Chapter 2「適合者」
次回予告
ついに目覚めた白きHX、
《ノヴァリオン》。
その圧倒的存在感を前に、
学園はさらなる混乱へ陥る。
一方。
カナタの体には、
終焉因子適合による異変が現れ始める。
『SYNC LINK開始。』
『適合率上昇中。』
そして。
現場へ向かうソラナムは、
五年前の戦いを思い出していた。
『もう、二度と繰り返させない。』
Chapter 3
「白き翼」
炎が燃えていた。
EVA士官学校・第二宇宙学区。
本来なら、
戦場になるはずのない場所。
そこが今、
崩壊し始めていた。
『第三ブロック炎上!!』
『隔壁閉鎖急げ!!』
『HXが内部侵入しています!!』
赤い警報灯。
悲鳴。
崩れた通路。
そして。
煙の向こうで、
白銀のHXがゆっくり動いていた。
「ッ……!!」
天城カナタは、
瓦礫の陰へ転がり込む。
息が荒い。
心臓がうるさい。
頭痛もまだ消えていない。
『SYNC TARGET CONFIRMED』
HXが、
こちらを見ている。
明らかに。
狙われている。
「なんなんだよアイツ……!!」
レンが震える声を出す。
「なんでお前見てんだ!?」
「知らねぇよ!!」
叫び返す。
だが。
本当に分からない。
さっき頭へ響いた声。
適合。
起動。
HX-07A。
意味不明だった。
その時。
通路奥から、
武装した警備部隊が駆け込んでくる。
「学生は下がれ!!」
「対象を迎撃する!!」
ライフル展開。
一斉射撃。
青白い閃光がHXへ降り注ぐ。
だが。
効かない。
HXが片手を上げた瞬間。
空間そのものが歪んだ。
「――なッ!?」
粒子障壁。
全弾停止。
次の瞬間。
HXの腕部が変形した。
『HIGH OUTPUT MODE』
青白い砲口展開。
「回避――」
遅い。
閃光。
爆発。
通路ごと吹き飛んだ。
「うわぁぁぁぁぁ!!」
衝撃波でカナタたちも吹き飛ぶ。
耳鳴り。
煙。
熱。
そして。
静寂。
「……ッ。」
カナタが顔を上げる。
目の前。
警備兵たちが倒れていた。
誰も動かない。
レンの顔も青ざめる。
「嘘だろ……。」
HXが歩いてくる。
一歩。
また一歩。
逃げないと。
なのに。
足が動かない。
恐怖だった。
今まで授業で見てきたHX。
映像越しだった怪物。
それが今、
目の前にいる。
『対象を確認。』
『終焉因子適合値、
基準値以上。』
HXの単眼が光る。
『回収を開始します。』
「……だから、
なんなんだよそれ!!」
カナタが叫ぶ。
その瞬間。
HXが腕を伸ばした。
空気が震える。
重力が歪む。
「カナタ!!」
レンが腕を引っ張る。
だが。
間に合わない。
捕まる。
そう思った瞬間だった。
轟音。
壁が吹き飛んだ。
次の瞬間。
巨大な灰色FWが、
HXへ体当たりを叩き込む。
「学生から離れろォォ!!」
EVA防衛部隊。
量産FW。
大型ショットキャノン発射。
HXが後退する。
「今だ!! 逃げろ!!」
隊長が叫ぶ。
カナタたちは我に返る。
「い、行くぞレン!!」
「お、おう!!」
二人は走り出した。
崩壊する通路。
煙。
火花。
背後では、
FWとHXの戦闘音が響いている。
「クソッ……!!」
レンが息を切らす。
「なんなんだよアレ!!」
「分かんねぇって!!」
カナタも叫ぶ。
だが。
頭の奥では、
まだ声が響いていた。
『接続可能。』
『起動承認待機。』
「……やめろ。」
『適合者を保護します。』
「うるせぇ……!!」
頭を押さえる。
レンが驚く。
「お、おいカナタ!?」
「ッ……。」
視界が揺れる。
そして。
一瞬だけ見えた。
暗い格納庫。
巨大な白い機体。
青い光翼。
金色の瞳。
それが。
こちらを見ていた。
次の瞬間。
校内全域へ新たな警報が鳴る。
WARNING
WARNING
【地下封鎖区画 強制解放】
「……は?」
教員たちの顔色が変わる。
『誰だ!?』
『ロックが勝手に解除されてる!!』
『ありえません!!』
カナタの頭痛がさらに強くなる。
『起動シークエンス開始。』
『HX-07A』
『《ノヴァリオン》』
一方。
宇宙空間。
学園周辺では、
激しい戦闘が続いていた。
『こちら第三防衛艦隊!!』
『未確認HX一機に押し込まれています!!』
『応援を――』
通信が途切れる。
爆発。
白銀HXが、
宇宙を高速移動していた。
速すぎる。
通常FWでは追えない。
『なんだあの機動……!!』
『第五世代機クラスだぞ!?』
防衛部隊が混乱する。
一方。
遥か彼方。
一隻の小型巡洋艦。
静かなブリッジ。
『対象宙域へ到達まで、
あと七分。』
オペレーターが報告する。
その前で。
一人の男が宇宙を見ていた。
羽吹・K・ソラナム。
五年前より、
少しだけ大人びている。
だが。
左腕へ残る侵食痕だけは、
消えていなかった。
「……七分か。」
『今回の反応は異常です。』
『終焉因子との共鳴率、
過去記録を上回っています。』
「……。」
ソラナムは目を閉じる。
嫌な予感がしていた。
五年前と同じ。
いや。
それ以上の何か。
『《ノヴァリオン》起動の可能性があります。』
その言葉に。
ソラナムの目が開く。
「……まだ残ってたのか。」
『機密指定HX。』
『正式記録上は、
存在しない機体です。』
「知ってる。」
低い声。
そして。
小さく呟く。
「最悪だ。」
一方。
地下封鎖区画。
巨大な扉が、
ゆっくり開いていた。
暗闇。
冷気。
そして。
その中心。
一体の機体が眠っている。
白。
青。
金。
神秘的なHX。
《ノヴァリオン》。
その瞳が、
ゆっくり発光する。
『適合者接近を確認。』
『SYNC LINK開始。』
「ッぁ……!!」
カナタが膝をつく。
頭の中へ、
大量の情報が流れ込む。
宇宙。
HX。
終焉因子。
知らない景色。
知らない感情。
「ぐ……ッ!!」
『カナタ!?』
レンが支える。
だが。
その瞬間。
白銀HXが、
通路天井を突き破って現れた。
轟音。
崩落。
「うわぁぁ!!」
HXの単眼が、
真っ直ぐカナタを見る。
『適合者を確認。』
『回収を完了します。』
逃げ場はない。
レンも青ざめる。
HXが腕を上げる。
青白い粒子砲収束。
死。
その瞬間だった。
地下深部から、
眩い光が放たれる。
白と青の粒子。
金色の閃光。
そして。
巨大な光翼が、
暗闇を切り裂いた。
『――起動完了。』
次の瞬間。
地下格納庫を突き破り、
一体のHXが飛翔する。
《HX-07A ノヴァリオン》
白き翼が、
学園の空へ広がった。
次回予告
ついに目覚めた白きHX、
《ノヴァリオン》。
その圧倒的存在感を前に、
学園はさらなる混乱へ陥る。
一方。
カナタの体には、
終焉因子適合による異変が現れ始める。
『SYNC LINK開始。』
『適合率上昇中。』
そして。
現場へ向かうソラナムは、
五年前の戦いを思い出していた。
『もう、二度と繰り返させない。』
Chapter 3
「白き翼」




