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復讐の異世界転生者 ~魔法適性ゼロの『魔抜け』、前世の知識と『気功』を極めて魔法至上主義を粉砕する~  作者: ボルトコボルト


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082 【空を駆ける蜻蛉、凍てつく妖精の国】誤解が生む殺意と、明かされる滅びの真実

 ■空中戦、そして捕縛

 森の空は、突如として激戦の舞台へと変貌した。ライヤの雷撃によって妖精たちの前衛は壊滅したものの、残った三人は執念深く俺たちを攻撃し続けている。


 特にリーダー格であるトンボの翅を持つ男は、視認することすら困難な超高速機動で空中を舞い、精度の高い一撃を繰り出してくる。


「その雷撃……やはりお前たちが精霊を操る黒幕だ! 我が同胞を傷つけた報い、ここで受けてもらうぞ!」


 男の槍が空を切る。蝶の翅を持つ二人の女妖精も、休む間もなく無詠唱の火炎魔法を叩き込んでくる。エリが展開する結界の盾が、火球が弾けるたびに火花を散らす。


「あー……面倒臭いな。ただ通り過ぎたいだけなのに」

 俺は周囲に『生命力吸収ライフドレイン』を薄く展開してみたが、妖精たちの飛行速度と小柄な体躯にはうまく噛み合わない。あいつら、見た目以上に生命力の密度が高い。


「ショータ、銃で撃ち落とそうか? 殺してもいいならやるよ。……もっとも、小さすぎて当たるか分からないけどね」

 ダルアが愛銃を構えるが、殺意が強すぎる。


「僕の風刃も同じだ。かすれば真っ二つだよ」

 ハルカも殺る気満々で杖を掲げている。エリに至っては弓を番え、一撃必殺の狙いを定めていた。


「いや、待て。こいつらも何者かに操られている可能性がある。むやみに殺すのは得策じゃない」

 俺は空を見上げ、アイテムバッグに手をかけた。


「……バズ、頼む。あいつを捕らえてくれ」

『承知シタ』


 エリの指示により、精霊の腕輪から突風が吹き荒れる。魔神バズズが顕現した。バズの姿は瞬時に風の渦と化し、空を支配する。リーダーの妖精が驚愕の声を上げたのも束の間、バズが作り出した突風の檻が、逃げ場を完全に塞いだ。圧倒的な格の違い。リーダーは風に翻弄され、成す術もなくバズの掌にその身を掴まれた。


「離せッ! 俺の父は将軍だぞ! 妖精国の総力を持って、貴様らを一匹残らず叩き潰してやる!」

 リーダーはバズの巨大な指の中でジタバタと暴れるが、バズの握力は微塵も揺らがない。


「へぇ、将軍の息子か。随分と威勢がいいことだ」

 俺は冷ややかに言い放つ。


「妖精国が相手? それでもいいよ。俺たちは本気でいくからな。国ごと消し飛ばす覚悟があるなら、そのまま吠えていればいい」


 俺の殺気に、リーダーの顔色が変わる。彼は自分が相手にしているのが、ただの旅人ではないことを直感したのだろう。


 ■尋問、そして氷の真実

 俺は男の腹に人差し指を突き立て、死なない程度の出力で『生命力吸収ライフドレイン』を叩き込んだ。男の生命エネルギーが霧散し、脱力感に支配されていく。


「ペロ、こいつらを拘束しろ」

 俺の影から、闇の触手がぬるりと這い出てきた。触手は気絶していた女妖精たちを無造作に縛り上げ、俺の目の前へ転がす。


 リーダーは呆然としていた。死なない程度の力加減、そして影から現れる闇の力。俺たちが圧倒的な強者であることを、身をもって理解したはずだ。


「安心しろ。まだ誰も死んじゃいない。だが、俺の質問に答えなければ……状況は変わる」

 俺は氷のような眼差しでリーダーを見据えた。

「なぜ俺たちを襲った? 俺は何もしていないはずだ」


「……お前たちが、精霊の黒幕だからだ! お前たちが精霊をけしかけているせいで、妖精国は滅びかけているんだぞ!」

 リーダーは怒りに震えながら叫ぶ。


「滅びかけている……だと?」


「とぼけるな! 妖精国の三分の一は、今も凍りついているんだ! お前たちが連れている精霊たちが、街を凍らせて回っているんだろうが!」


 その言葉に、俺とエリは顔を見合わせた。

 凍りついている……? 妖精国が?

 まさか、ただの精霊の暴走ではなく、大規模な侵略が行われているのか。


「……そいつらはどこにいる? 妖精国を凍らせている精霊の居場所を言え」

「北の都市だ。……フン、知らないわけがないだろう!」


 情報はビンゴだ。だが、まだ他にも敵がいる。

「他にも妖精を殺している精霊はいるのか?」

「……いる。西の森だ。火の精霊の狐が、全てを焼き払っている」


 火の精霊の狐……。

 なるほど。北には氷を操る精霊、西には火を操る精霊か。これは単なる偶然の暴走ではない。どこかで統率され、意図的に破壊活動を行っている者たちがいる。


「……情報、感謝する。ライヤ、こいつを黙らせろ」

『承知』


 ライヤが放った極小の電撃が、リーダーの脳天を貫いた。男は白目を剥き、そのまま力なく崩れ落ちる。


「……精霊の黒幕、か。お門違いも甚だしいな」

 俺は空を見上げた。妖精国は今、かつてない危機に瀕している。そして俺たちは加害者と誤解されている。


「エリ、予定変更だ。妖精の国へ急ぐぞ。……俺たちの無実を証明するためにも、その『火の狐』とやらを潰してやる」


 俺の中で、冒険者としてではなく、この土地の秩序を乱す者への怒りが静かに燃え上がった。次の戦場は、氷と炎に包まれた妖精の国だ。

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