073 冒険者が来た
いつもの野営から迷宮の家に泊まって次の日の朝。
迷宮のお風呂に入って、ベッドでぐっすり寝たので、野営とは思えない爽やかな朝だ。
朝食後、迷宮の家をDPに変換して出発の準備をした。
今日もドラムに乗って移動だ。
俺とダルアはドラムの背中に乗る。
モヤジーはドラムの頭。
ペロは俺の影に入る。
エリとハルカはドラガに乗って付いてくる。
案内役のモヤジーが居るので、地図無しで進める為、昨日より更に速い。
途中で行く手に居た魔物は狩りながら進み、だいぶ進んでお昼になった。
「休憩しようにゃ。」
「そうだね。」
エリが少し開けたところで結界の魔道具を張って、ハルカが昼食の準備を始めた。
ドラムは小鳥サイズになり、エリはドラガをアイテムバッグに仕舞った。
今日のお昼はナポリタン。
アウトドアテーブルも出して皆で食べ始めた。
誰かが近付いてくる。
気配探知で察知した。
「近付いてくる人達がいるな。」
「どれどれ、本当じゃ。」
「本当にゃ。人間が5人にゃ。」
ペロとエリも魔力探知で察知した。
ハルカは気にせずナポリタンを食べている。
「なになに、おかわり?」
ダルアは察知出来なかった様でキョトンとしている。
暫くすると、冒険者風の男達が結界の外に来た。
「こんにちは!」
爽やかさを装う下心いっぱいの笑顔。
俺達は知らんふり。
無視してナポリタンを食べる。
「食事中すいませーん。」
「なんじゃ?」
エリが答えた。
「これから何処に向かうのですか?」
「何故そんな事を聞くのですか?」
俺は目的地を教えるつもりは無いので、質問に質問を返した。
軽く舌打ちをして、冒険者のリーダーらしき男が質問に答えた。
「最近この辺りに正体不明の恐ろしい魔物の被害が続出しています。
宜しかったら、Cランク冒険者パーティーの我々『紫苑の刃』が護衛します。」
冒険者証を見せながら説明する。
ふ~ん。Cランクのパーティーねぇ。
俺は情報屋のモヤジーに聞いた。
「モヤジー、正体不明の魔物の噂は聞いた事があるかい?」
モヤジーは、両手で持って食べていたナポリタンのスパゲッティを置いて、布で手と口を拭いて俺を見た。
モヤジーの仕草は小動物みたいで可愛いんだけど、おじさんなんだよなぁ。
「正体不明の魔物の噂はある。冒険者パーティーも犠牲者が出てるぜ。」
「ほほう、そうか。」
冒険者は頷いて話を勧めようとする。
「でしょう。危険ですよ。我々の様な実力のあるパーティーが護衛に付くと安心です。報酬もお安くします。」
「護衛は断る。必要ない。」
「ほう、女と子供と小人しかいないのに強気だな。何故必要ないのかな?」
冒険者リーダーの口調がちょっと変わってきたな。
「疑うなら、こっちに来てみな。」
俺は手招きした。
「生意気な事言いやがって。」
「もうやっちゃおうぜ。」
「女も可愛いし、我慢出来ないぞ。」
「脅せば言うことを聞くさ。」
冒険者達は正体を表して大声で聞こえる様に言いながら近付いてくる。
脅してるつもりか?
「え!」
冒険者達は驚愕。
結界が冒険者達の歩みを拒む。
「な、なんだ、これ?」
冒険者達が結界を叩いても蹴飛ばしてもビクともしない。終いには剣や斧を出して攻撃や、魔法まで放つ始末。
「どうした、来れないのか?そんな実力でよく大きな事言えたな。」
俺は冒険者達を煽る。
「こぉらぁ!いい気になるなよぉ。」
「なにぃ!出てこいやぁ!」
「ただじゃ済まさんぞ!」
冒険者達は憤慨した。
冒険者達を無視してエリに聞いた。
「冒険者ってこんなのばっかりか?」
「中にはちゃんとしたパーティーもいるのじゃ。」
「中には・・・、はぁ。
ごろつきばっかりだ。」
モヤジーが口を挟む。
「元々腕に覚えはあるが、騎士や衛士にも成れない者達が、金を稼ぐ手段と運が良ければ一旗上げようとして集まるから、ごろつきは多いぜ。」
「やっぱり。」
そろそろ冒険者達が煩くなってきたので、追っ払うか。
俺は冒険者達に向かって歩いて行く。
冒険者達がなんか色々叫んでいる。
エリもハルカもダルアもこう言う奴等は大っ嫌いだからな。
結界の中から出る寸前に、全身に気を込める。結界から出ると同時にリーダーをぶっ飛ばした。
手加減したからね。殺してないよ。
「うるさい!」
そして気を込めて威圧する。
「ひぃ。」
冒険者達は尻餅を付いて震え上がる。
「俺の仲間の女性に、随分無礼な事を言ってくれたな。あぁ!」
冒険者達は尻餅を付いたまま後退る。
「そいつを連れて失せろ!」
倒れているリーダーを指差す。
冒険者達はリーダーを抱きかかえて一目散に逃げ出した。
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