009 『決着の幕引き』~強欲な雑貨屋の末路。裏切りの代償を生命力で支払わせ、悪意を根絶やしにする。~
ドカッ!
俺は制圧した3人の冒険者を引き連れ、雑貨屋の扉を蹴り開けた。
店内に響く鐘の音と共に、俺は一歩踏み出し、背後で丁寧に扉を閉める。カチリと鍵が掛かる音。これで、ここから漏れる悲鳴は外には聞こえない。
「……ん? どうした? 小僧を殺して魔石を奪うんじゃなかったのか? 魔抜けの小僧なんて、どうせ死体も汚いだろうが」
カウンターの奥から、雑貨屋の親父が呆れたように鼻で笑った。
俺の姿を認めても、冒険者たちが俺を捕らえていると勘違いしているらしい。だが、冒険者たちの顔を見ろ。彼らは俺の背後で、まるで死神を見るような目をして震えている。
「おい、何を突っ立ってる。さっさと小僧を始末して――」
俺は全身に『気』を爆発させ、カウンターを蹴り砕いた。
木片が弾け飛ぶ中、俺は親父の懐へ踏み込み、その頬に右拳を叩き込む。
「ぐぇっ!?」
親父は壁に叩きつけられ、その場に崩れ落ちた。
俺は動揺する冒険者たちに視線も向けず、淡々と命令を下す。
「本日休業の貼り紙を貼ってこい。……掃除の邪魔だ」
「は、はいッ!」
冒険者の一人が顔面蒼白で飛び出していく。俺は這いずり回る親父の元へ歩み寄った。
「――殺して魔石を強奪する、か。随分と景気のいい商売をしてるじゃないか」
「ひ、ひぃぃ……っ! 言葉の綾だ! 冗談だ、許してくれ……!」
親父は泣き叫びながら土下座をした。
だが、気配検知が告げている。その目にはまだ殺意がある。隠し持った魔道具への執着と、俺をどう出し抜くかという邪念。演技すら下手くそだ。
俺は冒険者たちに目を向けず、冷たく言い放つ。
「この親父はこう言ってるぞ。お前ら、俺に嘘をついたのか?」
冒険者たちが慌てて首を振る。
「違う! 本当だ! 魔石を山分けにする約束だったんだ!」
その瞬間、親父の殺気が跳ね上がった。
親父が懐から取り出した魔道具を振り上げる。
だが、遅い。
俺は親父の腕を掴み、そのまま手首の骨を握り潰した。
「ぐあああああああっ!!」
親父の絶叫が店内に響く。俺はその手から奪い取った魔道具を手に取る。
「ほう。拘束用の魔道具か。小細工をする余裕があるんだな」
「てめぇ……! 俺に手を出せば闇ギルドが黙っちゃいねぇぞ! 魔抜けの小僧が闇ギルドを敵に回して、ただで済むと思ってるのか!」
脅し文句。それすらも、かつての俺なら恐怖したかもしれない。だが、今の俺には虫の鳴き声と変わらない。
「上等だ」
俺は迷いなく、指先から『気』を放つ指弾を親父の額へ撃ち込んだ。
親父の身体がくの字になり、そのまま動かなくなる。
「さて。次は証拠隠滅だ」
俺は倒れ伏す冒険者たちへ掌を向けた。彼らもまた、この悪徳商売の共犯者だ。見逃す理由はどこにもない。
「ま、待ってくれ! 俺たちはただ――」
彼らの弁解を聞く耳は持たない。
『気』を極限まで引き絞り、彼らの生命そのものを吸い上げる。
「吸い尽くせ」
冒険者たちは悲鳴を上げることもなく、人形が糸を切られたように床へと倒れ込んだ。
店の内には、静寂だけが残る。




