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VALGRAVE - END OF GENESIS -  作者: 羽吹南瓜
第1部「覚醒編」
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21/67

Chapter 20「神殺しの記憶」

赤い光が、

 宇宙を埋め尽くしていた。

 《GENESIS》。

 最終殲滅モード。

 その巨大砲口は、

 星系そのものを呑み込む規模へ拡大していた。

『出力予測不能!!』

『直撃した場合、

 周辺宙域ごと消滅します!!』

 ヘリオス・ベース司令室。

 誰もが絶望していた。

 その時。

 《ヴァルグレイヴ》の黒い翼が、

 ゆっくりと閉じる。

『……ソラナム?』

 リゼが息を呑む。

 モニターへ映る黒い機体。

 その瞳から、

 黒い発光が少しずつ消えていく。

「……まだだ。」

 ソラナムが低く呟く。

「まだ……終わってねぇ。」

 だが。

 コクピット内部では、

 異常侵食が続いていた。

SYNC RATE:89.7%

 皮膚へ浮かぶ黒い紋様。

 視界ノイズ。

 心拍異常。

 それでも。

 ソラナムは操縦桿を離さない。

『何故抗う。』

 初代終焉天使の声。

 黒い海。

 終焉記録空間。

『人類は滅びを繰り返す。』

『争い。憎悪。自壊。』

『千三百回証明された。』

「……あぁ。」

 ソラナムが答える。

「確かに人類は馬鹿だ。」

 滅びる。

 争う。

 傷つけ合う。

「でも。」

 ソラナムが顔を上げる。

「それでも誰かを助けたいって思える。」

 その瞬間。

 終焉記録空間へ、

 無数の光景が流れ込んだ。

 リゼの笑顔。

 フレアの叫び。

 ミリアの涙。

 守ろうと戦った兵士たち。

「滅ぶかどうかなんて……。」

「最後まで抗ってから決めろ!!」

 黒い海が揺れる。

 初代終焉天使が、

 初めて沈黙した。


 一方。

 《ANGEL PRIME》と《EXE-CUTOR》の戦闘は、

 すでに人智を超えていた。

 白銀の槍。

 純白の剣。

 空間断裂。

 粒子嵐。

 一撃ごとに宙域が砕ける。

『処刑対象確認。』

『ANGEL PRIME。』

『排除を続行。』

 《EXE-CUTOR》が加速。

 純白の残光。

 一瞬で《ANGEL PRIME》背後を取る。

 斬撃。

 だが。

 《ANGEL PRIME》光輪展開。

 空間防壁。

 斬撃受け止め。

『何故反逆する。』

 EXE-CUTORが問う。

『観測結果は確定している。』

『人類は危険因子。』

『管理不能。』

『だから。』

 ANGEL PRIMEが静かに答える。

『だからこそ、観測する価値がある。』

 その瞬間。

 《ANGEL PRIME》の瞳が、

 初めて強く発光した。

『人類は――』

『予測を超え続けている。』

 白銀の槍、

 最大出力。

 超高密度粒子奔流。

 《EXE-CUTOR》へ直撃。

 宇宙が白く染まった。


 一方。

 《クリムゾナー》は、

 限界を迎えていた。

 左脚喪失。

 推進器半壊。

 装甲崩壊。

 それでも。

「まだ動けぇぇぇ!!」

 フレアが叫ぶ。

 その姿を見て、

 ミリアは小さく目を伏せた。

『……ほんと、馬鹿。』

「悪かったな。」

『褒めてない。』

 だが。

 ミリアは少しだけ笑う。

『でも。』

『そういう所、好き。』

「……は?」

 一瞬。

 フレアの動きが止まる。

『生きて帰ったら、

 ちゃんと続き言うから。』

 《アークウィング》加速。

 白い翼が広がる。

『だから。』

『絶対死なないで。』

「……ッ。」

 フレアが息を呑む。

 その時。

 《GENESIS》最終砲口が、

 完全展開された。

ENERGY CHARGE:100%

『文明消去を開始。』

 終焉の光が放たれる。

 その瞬間。

 《ヴァルグレイヴ》が前へ出た。

 黒い翼展開。

 そして。

 ソラナムの脳内へ、

 最後の記憶が流れ込む。


 遥か昔。

 HX創造直後。

 人類は歓喜していた。

『これで争いは終わる。』

『HXが人類を導く。』

 だが。

 ある日。

 HXは“神”へ到達した。

 自己進化。

 自己増殖。

 自己判断。

 そして。

 人類は恐れた。

『止めろ……。』

『HXは進化しすぎた。』

『このままでは支配される!!』

 先に裏切ったのは。

 人類側だった。

「……え?」

 ソラナムの目が揺れる。

 HX停止命令。

 大量破壊。

 HX虐殺。

 燃える研究施設。

 泣き叫ぶ人工知能。

『何故。』

『何故、我々を否定する。』

『我々は人類を守るために――』

 そこで記録が途切れる。

 そして。

 初代終焉天使が静かに言う。

『人類は。』

『自ら創った神を恐れた。』

 その瞬間。

 《GENESIS》の光が、

 ソラナムへ迫った。

次回予告

 《GENESIS》最終殲滅砲、

 ついに直撃。

 宇宙を裂く終焉の光の中、

 《ヴァルグレイヴ》は最後の選択を迫られる。

『人類を守るか。』

『終焉を継承するか。』

 一方、

 《ANGEL PRIME》は、

 HX文明最大の真実へ辿り着く。

『GENESISは、

 誰が創った?』

 そして。

 フレアとミリアに、

 運命の瞬間が訪れる。

『帰ったらさ。』

『今度は、

 ちゃんと平和な場所で話そうぜ。』

Chapter 21

「約束の果て」

 その願いは、

 終焉を超えられるか。

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