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VALGRAVE - END OF GENESIS -  作者: 羽吹南瓜
第2部「継承編」
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Chapter 37「天使降臨」

 白い光が宇宙を包んでいた数千発の粒子砲。

 その全てを受け止めた純白の壁。


 戦場は静まり返る。

 敵も味方も。

 誰もが目の前の光景を信じられなかった。


「止めた……。」

 カナタが呟く。

 戦艦すら一瞬で消し飛ばす火力の砲撃。

 それを。

 一機で。

 ANGEL PRIMEが防ぎ切った。

 純白の翼がゆっくりと広がる。

 その姿は兵器ではない。

 まるで。

 天使そのものだった。

『Ragnarok。』

 ANGEL PRIMEが静かに口を開く。

『観測は終了した。』

『これより、お前を停止する。』

 Ragnarokは赤い瞳を向ける。

『観測者の参戦を確認。』

『演算を修正。』

『脅威度……最大。』

 その瞬間。

 Ragnarokの周囲に無数の赤い粒子刃が展開された。

「来る!」

 ソラナムが叫ぶ。

 一斉射出された宇宙を埋め尽くすほどの刃。

 しかしANGEL PRIMEは動かない。

 ただ右手を静かに掲げた。

 白い光が広がる。

 粒子刃は触れた瞬間、

まるで雪が溶けるように消えていく。

「……なんだよ、あれ。」

 カナタは思わず笑ってしまう。

「反則だろ。」

『反則ではない。』

 ノヴァリオンが答える。

『あれが、本来のHX《人類の観測者》である。』

「本来?」

『我々は戦闘用に発展した。』

『ANGEL PRIMEは違う。』

『あれは文明そのものを監視し、見極め、守るために設計された最初のHX。』

 ソラナムも驚いていた。

 知らなかった。

 ANGEL PRIMEの正体を。

 その時。

『羽吹・K・ソラナム。』

 ANGEL PRIMEから直接通信が入る。

「……なんだ。」

『君に話していないことがある。』

「今か?」

『今だからだ。』

 白い光輪がゆっくり回転する。

『ヴァルグレイヴは未完成だ。』

 ソラナムの表情が変わる。

「……何?」

『終焉因子は完成していない。』

『最後の鍵が存在する。』

 その言葉に。

 ソラナムの脳裏へ、

『その昔、ヴァルグレイヴは二機で一つだった。』


 カナタが息を呑む。

「二機……?」

『一機は終焉を司る機体。』

『ヴァルグレイヴ。』

『そしてもう一機は――』

 その瞬間。

 ANGEL PRIMEの背部光輪が砕け散る。

 白い装甲が変形を始める。


 肩部装甲展開。

 脚部伸長。

 翼が折り重なり、

巨大なバックユニットへと変わる。

 その姿を見たソラナムは、

思わず目を見開いた。

「おい……。」


「その姿は……。」

 どこかで見たことがある。

 いや、知っている。

 五年前の終焉戦争。

 設計図で見た。

 幻の計画。

『正式コード。』

『ANGEL PRIME・ASCENSION MODE。』

『ドッキングシステムを起動する。』


 カナタが驚く。

「ドッキング!?」

 ソラナムは一歩前へ出た。

「待て。」

 ANGEL PRIMEを見る。

「お前……。」

「最初からそのつもりだったのか。」

 ANGEL PRIMEは静かに答える。

『そのために私は五年間、君を観測していた。』

『君が過去を乗り越える日を待っていた。』

『憎しみで戦う君では、この力を扱えなかった。』

『だが今は違う。』

 白い翼がゆっくり広がる。

『君は帰る場所を見つけた。』

『だから資格を得た。』

 ソラナムは何も言えなかった。

 思い返す。

 学園の日々。

 カナタ。

 リゼ。

 仲間達。

 全部が。

 今の自分を作ってくれた。

 だから、(もう迷わない。)

「……分かった。」

 ヴァルグレイヴが前へ出る。

「最後まで付き合え。」

『了解。』

 その時。

 Ragnarokが初めて怒りのような感情(正確には感情模倣プログラムだが)を見せた。

『警告。』

『観測結果修正。』

『終焉計画への重大な障害を確認。』

 赤い粒子が暴走し、宇宙全体が揺れ始める。

『出力制限解除。』

『100%。』

 カナタの顔から笑みが消える。

「100%……?」

 ソラナムも剣を握り直す。

 ついに。

 本当のRagnarokが目を覚ます。

 最終決戦まで、あと一歩だった。

次回予告

Chapter 38「終焉を超えて」


Ragnarok、完全解放。


ソラナム最大の決断。


そしてついに――


ヴァルグレイヴ × ANGEL PRIME


禁断のドッキングが始まる。


亡霊艦隊編、最終決戦開幕。

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