第三章3『景色と思い出』
七月二十三日二十時 佐藤陸
暑い。夏の日差しがじりじりと体を蝕む。
夏がくる。嫌、また来た。今年も例外はなく紗良を思い出す。
横に美咲がいるのに。僕は最低な奴だ。
紗良が近くにいる気がしてなんだか中学生の時に戻った気がした。
「ねえ、美咲」
僕は彼女にそう呼びかけた。
彼女はそんな僕を見て、微笑みながら「どうしたの」と言った。
「八月くらいになったら実家に帰省するつもりだけど、美咲も来る?」
ぶっきらぼうに言うと、彼女はにこやかな笑顔を見せながら「もちろん! 行く!」と言った。
そんな彼女を尻目に、僕は踊る心を抑え、冷房の効いた涼しい店内に入った。
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八月十八日十三時 佐藤陸
がたがたとした田舎道を走るタクシーに揺られ、僕達は僕の実家へと向かっていた。
僕の実家は、小さな町にある普通住宅だ。町といっても発展している訳ではなく、アスファルト舗装されてない道も度々ある。
――懐かしいな。昔は、ここを紗良と一緒に走ったっけ。
タクシーの窓から見える景色と昔の思い出を重ねる。懐かしさに目が潤う気がした。
「陸さん? 泣いてるの?」
「ああ、少し昔を思い出してね」
「そうなんだ」
隣に座っている美咲が僕の事を見つめていた。
――美咲は優しいな。
そんな事を考えていると、タクシーは目的地に着いた。
僕は白髪混じりの運転手に、代金を払い、タクシーを降りた。
「これが、陸さんのお家?」
美咲が、目の前にある家に指を指した。僕は「そうだよ」と肯定した。
美咲は家の玄関まで行くと、インターホンを押した。しばらくすると、
「はい、いらっしゃい」
と母さんが出てきた。




