074 正体不明の魔物
俺達は小人の国に行く途中、無礼な冒険者達に絡まれたので追っ払った。
冒険者達が言ってた話が気になった。
「正体不明の恐ろしい魔物?」
ペロが首を傾げて聞いてきた。
「気になるのかにゃ。」
「うん、正体不明の魔物って気になるな。素材も気になるし狩ろうかな?」
エリが頷く。
「良いかも知れんのぅ。良い素材になりそうじゃ。」
ハルカも乗り気らしい。
「僕も賛成だよ。
美味しいかも知れないしね。」
ダルアもやる気満々だ。
「ダルも良いと思うよー。
レベルが上がると思うしー。」
モヤジーはちょっと懐疑的。
「正体を見極めてから判断した方が良い。ちょっと不気味だぜ。」
「何が不気味なの?」
「高ランクの冒険者も殺されてるみたいだぜ。
それに誰もその姿を見た事が無い。
出会った者は全て殺されてると言うことだぜ。」
「高ランクって?」
「Bランクの冒険者。パーティーで行動してるから、それ以上の実力がある筈だぜ。」
「ふむ。正体を確認してから戦うとするか。まあいざとなったら、ドラムもいるし、大丈夫だろう。
ね、ドラム。」
「大丈夫だ。我より強い魔物がいるとは思えん。」
ドラムは興味無さそうに答えた。
「良し、ドラムもこう言ってるし、正体不明の恐ろしい魔物を探そうか。」
俺達は昼食の後片付けをして、正体不明の魔物の狩りに出発する。
迷宮攻略後、俺とペロ、エリ、ハルカのレベルが飛躍的に上がった事により探知の範囲も広がった。
探知は術者を中心として円状に探るより、一つの方向に向かって探索した方が遠くまで探知出来る。
その為、俺が前方に向けて気配探知を行い、ペロ右、エリが左、ハルカが後に魔力探知を行う事とした。
そして万一の事を考え、ダルアに円状に気配探知をして貰い、襲撃者がいない事を探る。
俺とダルア、ペロ、モヤジーがドラムに乗って、エリとハルカがドラガに乗って移動した。
「変わった魔物の反応は無いにゃ。」「そうだのぅ。知ってる魔物ばっかりじゃ。」
暫く森を進むと。
「いた!前方右2km先。普通の魔物と異なる濃厚な気配だ。」
「どれどれ、むむ。魔力が曖昧じゃ。厭な感じじゃのぅ。魔力探知を遮断してる様じゃ。」
「普通は見逃すにゃ。アタシ達はレベルアップしてるから辛うじて探知出来ているにゃ。」
「消えた!」
「本当にゃ。」
厭な予感がした。
背筋に冷たい何かが這う感じ。
「皆!最大級の警戒だ!」
俺はそう叫ぶと気配を消した。
ペロが俺の影に沈む。
モヤジーも隠れた。
刹那。
突風がダルアに吹き付ける。
ドラムがダルアを巨大化して庇う。
そしてドラムの物理攻撃、魔法攻撃に耐性があるはずの硬い竜の鱗が縦に裂けていた。
ドラムの目の前に誰も見た事のない魔物が立っていた。
「ギギッ、ギググガァ!」
不気味な声。
雄ライオンの顔、鬣と腕。
身体はライオンの黄褐色の体毛で覆われており、痩せ型だが筋肉質。
膝下から鷲の脚。鋭い鉤爪。
鷲の2対4枚の翼。
蝎の尻尾。蛇の男根。
体長3m。かなり大きく迫力がある。
2足歩行だが、前足を地に着け猫背で膝を曲げる。
猛獣が獲物を狩る時の靭やかな姿勢で身構える。
そして、狂気の眼光が不気味に光る。
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