Chapter 6 「初起動」
《ノヴァリオン》が、カナタの前に降り立つ。
純白の装甲。
蒼い粒子光。
黄金のライン。
近くで見ると、
機械というより“生物”に近かった。
「……でっか。」
カナタが呆然と呟く。
『感想が雑だな。』
「いやだって!!」
「HXってもっとこう、
怖い感じじゃないのか!?」
『偏見だ。』
『私は結構フレンドリーな方だぞ。』
「お前基準知らねぇよ!!」
レンが叫ぶ。
だが。
次の瞬間。
宇宙全体が震えた。
重力衝撃。
格納庫の天井が軋む。
『ソラナム少佐押されています!!』
『学園外壁が限界です!!』
モニター。
そこには。
ヴァルグレイヴが、
白銀HX第二形態と激突していた。
黒い粒子。
重力波。
衝撃だけで艦隊が吹き飛んでいく。
「ッ……。」
カナタが息を呑む。
ソラナム。
英雄。
伝説。
だが今は。
明らかに無理をしていた。
侵食紋様。
暴走粒子。
機体出力。
全部が危険域。
『……急ごう。』
ノヴァリオンの声が少し低くなる。
『あの男は、限界を知らない。』
「……。」
『君が行かなければ、
また壊れる。』
その言葉。
なぜか胸に刺さった。
カナタは、
ゆっくりコクピットを見上げる。
怖い。
当たり前だった。
さっきまで学生だった。
戦争なんて知らない。
人を守る覚悟なんて、
持っていない。
でも。
宇宙では。
誰かが命を削って戦っている。
「……死なないよな。」
『保証はできない。』
「おい。」
『だが。』
ノヴァリオンの声が少し柔らかくなる。
『君は一人じゃない。』
その瞬間。
カナタは、
少しだけ笑った。
「……なんか、
お前ズルいな。」
『よく言われる。』
「誰にだよ。」
『まだ一人もいない。』
「ないんかい!!」
カナタは深呼吸する。
そして。
コクピットへ飛び乗った。
《ノヴァリオン》内部
白かった。
どこまでも。
通常FWとは全く違う。
計器が少ない。
モニターも存在しない。
代わりに。
空間そのものへ、
情報が投影されていた。
「うわっ……!?」
『驚くな。』
『これがHX式コクピットだ。』
「未来すぎるだろ……。」
『五年前の人類にも同じことを言われた。』
「いやHX側の感想!?」
その瞬間。
カナタの身体へ、
蒼い粒子が巻き付いた。
「ッ……!?」
『SYNC LINK開始。』
WARNING
MENTAL CONNECTION START
頭の奥へ、
何かが流れ込んでくる。
光。
音。
宇宙。
膨大な情報。
「ぐッ……!!」
『力を抜け。』
『抵抗すると痛い。』
「先に言えぇぇ!!」
次の瞬間。
視界が変わる。
いや。
違う。
“感じる”。
格納庫。
宇宙。
空気振動。
粒子流。
全部が直接脳へ入ってくる。
「な、なんだこれ……!!」
『私の感覚だ。』
『共有している。』
「これがHX……。」
SYNC RATE:12%
15%
18%
数字が上昇していく。
すると。
突然。
カナタの脳裏へ、
知らない景色が流れ込んだ。
白い都市。
空に浮かぶ巨大構造物。
無数の光翼。
そして。
誰かの声。
『――人類は、
まだ可能性を持っている。』
「……誰だ。」
『ノイズだ。』
ノヴァリオンが即座に遮断する。
『今は気にするな。』
だが。
その声はどこか優しかった。
その時。
宇宙側モニターへ警告が走る。
『ソラナム少佐、
侵食率急上昇!!』
『危険域突破します!!』
映像。
ヴァルグレイヴが、
重力槍を押し返している。
だが。
黒い粒子が暴走していた。
まるで。
機体そのものが叫んでいるようだった。
「……ッ。」
カナタは拳を握る。
怖い。
でも。
見ていられなかった。
「ノヴァリオン。」
『なんだ。』
「行くぞ。」
一瞬。
ノヴァリオンが静かになる。
そして。
少し嬉しそうに言った。
『了解した、
相棒。』
「相棒……。」
その響きが、
少しだけ嬉しかった。
次の瞬間。
ノヴァリオン起動。
光翼全展開。
格納庫全体へ蒼い光が溢れる。
『未確認HX起動!!』
『いや違う!!』
『味方機です!!』
学園中が騒然となる。
ノヴァリオンが浮かぶ。
白い粒子が舞う。
まるで天使だった。
『行くぞ。』
「お、おう!!」
『あと酔うかもしれん。』
「は?」
その瞬間。
空間が歪んだ。
PHASE SHIFT
ノヴァリオンが消える。
「うわぁぁぁぁぁぁぁ!?」
カナタの絶叫。
次の瞬間。
宇宙空間。
ヴァルグレイヴと白銀HXの戦場へ、
ノヴァリオンが出現した。
ソラナムの目が見開かれる。
『ッ……!?』
『何故出てきた!!』
「えっ。」
「いやその……勢いで!?」
『勢いで戦場に来るな!!』
『正論だぞ。』
「どっちの味方だよお前!?」
だが。
その瞬間。
白銀HXが、
ノヴァリオンへ反応した。
『新規終焉因子反応確認。』
『危険度更新。』
敵HXの全砲門展開。
重力粒子収束。
『来るぞ。』
「えっもう!?」
次の瞬間。
無数の重力砲撃が放たれた。
次回予告
初陣。
それは、
甘いものではなかった。
『避けろカナタ!!』
「無理無理無理!!」
圧倒的なHXの猛攻。
戦場の現実。
そして。
カナタは初めて、
“人が死ぬ光景”を見る。
一方。
ソラナムは、
ノヴァリオンの戦闘データに違和感を覚えていた。
『……この動き。』
『まさか。』
Chapter 7
「白き光翼」




