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VALGRAVE - END OF GENESIS -  作者: 羽吹南瓜
第2部「継承編」
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Chapter 28「亡霊戦線」

 宇宙が赤く染まっていた。


 無数の光。


 砲火。


 爆炎。


 学園宙域全体が、

 戦場へ変わっていた。


『第三防衛ライン後退!!』


『敵HX群侵入!!』


『迎撃部隊損耗率27%!!』


 通信が飛び交う。


 旧GENESIS亡霊艦隊。


 その戦力は、

 今までの敵と次元が違った。


 量が違う。


 質も違う。


 そして何より。


 迷いがない。


 自律兵器群。


 感情を持たない終末機械。


 ただ文明を終わらせるためだけに、

 進軍してくる。


「くっ……!!」


 カナタは操縦桿を握る。


 ノヴァリオンが高速旋回。


 敵HXの粒子弾を回避。


『右方。』


「分かってる!!」


 光翼展開。


 ビット射出。


 蒼白い光が宇宙を走る。


 敵機撃破。


 でも。


 終わらない。


 次から次へ出てくる。


「なんだよこの数……!!」


 息が荒くなる。


 怖い。


 正直。


 かなり怖かった。


 今までの戦いとは違う。


 “死ぬ”。


 本気でそう感じる。


 視界の端で、

 味方機が爆散した。


「っ……!!」


 心臓が跳ねる。


 手が震える。


 嫌でも理解してしまう。


 これはゲームじゃない。


 本物の戦争だ。


『カナタ。』


 ノヴァリオンの声。


『恐怖を否定するな。』


「……え。」


『恐怖は生存本能だ。』


『正常反応。』


 粒子ブレード展開。


 ノヴァリオンが敵機を切断する。


『だが。』


『恐怖だけで止まるな。』


 カナタは息を呑む。


『お前には、

 守りたいものがある。』


 その瞬間。


 脳裏へ浮かぶ。


 教室。


 笑い声。


 学園祭。


 アカリ。


 レイナ。


 ソラナム。


 日常。


「……っ。」


 そうだ。


 怖い。


 でも。


 失いたくない。


「ノヴァリオン!!」


『了解。』


 光翼最大展開。


 加速。


 宇宙が流れる。


 敵HX接近。


「うおおおおッ!!」


 粒子ブレード一閃。


 敵機を両断。


 だが次の瞬間。


WARNING

HIGH OUTPUT DETECTED


「っ!?」


 巨大砲撃。


 回避が間に合わない。


 死ぬ。


 そう思った瞬間。


 赤い閃光。


 敵砲撃が、

 真横から切り裂かれた。


「……え。」


 黒。


 深紅。


《ヴァルグレイヴ》


「ソラナムさん……!!」


『前見てろ少年。』


 ソラナムの声。


 静かだった。


 でも。


 異様に安心感があった。


 ヴァルグレイヴが前へ出る。


 終焉粒子噴射。


 敵HX群が一瞬で吹き飛ぶ。


 圧倒的。


 だが。


 カナタは気付く。


 以前と違う。


 昔のヴァルグレイヴは、

 もっと危うかった。


 暴力的だった。


 でも今は。


 制御されている。


 まるで。


 “帰ってくる前提”で戦っている。


「ソラナムさん……。」


『なんだ。』


「なんか、

 前より怖くないですね。」


 少し沈黙。


『喧嘩売ってるのか。』


「違いますって!!」


 だが。


 ソラナムは少しだけ笑っていた。


 自分でも分かっている。


 変わった。


 昔は、

 死ぬことが怖くなかった。


 いや。


 どうでも良かった。


 でも今は違う。


 リゼとの約束。


 帰る場所。


 守りたい日常。


 それが。


 ヴァルグレイヴを変えていた。


WARNING

MULTIPLE WARP SIGNATURES


 その瞬間。


 宇宙全体が揺れた。


「なっ……。」


 空間が裂ける。


 巨大ワープゲート。


 そこから現れた。


 巨大艦影。


 黒銀装甲。


 全長数キロ級。


 旧GENESIS旗艦。


 その中央。


 赤い巨大単眼が点灯する。


WARNING

HX-13 SIGNAL DETECTED


 ソラナムの表情が変わる。


「……まさか。」


 カナタが息を呑む。


 空気そのものが重い。


 嫌な予感。


 本能が叫ぶ。


 “あれはダメだ”。


 次の瞬間。


 旗艦中央が開く。


 黒い光。


 赤い粒子。


 そして。


 ゆっくり現れた。


 黒銀の巨人。


 骸骨のような頭部。


 巨大粒子翼。


 禍々しい赤光。


《HX-13 Ragnarok》


 その瞬間。


 周囲のHX全てが停止した。


 まるで。


 “格”が違った。


『文明継続確認。』


 機械音声。


『終末処理を開始する。』


 カナタの背筋が凍る。


 怖い。


 今までで一番。


 でも。


 ソラナムだけは、

 真っ直ぐRagnarokを見ていた。


 その目に宿っていたのは。


 恐怖ではない。


 覚悟だった。

次回予告


 HX-13 Ragnarok始動。


 圧倒的性能差。


 学園防衛線崩壊。


 そしてカナタは、

 初めて“自分の限界”を知る。


『下がれ少年。』


「でも!!」


『死ぬぞ。』


 一方。


 ANGEL PRIMEは静かに告げる。


『最終観測段階へ移行する。』


Chapter 29


「文明終焉機」

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