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VALGRAVE - END OF GENESIS -  作者: 羽吹南瓜
第1部「覚醒編」
9/27

Chapter 8「人類の資格」

地下施設は崩壊寸前だった。


 天井から降り注ぐ瓦礫。


 火花。


 吹き荒れる警報。


 そして。


 巨大空間中央で対峙する、三機のHX。

《HX-00 ANGEL PRIME》

《HX-01C ヴァルグレイヴ》

未確認紫電型HX

だが。


 その場を支配しているのは、間違いなく《ANGEL PRIME》だった。


 圧倒的。


 ただ存在するだけで、空気そのものが重い。

ソラナムは息を荒げる。


「……人類の資格、だと……?」


『確認。』


『現在人類文明は、危険閾値へ到達。』

 《ANGEL PRIME》背後へ、無数の映像が投影される。


 戦争。


 環境崩壊。


 宇宙資源戦争。


 虐殺。


 コロニー落下。


 燃える都市。

『文明は発展する。』


『だが一定領域を超えると、自滅性を獲得する。』


『それを防ぐため、我々は存在する。』


「ふざけんな……!」


 ソラナムが叫ぶ。


「だから滅ぼすってのかよ!?」

『必要ならば。』


 感情の無い返答。


 だからこそ恐ろしい。


『ソラナム!!』


 リゼの通信。


『地下東ブロックに避難民が取り残されてる!!』


「何人!?」


『百人以上!!』


「ッ……!」

地下施設は既に限界だった。


 HX戦闘の余波だけで崩壊が進行している。


 このままでは、生き埋めになる。


 だが。


 その時。


 紫HXが再び動いた。


『原初個体保護行動継続。』


「まだやる気かよッ!!」


 紫電奔流。


 雷撃が空間を埋め尽くす。

ソラナムは即座に《ヴァルグレイヴ》を前へ出した。


防御。


 黒い粒子がシールド状に展開。


 雷撃が激突する。


 凄まじい衝撃。


「ぐぅッ……!」


 コックピットが震える。


 警告音。


 SYNC RATE上昇。


“53% → 55%”

『終焉因子活性化。』


「うるせぇ……!」


 ソラナムは歯を食いしばる。


 頭の中で声が響き続ける。


『人類は滅ぶ。』


『文明は繰り返す。』


『破壊は必然。』

「だからって……!」


 ソラナムの瞳が鋭くなる。


「全部諦めろってのかよ!!」


 《ヴァルグレイヴ》が加速。


 黒い残光。


 一瞬で紫HX懐へ飛び込む。


格闘戦。


 拳。


 肘。


 蹴り。


 近接特化じみた猛攻。

紫HXが押され始める。


『戦い方が荒くなってる……!』


 リゼが息を呑む。


 今の《ヴァルグレイヴ》は異常だった。


 まるで。


 “感情”に反応している。

ソラナムが叫ぶ。


「俺は知らねぇよ!!」


「文明がどうとか!」


「人類が愚かとか!」


 拳が紫HX装甲を砕く。


「でも!!」


 さらに追撃。

今生きてる奴らまで!!」


「見捨てていい理由にはならねぇだろ!!」


衝撃。


 《ヴァルグレイヴ》の拳が紫HXを吹き飛ばした。


 壁面激突。


 爆炎。


 その瞬間だった。

 《ANGEL PRIME》の赤い眼が、僅かに揺れる。


『……想定外回答。』


「は?」


『自己保存ではなく、他者保存を優先。』


『非合理的。』


「うるせぇ!!」


 ソラナムは怒鳴る。


「人間なんて大体非合理だろ!!」


 一瞬。


 地下空間が静まった。


 その時。


 リゼの声が響く。


『ソラナム!!』


『避難ルート開く!!』

 《セラフィム》が高出力ビームを照射。


 崩落寸前の通路を強引に貫通する。


 避難経路形成。


『民間人誘導開始!!』


 FW部隊も動き始める。


 兵士たちが避難民を守りながら後退していく。


 だが。


 施設崩壊は止まらない。


『地下区画崩落まで残り三分!!』


「三分かよ!?」


 その瞬間。


 《ANGEL PRIME》がゆっくり動いた。


 巨大な腕が上がる。


『人類行動観測。』


 次の瞬間。

重力波発生。


空間固定。


「なっ……!?」


 崩落していた瓦礫が止まる。


 崩壊寸前だった通路が、空中で静止した。


『え……?』


 リゼが目を見開く。

『避難行動を優先。』


 ソラナムが呆然とする。


「……助けてるのか?」


『観測継続。』


 その時。


 紫HXが立ち上がった。


 損傷しながらも、まだ機能停止していない。

『原初個体。』


『何故、人類を保護する。』


 《ANGEL PRIME》は静かに答える。


『確認中。』


 赤い眼が、ソラナムを見る。


『羽吹・K・ソラナム。』


『お前の行動原理を観測する。』

「……俺を?」


『人類最終評価を開始する。』


 ソラナムの背筋が凍る。


 つまり。


 今。


 人類の未来そのものが。


 自分の行動に懸かっている。


 その時だった。

WARNING

MULTIPLE HX SIGNAL DETECTED


 地下施設全体へ警報。


 宇宙マップへ、赤い光点が増えていく。


『増えてる……!?』


 リゼが青ざめる。


 そして。


 《ヘリオス・ベース》外宇宙。


 闇の中から。


 無数の赤い眼が浮かび上がった。

HX群体接近。


 その数。


47。


『うそ……。』


『こんなの、艦隊戦レベルじゃ……!』


 《ANGEL PRIME》は静かに告げる。


『終焉試験開始。』

そして。


 宇宙港コロニーへ向けて。


 HX軍勢が、一斉に動き出した。

次回予告

 《ANGEL PRIME》によって始まった、“人類最終評価”。

 そして接近する。

HX群体 47機。

 宇宙港コロニー《ヘリオス・ベース》へ迫る、

 かつてない規模の殲滅戦。


 人類軍は総力迎撃を決定。

 FW部隊。

 艦隊砲撃。

 HX投入。

 全戦力を投入した防衛戦が始まる。


 一方。

 ソラナムは《ANGEL PRIME》から告げられる。


『終焉因子は、単なる兵器ではない。』



『お前は、“鍵”だ。』



 そして明かされる、

 《ヴァルグレイヴ》の真の能力。

《ARMOR PURGE SYSTEM》

 重装甲を解除し、

 高機動殲滅形態へ移行する禁断機構。

 だがその代償は――

 SYNC RATEの急上昇。


 さらに。

 避難を続ける民間区画で、

 リゼは一人の少女と出会う。

 その少女は、

 何故か《ヴァルグレイヴ》を見た瞬間こう呟く。


「……黒い天使。」



 そして。

 HX群の中に現れる、“人型の敵”。

 それは。

 今までの無機質なHXとは違っていた。


 次回。

Chapter 9

「群青の防衛線」

 守るために戦え。

 世界が終わる、その前に。

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