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VALGRAVE - END OF GENESIS -  作者: 羽吹南瓜
第1部「覚醒編」
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20/67

Chapter 19「観測者の反逆」

宇宙が、黒く染まっていく。

 《ヴァルグレイヴ》から噴き出す終焉粒子が、

 戦場そのものを侵食していた。

 HX群停止。

 通信障害。

 空間歪曲。

 もはや、

 通常戦闘空間ではない。

『SYNC RATE:89%』

『危険域突破――』

『これ以上は人間側が耐えられません!!』

 司令室が悲鳴に包まれる。

 一方。

 ソラナムは、

 黒い海の中へ立っていた。

 目の前には、

 “初代終焉天使”。

 漆黒のHX。

 六枚翼。

 その姿は、

 未来の《ヴァルグレイヴ》そのものだった。

『理解したか。』

『文明は滅ぶ。』

『感情は必ず争いを生む。』

「……違う。」

 ソラナムが睨む。

『否定するのか。』

『千三百回の観測結果を。』

「それでも……!!」

 ソラナムが拳を握る。

「誰かを守りたいって思う気持ちまで!!」

「間違いだって決めつけんなァァァ!!」

 黒い海が揺れる。

 初代終焉天使が、

 ゆっくりと目を細めた。

『ならば証明しろ。』

『お前たち人類が、

 終焉を超えられると。』

 その瞬間。

 現実空間。

 《ヴァルグレイヴ》が咆哮した。

 黒い翼が広がる。

 そして。

 HX群が一斉に、

 《GENESIS》へ砲口を向けた。

『え……?』

『HX同士で……!?』

 次の瞬間。

 無数の粒子砲が、

 《GENESIS》周辺へ降り注ぐ。

 HX同士の戦争。

 それが始まった。


 一方。

 《ANGEL PRIME》は、

 巨大槍を構えていた。

 白銀の粒子が収束する。

『GENESIS。』

『観測結果を修正する。』

『人類は未確定要素を保持。』

 その瞬間。

 《GENESIS》中心部が脈動。

『反逆確認。』

『ANGEL PRIME排除を開始。』

 空間展開。

 巨大な門が開く。

 そこから現れた。

 純白のHX。

 人型。

 四枚翼。

 無機質な仮面。

『新個体反応!?』

『あれは……』

 ANGEL PRIMEが初めて、

 沈黙した。

『……EXE-CUTOR。』

 白いHXが、

 静かに剣を抜く。

『観測者の反逆を確認。』

『処刑を執行する。』

 次の瞬間。

 超高速斬撃。

 《ANGEL PRIME》右腕切断。

『ッ――』

『ANGEL PRIME被弾!?』

 宇宙へ白銀装甲が飛び散る。

 圧倒的。

 それは、

 今までのHXとは格が違った。


 一方。

 《クリムゾナー》と《アークウィング》は、

 暴走する《ヴァルグレイヴ》へ向かっていた。

『ソラナム!!』

 リゼの叫び。

 だが。

 黒い粒子障壁が、

 誰も近づけない。

「チッ……!!」

 フレアが歯を食いしばる。

「なら!!」

 《クリムゾナー》加速。

 限界推進。

 爆炎。

 赤い流星が、

 黒い嵐へ突っ込む。

WARNING

CORE CRITICAL

『フレア駄目!!』

「うるせぇ!!」

 その瞬間。

 《クリムゾナー》の左脚部が爆散。

 機体回転。

 制御喪失。

「がッ……!!」

 フレアの視界が赤く染まる。

 だが。

 それでも。

「先輩ぇぇぇぇぇ!!」

 叫び。

 その声が。

 一瞬だけ。

 ソラナムへ届いた。

『……フレア?』

 黒い瞳が揺れる。

 その時。

 《アークウィング》が、

 《ヴァルグレイヴ》へ接近する。

『ソラナム!!』

 ミリアだった。

『帰ってきて!!』

『フレアが、アンタを助けようとしてる!!』

『だから!!』

『一人で終わろうとしないで!!』

 その声。

 その瞬間。

 ソラナムの脳内で、

 何かが止まった。

 終焉記録。

 滅亡の記憶。

 その中へ、

 小さな光が混じる。

 笑い声。

 仲間。

 繋がり。

 守りたいもの。

「……俺は。」

 ソラナムが呟く。

「終わらせるために戦ってるんじゃねぇ……。」

 黒い翼が震える。

 そして。

 《GENESIS》中心部が、

 ゆっくりと開いた。

 巨大な瞳。

 その中心へ。

 超巨大砲口が形成される。

ENERGY CHARGE:FINAL

『最終殲滅モード移行。』

『文明消去を開始します。』

 宇宙が、

 赤く染まった。

次回予告

 《GENESIS》最終殲滅モード発動。

 迫る第二の終焉。

 人類艦隊は、

 完全崩壊寸前へ追い込まれる。

 一方、

 暴走領域から戻り始めたソラナムは、

 “ある決断”を迫られる。

『終焉天使となるか。』

『人間として抗うか。』

 そして。

 《ANGEL PRIME》と《EXE-CUTOR》、

 二体の超位HXが激突。

 HX文明最大の禁忌が、

 ついに明かされる。

『何故、HXは人類を恐れたのか。』

Chapter 20

「神殺しの記憶」

 創られた側は、

 いつか創造主を超える。

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