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VALGRAVE - END OF GENESIS -  作者: 羽吹南瓜
第1部「覚醒編」
11/21

Chapter 10「黒き天使」

 宇宙が燃えていた。


 《ヘリオス・ベース》周辺宙域。


 無数の閃光。


 爆発。


 撃墜されていくFW。


 HX群47機による侵攻は、ついに第一防衛ラインを突破していた。


『第三区画炎上!!』


『敵飛行型HX、民間ブロック接近!!』


『迎撃部隊足りません!!』


 通信が悲鳴で埋まる。

その中を。

 黒銀の巨体が突き進んでいた。


《HX-01C ヴァルグレイヴ》


 ソラナムは前方を睨む。

 モニターには、民間避難艦へ向かうHX群。

「……間に合えよ。」


ARMOR PURGE SYSTEM


 赤い文字が表示される。

 リミッター解除。

 重装甲解除。


『ソラナム!!』

 リゼの声。

『それ以上SYNC上げたら危険よ!!』

「分かってる!!」

 ソラナムは叫ぶ。

「でも今は!!」


 操縦桿を押し込む。


EXECUTE?


「――やれ。」


ARMOR PURGE:START


 瞬間。

 《ヴァルグレイヴ》全身装甲が分離した。


排除。


 肩部大型装甲。

 腰部追加ユニット。

 背部重火器。

 全てが宇宙へ射出されていく。


 そして。

 内部から現れる。


漆黒。


 細身になった機体。

 鋭いシルエット。

 赤黒い粒子を纏う高機動形態。

 まるで。

 “拘束を解かれた怪物”。


『なっ……!?』

 FW部隊が驚愕する。


SYNC RATE:60%


「ぐッ……!」

 ソラナムの瞳が赤く染まる。

 頭の中へ流れ込む大量の情報。

 視界が拡張される。

 敵機動予測。

 空間把握。

 熱源解析。

 通常人類では処理不能な領域。


 だが。

 《ヴァルグレイヴ》は止まらない。


加速。


 一瞬で消える。

『消え――』

 次の瞬間。

 HX群中央で爆発が起きた。


超高速戦闘。


 黒い残像。

 斬撃。

 拳撃。

 粒子砲。

 飛行型HXが次々と切り裂かれていく。


『速すぎる……!!』

『センサーが追えない!!』


 ソラナム自身も感じていた。

 身体感覚が薄れていく。

 代わりに。

 機体そのものになっていく感覚。



『最適。』



『殲滅効率上昇。』



「黙れ……!」

 だが。

 その声すら、どこか心地よい。


 その時。

 《THRONE》が前へ出た。



『終焉因子出力上昇確認。』



「……お前。」



『人類保護行動継続。』



『理解不能。』



「理解しなくていい。」

 ソラナムは構える。

「守りたいから守る。」



『非合理的。』



「そうだよ。」


激突。


 《THRONE》と《ヴァルグレイヴ》。

 宇宙空間で高速戦闘が始まる。

 青い粒子。

 赤黒い粒子。

 光が交差する。


 だが。

 次の瞬間。


新反応接近。


『高エネルギー反応!!』

『新型HX来ます!!』


 宇宙の闇。

 そこから現れたのは。


白銀の騎士。


 巨大ランス。

 マントのような装甲。

 頭部には王冠型アンテナ。

 そして。

 金色の単眼。


《HX-13》

《LANCELOT》


『また人型……!?』


 《LANCELOT》は静かにランスを構える。

 その動きには、“意思”があった。



『原初個体命令確認。』



『終焉因子確保を開始する。』



「来るぞッ!!」

 ソラナムが叫ぶ。


突撃。


 速い。

 紫HXすら超える直線機動。

 黄金の残光。


激突。


「ッッッ!!」

 《ヴァルグレイヴ》が吹き飛ばされる。

 凄まじい衝撃。

 装甲火花。


『ソラナム!!』


 《LANCELOT》はさらに追撃。

 高速連続突き。

 まるで騎士の剣技。


「こいつ……!」

 ソラナムは辛うじて回避する。

 だが。

 敵は異常に強い。


 その瞬間。

 《THRONE》が静かに告げた。



『HX-13《LANCELOT》。』



『近接戦闘特化型。』



『終焉因子回収執行者。』



「物騒な肩書きだな……!」


 一方。

 コロニー内部。

 地下シェルター。

 リゼは避難誘導を続けていた。


「急いで!!」

「子供優先!!」

 兵士たちも必死に動いている。


 その時。

 リゼは、あの少女を見つけた。

 白い髪。

 赤い瞳。

 静かな表情。


「あなた……。」


 少女はモニターに映る《ヴァルグレイヴ》を見る。



「黒い天使が泣いてる。」



 リゼが息を呑む。

「……どういう意味?」


 少女は静かに呟く。



「あの子、壊れる。」



 その瞬間。

 宇宙空間で。

 《ヴァルグレイヴ》内部警告が鳴り響いた。


WARNING

SYNC RATE:64%


「ッ……!!」

 ソラナムの視界が赤く染まる。

 脳裏へ無数の声。



『壊せ。』



『滅ぼせ。』



『全テヲ終ワラセロ。』



 そして。

 《ヴァルグレイヴ》の装甲が、さらに変形を始めた。


Chapter 10 END

次回予告

 《ARMOR PURGE》によって解放された、

 《ヴァルグレイヴ》高機動殲滅形態。

 だがその力は、

 ソラナムの人間性すら削り始めていた。


SYNC RATE:64%

 限界を超えていく同期率。

 脳へ流れ込むHX戦争の記憶。

 そして。

 《ヴァルグレイヴ》は、

 さらに新たな形態へ変貌を始める。


 一方。

 新型人型HX《LANCELOT》参戦。

 圧倒的近接戦闘能力によって、

 《ヴァルグレイヴ》を追い詰めていく。

 さらに《THRONE》も動き出し、

 戦場は“三機の人型HX”による超高速戦闘へ突入。


 そして。

 地下シェルターで出会った謎の少女。

 彼女はリゼへ告げる。


「黒い天使を止められるのは、あなたしかいない。」



 さらに明かされる。

 少女自身もまた、

 HXと深い関係を持つ存在だということ。


 その頃。

 《ANGEL PRIME》は宇宙空間を見つめながら、

 静かに観測を続けていた。


『終焉因子、覚醒段階移行。』



『人類最終試験を継続する。』



 次回。

Chapter 11

「覚醒領域」

 力を使えば壊れていく。

 それでも、

 守りたいものがある。

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