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VALGRAVE - END OF GENESIS -  作者: 羽吹南瓜
第2部「継承編」
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Chapter 40「約束」

 宇宙が軋む。


 Ragnarokから放たれる終焉粒子は、もはや兵器ではなかった。

 空間そのものを書き換える"災害"。

 赤黒い粒子が触れた宙域は、音もなく崩壊していく。

『空間崩壊率37%!学園防衛シールド、限界です!!』

『このままでは三分以内に全域が消滅します!!』

 司令室に緊張が走る。

 リゼはモニターを見つめたまま、小さく拳を握った。

(ソラナム……。)

 彼は約束した。

 「死なないでくれ。」

 その約束を信じるしかなかった。

 一方、戦場。

 アルティメット・ヴァルグレイブプライム。

 白黒銀の装甲を黄金の粒子が包み、背中の光輪が宇宙に大きく広がる。

 その隣にはノヴァスパーダ。

そして向かい合うはRagnarok

『終焉粒子砲、第二射準備。』

 Ragnarokの胸部が展開する。

 巨大な赤黒い光球。

 惑星すら消滅させる一撃。

「来る!!」

 ソラナムが叫ぶ。

「カナタ!左から回れ!」

「はい!」

 ノヴァスパーダが一気に加速する。

 しかしその瞬間。

 亡霊艦隊が動いた。

 数百。

 いや。

 数千機。

 HX部隊が二人を包囲する。

「なっ……!」

 カナタが息を呑む。

『戦術変更。母艦を守れ。』

 亡霊HX部隊が一斉突撃。

「邪魔だぁぁぁ!!」

 ノヴァスパーダの背部ユニットが展開。

「オールレンジモード!」

 腰部ビット射出。

 一基。

 二基。

 四基。

 八基。

 蒼紫のビームが宇宙を駆ける。

 敵HXが次々と爆散する。

 しかし。

 止まらない。

「多すぎる!!」

『後方!』

 ノヴァリオンが叫ぶ。

 反射的に振り向く。

 そこには大型HX。

 巨大な戦斧。

 振り下ろされる。

「くっ!」

 受け止める。

 衝撃。

 ノヴァスパーダが数百メートル吹き飛ぶ。

「ぐぁっ!」

 警報。

『右腕部損傷。』

 カナタは歯を食いしばる。

(まだ……。)

(まだ止まれない!)

 一方。

 ソラナムは真っ直ぐRagnarokへ向かっていた。

「邪魔だ。」

 レーザーソードを抜く。

 一閃。

 敵三機。

 まとめて真っ二つ。

 二閃。

 五機撃破。

 三閃。

 戦艦の砲塔ごと切断。

 アルティメット・ヴァルグレイブプライムはまるで流星だった。

 誰も追いつけない。

 誰も止められない。

 Ragnarokだけが静かに見つめていた。

『終焉因子、確認。』

『危険度、最大。』

「よぉ、やっと俺を見たか。」

 ソラナムが構える。

「…五年前の続きをやろう。」

『…』

 次の瞬間。

 二機が消えた。

 誰にも見えない。

 カナタですら。

「えっ……?」

 次の瞬間。

 ギィィィィィン!!

 宇宙全体へ衝撃波。

 数十キロ離れた戦艦が揺れる。

 剣と剣。

 一撃。

 その一撃だけで小惑星が砕け散る。

 Ragnarokが横薙ぎ。

 ソラナムは紙一重で回避。

 そのまま蹴り。

 腹部へ直撃。

 Ragnarokが後退する。

 しかし。

『予測済み。』

 赤い粒子刃が一斉展開。

 三十六本。

 全方位から襲い掛かる。

「甘い。」

 ソラナムは笑う。

 光輪がまわり、光る。

 そして一気に開放。

 黄金の波動が爆発する。

 粒子刃を全て吹き飛ばす。

 間髪入れず。

「はあああああッ!!」

 連続斬撃。

 一撃。


 二撃。


 三撃。


 四撃。


 五撃。


 六撃。


 七撃。


 八撃。


 剣撃の嵐。

 Ragnarokが初めて防戦一方になる。

『演算誤差発生。』

『……修正。』

 赤い瞳が光る。

 その瞬間だった。

 Ragnarokの背部が展開する。

「ソラナムさん!!」

 カナタの叫び。

 遅かった。

 無数の赤い杭。

 ビームランス。

 一斉射出。

 ソラナムは三本を叩き落とし、五本を避ける。

 だが一瞬。

 死角。

 一本が背後から迫る。

(しまっ――)

 ガァァァァン!!

 鈍い衝撃。

 アルティメット・ヴァルグレイブプライムが吹き飛ばされる。

「ソラナムさん!!」

 カナタは敵を振り払い、全速力で飛ぶ。

 爆煙の中。

 ゆっくりと立ち上がる白銀の機体。

 右肩装甲が砕けて、黄金の粒子が宇宙へ流れていた。

 それでもソラナムは笑っていた。

「……痛ぇな。」

 操縦桿を握り直す。

「でも。」

 瞳はまだ折れていない。

「ここからが本番だ。」

                 ー続くー

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