝いたす。

だが悲しみに暮れてばかりもいられない。

今こそ我々は後継ぎである兄の信長(のぶなが)をもり立て、一致団結する時だ」



挿絵(By みてみん) 林(はやし)秀貞(ひでさだ)

「失礼ながら……その信長殿は今どちらにおられるのかな」



挿絵(By みてみん) 織田(おだ)信行(のぶゆき)

「兄は宗家へと連絡に行っておられる」



挿絵(By みてみん) 柴田(しばた)勝家(かついえ)

「ほう。父の葬儀を放ってか?」



挿絵(By みてみん) 織田(おだ)信行(のぶゆき)

「このような時こそ宗家との関係を密にすべきと考えたのだろう」



挿絵(By みてみん) 柴田(しばた)勝家(かついえ)

「フン、どうせ鷹狩りに夢中で忘れたのだろう。

なあ丹羽よ」



挿絵(By みてみん) 丹羽(にわ)長秀(ながひで)

「さて……?」



挿絵(By みてみん) 林(はやし)秀貞(ひでさだ)

「いずれにしろ信行殿がおられれば問題あるまい。

兄君よりもよほど頼りになられる」



挿絵(By みてみん) 柴田(しばた)勝家(かついえ)

「まったくだ!」



挿絵(By みてみん) 織田(おだ)信長(のぶなが)

「ああ、まったくだ。だから安心して家を空けられる」



挿絵(By みてみん) 林(はやし)秀貞(ひでさだ)

「こ、これは信長殿……。

宗家への御用事は済まされたのですかな?」



挿絵(By みてみん) 織田(おだ)信長(のぶなが)

「なんのことだ?

俺は村の相撲大会へ出ていただけだ。勝ったぞ」



挿絵(By みてみん) 柴田(しばた)勝家(かついえ)

「ち、父の葬儀を放って相撲大会だと……?」



挿絵(By みてみん) 織田(おだ)信長(のぶなが)

「村人たちとは親父が死ぬ前に約束したからな。

だが親父が死んで悲しいのか、あまり盛り上がらなかった」



挿絵(By みてみん) 丹羽(にわ)長秀(ながひで)

「……そりゃそうだ」



挿絵(By みてみん) 織田(おだ)信行(のぶゆき)

(せっかく上手くごまかしてやったというのに、この男は……)



挿絵(By みてみん) 林(はやし)秀貞(ひでさだ)

「ま、まあせっかく来られたのだ。

まずは上座へ参られよ」



挿絵(By みてみん) 織田(おだ)信長(のぶなが)

「いや、この後は隣村の水泳大会に出る。

焼香だけして帰るとしよう」



挿絵(By みてみん) 佐久間(さくま)信盛(のぶもり)

「……水泳大会も盛り上がらないでしょうな」



挿絵(By みてみん) 織田(おだ)信長(のぶなが)

「そうか? やはり父の影響力は大きいのだな」



挿絵(By みてみん) 柴田(しばた)勝家(かついえ)

(息子が親父の葬儀を放って来てるから、

村人もドン引きしてるだけだろうが……)



挿絵(By みてみん) 織田(おだ)信行(のぶゆき)

「と、とにかく兄上に会えて父も喜んでいるだろう」



挿絵(By みてみん) 織田(おだ)信長(のぶなが)

「異なことを言う。死体は喜ばんぞ。

それに私は昨日も親父の臨終に立ち会ったばかりではないか」



挿絵(By みてみん) 織田(おだ)信行(のぶゆき)

「は、早く焼香を済まされよ!」



挿絵(By みてみん) 織田(おだ)信長(のぶなが)

「大声を出さなくても聞こえる」



挿絵(By みてみん) 林(はやし)秀貞(ひでさだ)

(なんという男だ。

常日頃からおかしいとは思っていたが、ここまでとは思わなんだ。

かくなる上は一刻も早く……んん?

抹香を握ったまま何を呆けているのだ?)



