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アイコン戦国志  作者: 小金沢
中国の章
3/6

一五五一   反乱前夜       (〇〇三)

~~~周防すおう 陶隆房の屋敷~~~



挿絵(By みてみん) すぎ重矩しげのり

「はじめに言っておく。俺はお前が気に食わない」



挿絵(By みてみん) すえ隆房たかふさ

「奇遇だな。俺もだ」



挿絵(By みてみん) すぎ重矩しげのり

「だが事ここにいたっては我々は一蓮托生。

私怨を捨て協力し合わねばならん」



挿絵(By みてみん) すえ隆房たかふさ

「ああ、その通りだ」



挿絵(By みてみん) すぎ重矩しげのり

「我々の目的は一つ。相良さがら武任たけとう大内おおうち義隆よしたかの抹殺だ。

特に俺に謀叛の濡れ衣を着せやがった相良のな!」



挿絵(By みてみん) すえ隆房たかふさ

「すでに根回しは終えた。

大内家の重臣のほとんどは俺たちの味方に付くか、悪くとも中立を保つはずだ」



挿絵(By みてみん) すぎ重矩しげのり

冷泉れいぜい隆豊たかとよはどうなった。説き伏せたか?」



挿絵(By みてみん) すえ隆房たかふさ

「馬鹿な。あの愚直な男が説得になど耳を貸すものか。

そのまま大内に筒抜けになり計画はご破算だ」



挿絵(By みてみん) すぎ重矩しげのり

「むう……。ならばあの勇猛な冷泉を敵に回すことになるのか」



挿絵(By みてみん) すえ隆房たかふさ

「兵力では我々が上回る見込みだ。猛将などどうとでもなる。

それよりも問題は大内を片付けた後のことだ」



挿絵(By みてみん) すぎ重矩しげのり

豊後ぶんご大友おおとも宗麟そうりんには渡りを付けたのだな?」



挿絵(By みてみん) すえ隆房たかふさ

「無論だ。かつて大内が養子にしていたこともある、

大友おおとも晴英はるひでを迎え、新たな当主に据える」



挿絵(By みてみん) すぎ重矩しげのり

「大友宗麟の弟だったな。

……しかし、それは我々が大友家の傘下に入ることにはならんのか?」



挿絵(By みてみん) すえ隆房たかふさ

「大友家はそのつもりだろうな。

だが心配はいらん。九州に多くの敵を抱える奴らが、

海を越えて本州にまで介入する余力はあるまい」



挿絵(By みてみん) すぎ重矩しげのり

「そうか。では出雲いずもの尼子家はどうだ?

大内と我々が対立すれば、漁夫の利を狙って攻め寄せるだろう」



挿絵(By みてみん) すえ隆房たかふさ

安芸あき毛利もうり元就もとなりの協力を取り付けている。

あいつが足止めしてくれるだろう」



挿絵(By みてみん) すぎ重矩しげのり

「毛利だと? あんな小勢に何ができると言うのだ?」



挿絵(By みてみん) すえ隆房たかふさ

「お前はよく俺を謀略家と呼ぶが、真の謀略家はあの毛利だ。

尼子など敵にもならんだろう」



挿絵(By みてみん) すぎ重矩しげのり

「……信用できるのだろうな」



挿絵(By みてみん) すえ隆房たかふさ

「我々の戦力は限られている。

賭けになることは間違いない。だが最善の手は打ったつもりだ。

覚悟を決めろ。下克上に万全など無い!」



挿絵(By みてみん) すぎ重矩しげのり

「お、お前に言われるまでもない。

肚は決まっている。相良とついでに大内の首を挙げてやるとも!」



挿絵(By みてみん) すえ隆房たかふさ

(……相良がこいつに謀叛の濡れ衣を着せるよう煽った甲斐があったというものだ。

さすがに俺一人では決起するには不安だったからな。

だが事が済んだら、お前にも死んでもらう)



~~~安芸 吉田郡山よしだこおりやま城~~~



挿絵(By みてみん) 毛利もうり隆元たかもと

「父上、お呼びですか」



挿絵(By みてみん) 毛利もうり元就もとなり

「うむ。これを読め」



挿絵(By みてみん) 毛利もうり隆元たかもと

「うっ…………」



挿絵(By みてみん) 毛利もうり元就もとなり

「なんだその嫌そうな顔は」



挿絵(By みてみん) 毛利もうり隆元たかもと

「嫌そうなどとは滅相もない。

父上の手紙はくどくどと長くてくどくて長くて、

目にしただけでうんざりするなどとは思っていません」



挿絵(By みてみん) 毛利もうり元就もとなり

「思っているではないか。

――安心しろ。これはわしではなく、陶の書いた手紙だ」



挿絵(By みてみん) 毛利もうり隆元たかもと

「陶と言いますと……あの大内の?」



挿絵(By みてみん) 毛利もうり元就もとなり

「その陶だ。いよいよ決起するらしい」



挿絵(By みてみん) 毛利もうり隆元たかもと

「おお。ようやく大内義隆を討つ決意を固めましたか。

ここまで長かったですな」



挿絵(By みてみん) 毛利もうり元就もとなり

「ついてはわしらに尼子家の足止めをして欲しいそうだ」



挿絵(By みてみん) 毛利もうり隆元たかもと

「すばらしい。

足止めしているだけで大内家を瓦解させてくれるなら、

こんなに良い話はありません」



挿絵(By みてみん) 毛利もうり元就もとなり

「お前はいつも気楽に言ってくれる」



挿絵(By みてみん) 毛利もうり隆元たかもと

「居ながらにして陶も大内も尼子も操ってみせる父上のおかげで、

我ら兄弟は楽ができますからな」



挿絵(By みてみん) 毛利もうり元就もとなり

「わしは何もしておらんよ」



挿絵(By みてみん) 毛利もうり隆元たかもと

「その通りです。何もせずにただ謀略に長けているという噂だけを流し、

ありもしない謀略を恐れて周囲は勝手に踊らされています」



挿絵(By みてみん) 毛利もうり元就もとなり

「お前の目に映るわしは、単なる無能みたいだな」



挿絵(By みてみん) 毛利もうり隆元たかもと

「とんでもない。父上が無能ではないことは、

我ら兄弟も家中の者もみな重々承知しております」



挿絵(By みてみん) 毛利もうり元就もとなり

「そう願っておるよ。

隆元よ、戦の要諦とは――」



挿絵(By みてみん) 毛利もうり隆元たかもと

「戦わずして勝つことでしょう?

何度となくうかがっています」



挿絵(By みてみん) 毛利もうり元就もとなり

「そういうことだ。

さて、ではお前の言うように何もせず高みの見物と行こう。

陶のお手並み拝見だ」

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