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復讐の異世界転生者 ~魔法適性ゼロの『魔抜け』、前世の知識と『気功』を極めて魔法至上主義を粉砕する~  作者: ボルトコボルト


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077 【至高のVIP待遇】猫の宿、異国の地で明かされる「黒きカード」の権威と禁断のバスタイム

■門の向こうの喧騒

 俺たちは、魔神パズズをエリの精霊として迎え入れた後、一路小人国へと向かった。


 小人国、その首都の玄関口に到着した俺たちの目に飛び込んできたのは、想像を遥かに超える巨大都市の威容だった。


「ここが……小人国か」


 都市の門は、人族の国家と比べても遜色ない——いや、むしろより堅牢で巨大な造りだった。鉄製の重厚な扉は大きく開け放たれ、その脇には二人の門番が立っている。


 一人は人間、もう一人は犬獣人。彼らは槍を携え、凛とした立ち姿で通行人を検分していた。

「こんにちは! この都市へ入る目的を教えてください」


 門番は、小人国という先入観から想像していた無骨なドワーフのそれとは違い、驚くほど丁寧で、爽やかな口調で俺たちを迎え入れた。やはり交易の要所だけあって、礼儀作法も洗練されているらしい。


「俺たちはこの人の護衛として来ました。数日間、都市で休息を取ってから再び出発する予定です」


 そう言って俺は、隣に立つ情報屋のモヤジーに視線を送った。俺の言葉を合図に、モヤジーが前に出る。

「おう! 俺だよ、帰省だ。ムナジーの息子、モヤジーだぜ」


 すると、先ほどまで事務的だった門番たちの表情がパッと明るくなった。

「あ! モヤジーさん。お久しぶりです。……噂は聞いておりますよ、どうぞお通りください!」


「すまんな、開けてくれ」


 門番たちは頭を下げ、手続きもなしに俺たちを都市の中へ通した。どうやらモヤジーの実家は、この都市でもかなりの名士、あるいは権力者らしい。名前を出すだけでパスできるとは、恐れ入った。


「じゃあな、モヤジー。実家でゆっくり休んでくれ。落ち着いたら、都市の案内を頼むよ」


「おうよ! 後で俺の実家にも招待してやるから、楽しみにしてな!」


 モヤジーと別れた俺たちは、彼から事前に聞いていた『猫が安らぐ宿』の支店へと向かった。小人国の街並みは、鉄と石、そして蒸気の匂いが混ざり合う、活気あふれる場所だった。


■「黒いカード」が呼ぶ嵐

 ようやく到着した『猫が安らぐ宿』小人国支店は、猫の王国にあったリゾートタイプのものとは異なり、空高くそびえ立つ都市型の超高級ホテルといった趣だった。エントランスに足を踏み入れると、燕尾服に身を包んだドアボーイが、洗練された動作で俺たちを招き入れる。


「いらっしゃいませ。どうぞ、こちらへ」


 金貨をジャラつかせて歩くような富裕層が利用する宿なのだろう。周囲には豪奢な身なりの客が多い。俺たちはフロントへと向かった。応対に出たのは、女性の犬獣人だった。

「いらっしゃいませ。ご予約のお客様でしょうか?」


「いや、予約はしていないんだ」

 そう答えて、俺はライガから託された『黒いカード』を提示した。


 瞬間、フロント係の女性の表情が凍りついた。彼女は目を見開き、信じられないものを見るかのようにカードと俺を交互に凝視した。しかし、その驚愕は即座にプロの微笑みへと塗り替えられる。


「……失礼いたしました。これは、エクストラ会員様のお持ちになられる特別なカードでございますね。……申し訳ございません。最上階のスペシャルルームへすぐにご案内いたします」


 彼女がベルを鳴らすと、間髪入れずにベルガールの人族女性が現れ、俺たちを最上階のVIP専用エレベーターへと誘導した。他の客たちが羨望の眼差しを向けているのがわかる。黒いカード――。ライガはとんでもないものを渡してくれたものだ。


■湯気と肌の誘惑

 案内されたスペシャルルームは、俺たちの想像を遥かに超えていた。広大なリビング、重厚な家具、そして窓の外に広がる小人国の夜景。


「すごーい! この部屋、すっごく広ーい!」


 ダルアがそのふかふかのソファーにダイブする。クッションの沈み込みが、この部屋の格の高さを物語っている。


「ふむ。このリビングの隣の部屋は、妾が使わせてもらうぞ。錬金術の実験をするには丁度いい空間じゃ」

 エリが早速、私室を確保する。彼女にとって宿とは休息の場である以上に、研究の場でもあるらしい。


「僕、お風呂入ってくるよ。……ねえ、ショータ、一緒に入ろうよ?」

 ハルカが上目遣いで俺を誘う。


 ……正直、心臓が跳ねる。彼女たちの肌の白さと、旅で鍛えられたしなやかな筋肉。それを想像するだけで鼻血が出そうだ。しかし、ここはまだ、男としての矜持を保つべき時か……?


「いやいや、嫌じゃないんだけど……。そのうち一緒に入ろう。今夜は女性陣だけで楽しんできてくれ」


「アタシも入るにゃ! ハルカ、待ってにゃー!」

「妾も行くぞ。旅の垢を落とさねばな」


 ペロとエリも笑いながらお風呂へと向かっていく。

 ベルガールの説明によれば、このスペシャルルームのお風呂は、五人が同時に入ってもなお余裕があるほどの広さだという。


 俺が一人リビングに残っていると、ダルアがリビングの真ん中で脱衣を始めた。


「おいおいおい! ここで脱ぐな!」


「えへへ、ダルはセクシーでしょー? ショータ、後から来てもいいんだよー?」


 ダルアは俺の視線を確信犯的に捉えながら、全裸でポーズを決め、微笑みを浮かべて風呂場へと消えていった。


 ……ヤバい。鼻から熱いものがこみ上げてきそうだ。

 ソファーで丸まっていたドラムが、俺の情けない姿を見て、一瞬だけ冷ややかな目を向けてくる。


「……我は眠る。貴殿の煩悩など、知ったことではない」


■迷宮化という名の防壁

 女性陣の声が風呂場から微かに聞こえる。楽しそうな笑い声、水の跳ねる音。俺は頭を冷やすため、意識を別の場所へ向けた。


 ――この部屋を『迷宮化』する。


 俺は左手の迷宮核ダンジョンコアに魔力を流し込んだ。瞬時に部屋の壁が強化され、目には見えない防御結界が張り巡らされる。迷宮化した部屋にはメリットしかない。外からの盗聴や侵入を完璧に遮断できるのはもちろん、万が一、この部屋全体を外から強襲されても、壁一枚すら傷つけさせることはない。大群で攻め込まれようが、罠や魔物召喚で即座に対応可能だ。


 最高級のベッドで眠り、最高のセキュリティで守られる。これぞ、迷宮のダンジョンマスターが享受できる最高の贅沢だ。


 俺は深々とソファーに沈み込み、目を閉じた。明日は小人国での休息と、モヤジーとの再会が待っている。平和な夜が、この頑強な迷宮の中で過ぎていく。今はただ、この束の間の安らぎを噛み締めていた。

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