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VALGRAVE - END OF GENESIS -  作者: 羽吹南瓜
第2部「継承編」
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Chapter 12 「白いHX」

戦闘終了から二日後。


 学園コロニーは、

 ようやく落ち着きを取り戻し始めていた。


 もちろん完全復旧には程遠い。


 外壁区画は崩壊。


 宇宙港の一部も閉鎖。


 あちこちで修復作業が続いている。


 それでも学生達は少しずつ、

 日常へ戻ろうとしていた。


「……はぁ。」


 カナタは机へ突っ伏した。


 教室。


 昼休み。


 周囲の視線が痛い。


「ねぇ見た?」

「本当にあのHX乗ってたらしいよ。」

「軍の関係者?」

「いや一般入学って聞いたけど……。」


 ひそひそ声。


 カナタはさらに机へ沈む。


「有名人だねぇ。」


 隣から声。


 振り返ると、

 アカリが紙パックジュースを飲みながら笑っていた。


「他人事だと思って……。」


「だって実際すごいじゃん。」


「全然嬉しくないんだけど。」


「私はちょっと嬉しい。」


「なんで?」


「幼馴染が急に御伽噺に出てくるような秘密兵器に乗る主人公みたいな存在になったから。」


「その言い方やめて。」


 アカリはくすっと笑う。


 昔からこうだった。


 距離は近いけど、

 妙に踏み込みすぎない。


 だから一緒にいて楽だった。


「で?」


「ん?」


「本当は何があったの。」


 カナタの表情が少し曇る。


「……言えないこと多い。」


「そっか。」


 アカリはそれ以上聞かなかった。


 代わりに。


「でも無事でよかった。」


 小さくそう言った。


 その時。


 教室モニターが起動する。


『全校生徒へ通達。』


 女性オペレーターの声。


『本日14時より、

 特別戦術講義を行います。』


『担当教官は――』


 画面が切り替わる。


 そこに映った人物を見て、

 教室がざわついた。


『羽吹・K・ソラナム少佐。』


「……えっ。」


 カナタが固まる。


「マジ!?」

「本物!?」

「英雄じゃん!!」


 一気に騒がしくなる教室。


 カナタだけが別の意味で固まっていた。


「お前知り合いなんだろ?」


「いや知り合いっていうか……。」


「羨ましすぎるんだけど!」


「いや怖いぞあの人普通に。」


 その頃。


 学園上層ブロック。


 ソラナムは窓の外を眺めていた。


 修復中のコロニー。


 行き交う作業艦。


 静かな宇宙。


『難しい顔してるわね。』


 後ろから声。


 振り返ると、

 リゼがコーヒー片手に立っていた。


「別に。」


「別にって顔じゃない。」


 リゼは隣へ来る。


「まだ侵食痛む?」


「……まぁな。」


「休めばいいのに。」


「休める立場じゃない。」


 リゼが呆れたように息を吐く。


「相変わらず。」


「何が。」


「全部一人で抱え込むとこ。」


 ソラナムは何も返さない。


 すると。


 リゼが少し笑った。


「でも。」


「?」


「あの子のおかげで、

 少し戻ってた。」


「……少年か。」


「うん。」


 ソラナムは静かに目を閉じる。


 カナタの言葉が、

 まだ頭に残っていた。


『それでも戦ってるじゃないですか。』


「似てないわね。」


 リゼがぽつりと言う。


「誰に。」


「五年前のあなたに。」


「……。」


「だからかも。」


「?」


「あなたが、

 あの子気にしてるの。」


 その時。


 突然、

 警報が鳴り響いた。


WARNING

UNKNOWN SIGNAL DETECTED


『未確認反応接近!!』


『空間ゲート発生します!!』


 ソラナムとリゼの表情が変わる。


 宇宙空間。


 誰もいないはずの宙域へ、

 紫色の亀裂が走った。


 そして。


 ゆっくりと、

 一機の機体が現れる。


 黒紫の装甲。


 異形のシルエット。


 そして。


 左肩へ刻まれた、

 HX識別コード。


HX-XX

UNKNOWN


『……新型?』


 オペレーターが呟く。


 だが。


 ソラナムだけは、

 その機体を見た瞬間に顔色を変えた。


「……嘘だろ。」


 リゼが振り返る。


「ソラナム?」


 彼は、

 その名を呟いた。


「フレア……?」

次回予告


 新たなHX出現。


 しかし。


 その機体から検出された粒子反応は、

 五年前に消えた“ある人物”と一致していた。


『まさか……

 生きてるの……?』


 一方、

 カナタは初めてソラナムの戦闘講義を受けることになる。


「……え、

 怖。」


 そして。


 ノヴァリオンは、

 未知のHXへ異常反応を示し始める。


Chapter 13


「残響」

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