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愛があれば  作者: ロッティー
第三章『決別』
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第三章4『すれ違い』


 八月十八日十四時 西宮美咲


 家に上がると、されるがままに居間へと連れてかれた。


 居間に入ると木目のローテーブルに、座椅子。ブラウン管テレビが目に入った。どうやら、居間と台所が隣接しており、ふと横に目をやると、少し開いた襖から生活感のある台所が見える。


 ――陸さんはこの家で青春の時代を過ごしていたのか。


 と少し感慨深い感情になった。


 ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ ※ 


 八月十八日十五時 佐藤陸


 「最近は三年生になって単位履修と就活も重なって忙しいけど楽しいよ」


 ――鬱陶しい。


 帰省してから約一時間経過した。今の僕はというと、母さんからの質問責めに嫌気が差してきていた。

 

 心配性の母さんは色々なことを訊いてきた。バイトの事、大学の事、一人暮らしの事、彼女の事、交友関係の事。正直に言うと、鬱陶しい。でも、母さんに愛されている様な気がして、そこまで嫌いではなかった。


 父さんはと言うと、胡座をかいて座椅子に座っていた。


 美咲の事を一瞥すると、少し頬を緩めた。






 ――昔から母さんは心配性だった。僕がかすり傷一つつけて学校から帰ってきた日には、すぐ病院に連れていった。


 紗良が死に、病んで荒んで、学校に行かない時期があった。その時も母さんは、俺を肯定して、甘えさせてくれた。


 そんな母さんが、僕は好きだった。


「陸、お前『過去』は乗り越えたのか?」


 と父さんがぶっきらぼうに言う。


 父さんが言う『過去』とは紗良との事だ。


 到底僕はあの日の事を忘れる事は出来ていない。


「……まだ乗り越えられてない」


「……そうか」


 父さんはしかめっ面をしていた


 ――文句があるなら言えばいいのに。


 隣にいる美咲は顔を傾げながら話を聞いていた。


 ――そういえば、美咲に紗良の事教えてなかったな。


 父さんは困惑した美咲を見た。


「お前、隣の子の様子を見るに、紗良ちゃんの事伝えてないな」


「紗良……ちゃん……?」


 怒りながら言う父さんと、聞いた事がない名前に困惑する美咲。そんな二人を見つめる母さん。


「伝える機会がなかったんだ」


「言い訳するな」


 僕の言い訳を訊く気がない父さんに苛立ちを感じた。


「あっそ、ならいい」


 僕は美咲を連れて、家を出た。



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