085 ユキの事情
凍った都市に行って氷の精霊?を従魔にした。
氷の精霊って言うか雪女だった。
雪の精霊じゃん。
異世界から精霊召喚って何でもありだなぁ。
雪女のユキから事情を聞いた。
江戸時代の日本から召喚された。
貧しい雪国の農村で生まれ、借金を抱えた家から遊郭に売られた。
花魁言葉は方言や訛りを隠す、上品で艶のある言葉として教え込まれた。
身分の高いお客が多い花魁がある時、
とある藩の機密情報を聞いたのが、悲劇の始まりだった。
情報漏洩を恐れた藩が、その遊郭を襲撃し皆殺しにしたのだ。
殺された花魁の中には身請けが決まって、あと少しで地獄の生活からやっと抜け出せるはずだった者もいた。
ユキもその1人。
愛し合う男の元へ行けるはずだった。
しかも遊郭襲撃を聞いて助けに来た男も殺される。
しかも花魁達は陵辱の上殺される。
愛した男を目の前で殺され、陵辱されて、深い恨みを抱きながら死んでいくユキ達。
遊郭は証拠隠滅の為放火されて全焼。
その日は街に雪が降っていた。
数日後、ユキは雪女として蘇っていた。ユキは遊郭を襲撃した者達に1人づつ復讐していく。
そして、愛する男を殺し自分を陵辱した男に復讐する寸前、この世界に召喚された。
恨みが自分を召喚した魔族へ替わっていく事も分からなくも無い。
魔神パズズのバズと鵺のライヤも魔族へは怒りがあるそうだ。
しかし、召喚した魔族は強大な魔力を持ち軍団を率いる。
ユキは玉砕覚悟で復讐を考えていた。
それが分かるバズは、ユキの決意を聞いても無言を貫いた。
既に俺の配下にいるバズは自分で決められず、俺に判断を委ねた。
ユキも自分より強い俺を知って、期待があるんだろうね。
「で、俺に打倒魔族を手伝って欲しいと言うことか。」
ユキ、バズ、ライヤは期待の表情。
「わちきは既に従魔の身でありんす。決める事など出来んせん。でも、手伝って貰えれば嬉しいでありんす。」
バズとライヤはうんうんと頷く。
「良いよ。」
「まことでありんすか、嬉しいでありんすぇ。」
ユキが俺に抱きついてきた。
頭を撫で撫でする。
気を全身に循環させて火照った俺に、ユキの冷たい身体が気持ち良い。
バズとライヤは満面の笑み。
「と言うか、恐らく俺達は既に魔族と敵対関係にある。
猫の王国で魔族を1人倒して、魔王軍の計画を潰しているからね。」
しかし、仲間が増える度に敵も増えて行くな。
俺の生まれた村。苛めた奴等。
エリの復讐で冒険者と貴族。
ハルカの復讐で冒険者と貴族。
猫の王国。妖精国。魔王軍。
闇ギルドと冒険者ギルドも怪しい。
魔法偏重社会なんてどうすれば良いかも分からんよ。
ペロの復讐でダルアを陵辱した冒険者パーティー『極炎の宴』を倒し、同じくペロの復讐でドラムを封印した魔族マロンを倒した。
まだまだ敵は多いな。
結構無茶もしてるなぁ。
「但し、今すぐ行動する気は無いよ。俺達もまた復讐する敵がいるし、仲間の命も大事だ。出来れば敵の戦力を知って入念に準備もしたい。」
皆、うんうんと頷いてる。
「バズ、ライヤ、ユキも俺達の過去と復讐の相手を聞いてくれ。」
俺達は自分達のそれぞれの過去と復讐したい相手を精霊達と共有した。
恨みを持った者が集まっちゃった。
俺達に名前を付けるなら『復讐の牙』にでもなるんだろうか。
絶対名前とか付け無いけどね。
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