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復讐の異世界転生者 ~魔法適性ゼロの『魔抜け』、前世の知識と『気功』を極めて魔法至上主義を粉砕する~  作者: ボルトコボルト


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079 【雷鳴の神獣】異界より来たりし殺戮者、風の魔神と迎える電撃の邂逅

 ■殺戮の正体と、異界の影

 豪華な夕飯とふかふかのベッド。昨日までの野営とは打って変わった、贅沢な一夜だった。しかし、翌朝の食堂で俺たちの耳に届いたムナジーの話は、そんな安らぎを一瞬で吹き飛ばすほど不穏なものだった。


「感電死……黒焦げの遺体……か」


 食堂の席で、俺は眉をひそめた。ムナジーの語った事件の内容は、ただの事故とは思えない。食後、宿の一室に戻った俺たちは、早速エリを交えて緊急会議を開いた。


「どう思う、エリ。これって、やっぱり精霊の仕業だよな?」


「うむ。ムナジーの話を聞く限り、魔物なら獲物を喰らうはず。黒焦げの死体がそのまま放置されているという事は、『殺すこと』そのものが目的……あるいは娯楽というわけじゃな。人族か、精霊の仕業であることは間違いない」


「人族がこれほど広範囲に殺戮を繰り返すのは不自然だ。やっぱり……異界から呼び出された精霊の類か」


 俺は即座に決断した。

「エリ、パズズに聞いてくれ。もし精霊なら、心当たりがあるはずだ」


「了解じゃ。……離れていても、契約精霊とは念話で会話できるからの」


 エリが静かに目を閉じる。数分間の沈黙が流れた。彼女の額に薄っすらと汗が浮かぶ。やがて、彼女は目を見開いた。


「……話を聞いたぞ。とんでもないことが分かった」


「どうした?」


「どうやらパズズと同じく、魔王軍の術式によって異世界から召喚された『雷の神獣』なるものが存在するらしい。どうやらそいつが泉から飛び出したまま、戻ってきていないようなのじゃ」


「ビンゴか。道理で街で人が死ぬわけだ」


「それだけではないぞ。どうやら召喚された精霊たちは、元からこの世界にいた精霊たちと仲が悪いらしく、命令を無視して勝手に徘徊しておるらしい」


「まだ他にもいるのか……?」


「他にも数体、召喚されている可能性がある……」


 俺たちの間に戦慄が走る。

 しかし、同時に俺の中で一つの野望が鎌首をもたげた。

「いっそのこと、その連中全部、契約しちゃおうか」


「……主様らしい考えじゃ。強力な実力者ばかりなら、味方にすれば戦力は飛躍的に上がるのう。是非、そうしよう」


 パズズの助言によると、雷の神獣は「直接言葉を交わさねば話が通じないほど狂っている」という。

 俺たちは即座に宿をチェックアウトし、街の外の人の目につかない深い森へと向かった。


 ■魔神の召喚、嵐の予兆

 森の木々が密生する場所で、俺は気配探知を全開にし、周囲に誰もいないことを確認する。

「よし、エリ。召喚してくれ」


 エリが静かに魔力を練り上げる。彼女の手のひらから光の粒子が溢れ、空間が歪む。

「――出でよ、風の魔神パズズ」


 空間が切り裂かれ、突風が巻き起こる。その中心に、かつての恐怖――3メートルの巨躯を誇る魔神パズズが顕現した。だが、今のパズズからは殺気ではなく、主に対する恭順の意しか感じられない。


「やあ、パズズ。お疲れさん」


「……オ疲レ様デス、ショータ殿。早速デスガ、雷丿神獣丿場所ヲ特定シマス」


 パズズは無駄な挨拶を切り上げると、森の気流そのものを支配するように右手をかざした。風の探知スキル。森全体を網羅する情報が、パズズの脳内に直接流れ込む。


「……アッチニ、特異な魔力を感知シマシタ。我ニ続イテクダサイ」


「ドラム! 全員乗れ!!」


 俺たちは迷わずドラムの背に飛び乗った。

 パズズを先頭に、ドラムが地を蹴り、森を駆け抜ける。進めば進むほど、空の色が変わっていく。先ほどまで晴れ渡っていた青空が、急速に鉛色の雲に覆われ、湿った風が肌を刺す。


「近クニ居ル……!」

 パズズの声が響いた瞬間、頭上で閃光が走った。


 ズドンッ!!

 鼓膜を揺らすような爆音が轟く。見上げれば、雷雲が渦巻き、その中を稲妻が蛇のように走り回っている。


「なんだ……あれは」


 俺はドラムの上で言葉を失った。パズズがドラムの直前で立ち止まり、右手を突き出す。その瞬間、パズズの手のひらに、凄まじい雷撃が直撃した。


 バチバチバチッ!!

 空気が焦げる臭い。光速を超えて放たれる雷の連撃。

 雷雲の隙間に、黒い影が浮かび上がる。それは、まるで雷そのものが形を成したかのような、悍ましい獣の姿だった。


「ギィィィィィィィンッ!!」


 獣が吼えるたびに、稲妻が大地を穿つ。『雷の神獣』。俺たちは、文字通り「天災」そのものと対峙していた。


「速い……! 光の速さで攻撃しやがる……!」


 パズズが風の障壁で雷撃を相殺しているが、その表情には焦りが滲む。

「ショータ殿、コイツハ……我ト同等カ、ソレ以上ニ危険デス。油断ハ許サレマセン!」


 俺はグローブを装備した拳を握る。小人国を焼き払おうとする雷の厄災。これを止めるのが、迷宮の主としての使命だ。


「行くぞ、全員!!」


 雷鳴が降り注ぐ中、伝説の神獣との死闘が、今幕を開ける。

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