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VALGRAVE - END OF GENESIS -  作者: 羽吹南瓜
第1部「覚醒編」
6/27

Chapter 6 「紫電突破」

警報が鳴り止まない。


 赤色灯が点滅し続けるコロニー内部。


 逃げ惑う民間人。


 崩落する通路。


 そして。


 HX同士の激突。


轟音。


 《ヴァルグレイヴ》と紫HXが再び衝突する。


 黒い粒子。


 紫電。


 衝撃波が通路壁を吹き飛ばした。

「ぐッ……!」


 ソラナムは操縦桿を握り締める。


 コロニー内部。


 通常戦闘とは勝手が違う。


 火力を出しすぎれば民間区画が崩壊する。


 だが。


 敵は一切気にしていない。


『排除行動継続。』


 紫HXが壁面を蹴る。


 異常加速。


 一瞬で視界から消える。


「またかよッ!」

ソラナムは反射的に機体を旋回。


 次の瞬間。


 背後から紫電刃が振り下ろされた。


激突。


 レーザーソードで受け止める。


 火花。


 電撃。


 機体フレームが悲鳴を上げる。


「重っ……!」


 細身の機体に見える。


 だが出力が異常。

単純なパワーなら《ヴァルグレイヴ》級。


『ソラナム!』


 リゼの《セラフィム》が上空通路から飛来。


 白い光翼展開。


 高出力ビーム連射。


 紫HXが高速回避する。


 だが。


 その一瞬で距離が空いた。


「助かった!」


『まだよ!』


 リゼは険しい顔でモニターを見る。

『こいつ、変な動きしてる……!』


「変?」


『戦闘だけが目的じゃない。』


 《セラフィム》の解析画面。


 そこには。


 紫HXの移動ルートが表示されていた。


 そして。


 全ての移動先が、ある一点へ向かっている。

《ヘリオス・ベース》地下区画。


「地下……?」


 ソラナムが眉をひそめた瞬間。


 紫HXが突然後退。


 そして。


 一直線に加速した。


「逃げた!?」


『違う!!』


 リゼが叫ぶ。


『目的地へ向かった!!』


「クソッ!!」

《ヴァルグレイヴ》も急加速。


 狭いコロニー通路を突き進む。


 壁面スレスレ。


 通常FWでは不可能な高機動。


 その後方で、《セラフィム》も追従する。


 地下区画へ続く大型隔壁。


 そこへ到達した瞬間。


 紫HXが腕を突き刺した。


 紫電奔流。


 隔壁爆発。


「ッ!?」

吹き飛ぶ装甲。


 そして。


 その奥にあった光景を見て、ソラナムは息を呑んだ。


 巨大空間。


 地下研究施設。


 無数のカプセル。


 眠る機械。


 そして中央。


 封印されるように鎖で固定された“巨大な何か”。

「なんだ……あれ……」


 黒い装甲。


 人型。


 だが。


 《ヴァルグレイヴ》より遥かに巨大。


 まるで。


 “神の死骸”。


 その瞬間。


 《ヴァルグレイヴ》内部で警告音が鳴り響いた。


WARNING

HIGH SYNCHRO RESPONSE


 赤黒い粒子噴出。


 SYNC RATE上昇。


“41% → 44%”


「ぐッ……!」


 ソラナムの頭へノイズが流れ込む。


『同系統個体。』


『原初機体。』


『接触ヲ推奨。』


「やめろ……ッ!」

ソラナムは頭を押さえる。


 だが。


 《ヴァルグレイヴ》が震えている。


 まるで。


 あの巨大機体へ“近付きたがっている”。


『ソラナム!?』


 リゼが通信を飛ばす。


『SYNC上がりすぎ!!』


「……平気、だ……!」


『全然平気じゃない!!』


 その時。


 紫HXが中央区画へ到達した。

そして。


 巨大機体へ手を伸ばす。


『回収プロトコル開始。』


「待てぇぇぇぇぇ!!」


 ソラナムは《ヴァルグレイヴ》を急加速。


 黒い粒子を撒き散らしながら突撃する。


激突。


 拳。


 衝撃波。


 紫HXが吹き飛ぶ。


 だが。


 次の瞬間。


 紫HX背部ユニット展開。

無数の紫電リング形成。


「なっ――」


放電。


 雷撃が地下空間を埋め尽くした。


 爆発。


 崩壊。


 施設全体が揺れる。


『地下区画崩落します!!』


 管制通信が悲鳴を上げる。


「最悪だろこれ……!」

ソラナムが舌打ちする。


 だが。


 崩れる瓦礫の中で。


 巨大機体の“眼”が、ゆっくり点灯した。


深紅。


 空気が変わる。


 圧力。


 重力。


 存在感。


 その場にいる全員が、本能的恐怖を感じた。


「……うそ。」

リゼの声が震える。


 巨大機体が。


 ゆっくりと。


 動いた。


『……起動確認。』


 低い声。


 古い機械音。


 そして。


 その赤い眼が、《ヴァルグレイヴ》を見つめる。

『終焉因子。』


『適合個体。』


『発見。』


「ッ!?」


 その瞬間。


 《ヴァルグレイヴ》が共鳴した。


 赤黒い粒子が爆発的に噴出する。


SYNC RATE:50%


「ぐああああああッ!!」


 ソラナムが叫ぶ。

視界が赤く染まる。


 頭の奥で、無数の声が響く。


『壊せ。』


『滅ぼせ。』


『世界を終わらせろ。』


『ソラナム!!』


 リゼが叫ぶ。


 だが。


 《ヴァルグレイヴ》は止まらない。


 黒い粒子が暴風のように吹き荒れる。


 地下施設全体が軋む。

そして。


 巨大機体が、静かに名乗った。


《HX-00》

《ANGEL PRIME》


 その瞬間。


 地下施設全体が、絶望的な静寂に包まれた。


Chapter 6 END

次回予告


 地下深部で目覚めた、“原初のHX”。


《HX-00 ANGEL PRIME》


 その存在は、

 《ヴァルグレイヴ》ですら比較にならない圧倒的威圧感を放っていた。


 そして暴走寸前となる《ヴァルグレイヴ》。


 SYNC RATE50%。


 限界を超え始めるソラナムの精神。


『滅ぼせ。』


『それがお前の存在理由。』


 侵食される意識。


 赤く染まる視界。


 HXと人間の境界が、少しずつ崩れていく。

一方。


 リゼは《ANGEL PRIME》を見た瞬間、

 ある“禁忌記録”を思い出す。


 古代文明崩壊。


 星系消滅。


 そして。


 HX戦争。


 さらに。


 地下施設崩壊によって、

 《ヘリオス・ベース》全体へ避難命令発令。


 数十万人規模のパニックが始まる。


 そんな中。


 《ANGEL PRIME》は静かに告げる。

『終焉因子確認。』


『統合プロセスを開始する。』


 次回。


Chapter 7

「原初の天使」


 目覚めてはいけなかった。


 それは、

 “兵器”ではない。

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