Chapter 24「ソラナムとリゼ③」
夜風が静かに吹いていた。
学園展望デッキ。
人工灯火の向こうに、
宇宙が広がっている。
リゼは手すりへ寄りかかっていた。
「今日は1日付き合ってくれてありがとう。」
「別に。」
ソラナムが隣へ立つ。
少し沈黙。
遠くで、
学生達の笑い声が聞こえる。
平和な夜だった。
「……終わったわね。」
リゼが呟く。
「まだだ。」
「フレアのこと。」
ソラナムは少し黙る。
「……あいつは最後まで、
前に進めなかった。」
「アンタは?」
その質問に。
ソラナムはすぐ答えられなかった。
「俺は……。」
そこで。
リゼがゆっくり振り返る。
「好きよ。」
静かな声だった。
「ずっと前から。」
ソラナムは驚かなかった。
知っていた。
多分。
かなり前から。
でも。
ちゃんと向き合ってこなかった。
「……。」
「返事、
聞かせて。」
夜風が吹く。
長い沈黙。
そして。
ソラナムは静かに言った。
「1つ約束がある。」
リゼが少し目を瞬かせる。
「……なに?」
ソラナムは、
真っ直ぐ彼女を見た。
「死なないでくれ。」
リゼの目が揺れる。
「……え。」
「もう、
誰か失うのは嫌だ。」
静かな声。
「お前がいなくなるのも。」
その言葉だけで十分だった。
リゼが少し笑う。
でも。
目には涙が浮かんでいた。
「それ、
告白でいいの?」
「……多分。」
「なによそれ。」
リゼが笑う。
泣きながら。
そして。
ゆっくり、
ソラナムの手を握った。
ソラナムは、
今度は振り払わなかった。
「約束する。」
リゼが静かに言う。
「だからアンタも、
ちゃんと帰ってきなさい。」
ソラナムは少しだけ笑った。
「努力する。」
「努力じゃなくて絶対。」
「……善処する。」
「それ仕事の返事。」
二人の笑い声が、
静かな夜へ溶けていった。
その頃。
宇宙深部。
巨大な残骸群。
沈黙していた旧GENESIS艦隊。
その中央。
黒い巨大戦艦の片目が、
ゆっくり点灯する。
WARNING
GENESIS SYSTEM REBOOT
終焉は、
まだ終わっていなかった。
次回予告
学園祭開幕。
「なんで僕メイド服着せられてるの!?」
『似合っている。』
「うるさい!!」
一方、
宇宙では“亡霊艦隊”が動き始める。
そして。
ANGEL PRIMEは、
静かに最終観測を開始していた。
Chapter 25
「春と光」




