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VALGRAVE - END OF GENESIS -  作者: 羽吹南瓜
第2部「継承編」
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Chapter 14 「日常」

「だからなんで僕の写真が出回ってるんだよ……。」


 カナタは机へ突っ伏した。


 昼休み。


 教室の大型モニターには、

 先日の戦闘映像が何度も流れている。


 その中には当然、

 ノヴァリオンも映っていた。


『白きHXと謎の少年』


『学園を救った新世代適合者!?』


「うわぁ……。」


 カナタが顔を覆う。


 周囲の視線が痛い。


「有名人じゃん。」


 アカリがジュース片手に笑う。


「全然嬉しくないんだけど。」


「でも実際すごかったし。」


「いや僕もよく分かってないからね!?」


 アカリは少し笑ってから、

 頬杖をつく。


「で、

 結局あの白いの何なの?」


「ノヴァリオン。」


「名前あんの!?」


「しかも喋る。」


「は?」


 その瞬間。


 教室窓の外を、

 白い小型ドローンが横切った。


 蒼い光。


 見覚えのあるフォルム。


「あ。」


 カナタが固まる。


 ドローンがそのまま窓際へ着地した。


『こんにちは。』


「ぎゃあああああ!?」


 教室中が悲鳴に包まれる。


「なっ、

 何アレ!?」


「ドローン!?」


「侵入!?」


 学生達が一斉に距離を取る。


 一方、

 ノヴァリオン端末は平然としていた。


『騒がしいな。』


「お前なんで学校来てんだよ!?」


『暇だった。』


「暇で来る場所じゃねぇだろ!?」


 アカリが恐る恐る近づく。


「……これ、

 ノヴァリオン?」


『そうだ。』


「マジで喋ってる……。」


 アカリはしばらく眺めたあと、

 少し目を輝かせた。


「……カッコいいな。」


『分かるか。』


「うん。」


『良い感性だ。』


「仲良くなるな。」


 その時。


 教室後方がざわつく。


「え……。」

「マジ?」

「本物?」


 カナタが振り返る。


 そこにいたのは、

 黒い軍服姿のソラナムだった。


「ソラナムさん!?」


 教室の空気が一気に張り詰める。


 本人は気にした様子もなく、

 静かに教室へ入ってきた。


「……天城カナタ。」


「は、はい。」


「ちょっと来い。」


「えっ僕!?」


 数分後。


 学園上層デッキ。


 宇宙が見える静かな場所。


 カナタはソラナムの後ろを歩いていた。


「えっと……。」


 何を話せばいいか分からない。


 すると。


 ソラナムが先に口を開いた。


「少年。」


「はい。」


「ノヴァリオンと、

 どこまで同調してる。」


「え?」


「頭の中に声が聞こえるか。」


「まぁ……

 ちょいちょい。」


「記憶は。」


 カナタは少し迷う。


「……見えました。」


「何を。」


「ソラナムさんの、

 過去みたいなの。」


 沈黙。


 少しだけ空気が重くなる。


「勝手に見えたんです。

 ごめんなさい。」


「謝る必要はない。」


 ソラナムは宇宙を見たまま続ける。


「終焉因子は、

 記憶と感情を共有する。」


「じゃあノヴァリオンも……。」


「あぁ。」


「お前の感情を見てる。」


 カナタが少し青ざめる。


「えっ。」


『割と見ている。』


「うわぁぁぁぁ!!」


 いつの間にか、

 ノヴァリオン端末が肩に乗っていた。


「お前盗み見すんなよ!!」


『やはり人間の「青春」とやらは特に面白い。』


「何を見てんだお前は!!」


 すると。


 ソラナムが少しだけ吹き出した。


「……っ。」


 カナタが目を丸くする。


「ソラナムさん、

 笑うんですね。」


「失礼だな。」


「いやなんかもっと、

 ずっと怖い人かと。」


「怖いぞ。」


『実際かなり怖い。』


「ノヴァリオンお前黙ってろ。」


 少しだけ。


 空気が軽くなる。


 だが。


 その時だった。


『ソラナム少佐。』


 通信。


 リゼの声。


『例の黒紫HX、

 また反応が出たわ。』


 ソラナムの表情が戻る。


『場所は?』


『旧戦争宙域。』


『……やっぱり。』


 短いやり取り。


 通信が切れる。


 カナタが恐る恐る聞く。


「……あのフレアって人、

 本当に敵なんですか。」


 ソラナムは少し黙る。


 そして。


「分からない。」


「え。」


「俺にも、

 まだ分からない。」


 その声は、

 どこか迷っていた。


 宇宙の向こう。


 遠く離れた宙域で。


 黒紫のHXが静かに漂っていた。


 誰もいない暗闇の中。


『……ソラナム。』


 ノイズ混じりの声。


 その赤い片目だけが、

 静かに揺れていた。

次回予告


 学園へ少しずつ馴染み始めるカナタ。


 しかし、

 ノヴァリオンは相変わらず自由すぎた。


『授業とは実に退屈だな。』


「お前途中で寝るな!!」


 一方、

 ソラナムは“フレア生存”の真相を追い始める。


 そして。


 アカリはついに、

 ノヴァリオンの整備をやりたいと言い出す。


「一回触らせて!!」


『断る。』


「なんで!?」

次回

Chapter 15「放課後メンテナンス」

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