挿絵(By みてみん) 織田(おだ)信長(のぶなが)

「………………」



挿絵(By みてみん) 織田(おだ)信行(のぶゆき)

「あ、兄上……?」



挿絵(By みてみん) 織田(おだ)信長(のぶなが)

「ッ」



挿絵(By みてみん) 佐久間(さくま)信盛(のぶもり)

「し、焼香を位牌に投げつけた……!?」



挿絵(By みてみん) 織田(おだ)信長(のぶなが)

「邪魔したな。後は頼んだぞ信行」



挿絵(By みてみん) 織田(おだ)信行(のぶゆき)

「      」



挿絵(By みてみん) 柴田(しばた)勝家(かついえ)

(な、なんという……。

こんなうつけに従っていては身の、いいや織田家の破滅だ!)



挿絵(By みてみん) 丹羽(にわ)長秀(ながひで)

「………………」



~~~尾張 那古野城下~~~



挿絵(By みてみん) 織田(おだ)信長(のぶなが)

「丹羽か。どうした。私を待っていたのか」



挿絵(By みてみん) 丹羽(にわ)長秀(ながひで)

「水泳大会は勝てたか?」



挿絵(By みてみん) 織田(おだ)信長(のぶなが)

「無論だ。だが佐久間の言った通り盛り上がらなかった」



挿絵(By みてみん) 丹羽(にわ)長秀(ながひで)

「だろうな。まずはこの手ぬぐいで頭だけでも拭け」



挿絵(By みてみん) 織田(おだ)信長(のぶなが)

「ああ。で、何用だ」



挿絵(By みてみん) 丹羽(にわ)長秀(ながひで)

「なぜあんなことをしたんだ?」



挿絵(By みてみん) 織田(おだ)信長(のぶなが)

「あんなこととはなんだ。どのことかわからん」



挿絵(By みてみん) 丹羽(にわ)長秀(ながひで)

「焼香のことだ」



挿絵(By みてみん) 織田(おだ)信長(のぶなが)

「ああ、あれか。

簡単なことだ。作法を忘れた」



挿絵(By みてみん) 丹羽(にわ)長秀(ながひで)

「忘れたとしても、焼香を投げつけるのは違うとわかるだろう?」



挿絵(By みてみん) 織田(おだ)信長(のぶなが)

「細々した間違いをするくらいなら、派手な間違いをしようと考えた。

その方が派手好きだった親父も喜ぶ」



挿絵(By みてみん) 丹羽(にわ)長秀(ながひで)

「親父殿は細々した間違いの方がうれしかっただろうな」



挿絵(By みてみん) 織田(おだ)信長(のぶなが)

「その可能性は否定できない」



挿絵(By みてみん) 丹羽(にわ)長秀(ながひで)

「……なあ織田。お前の唯一の弱点はそういうところだと思うぞ」



挿絵(By みてみん) 織田(おだ)信長(のぶなが)

「どういうところだ。はっきり言わねばわからん」



挿絵(By みてみん) 丹羽(にわ)長秀(ながひで)

「だからそういうところだ。

つまり……その、なんというか、お前は空気が読めない」



挿絵(By みてみん) 織田(おだ)信長(のぶなが)

「そうらしいな」



挿絵(By みてみん) 丹羽(にわ)長秀(ながひで)

「自覚があるだけマシか。まあいい。

また何かあれば、私が必ず苦言を呈そう」



挿絵(By みてみん) 織田(おだ)信長(のぶなが)

「助かる」



挿絵(By みてみん) 丹羽(にわ)長秀(ながひで)

「だが、これから面倒になるだろうな。

林や柴田が黙ってはいまい」



挿絵(By みてみん) 織田(おだ)信長(のぶなが)

「なぜだ?」



挿絵(By みてみん) 丹羽(にわ)長秀(ながひで)

「……わかった。ゆっくり説明しよう。

やれやれ、今日は帰りが遅くなりそうだ……」

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