072 小人と妖精
小人の情報屋モヤジーは乗ってきたリスを降りると、リスは森の中に去って行った。
「モヤジーの職業はビーストテイマーだにゃ。」
ドキッとして、モヤジーは明後日の方向を見てる。
「ペロ、スキルは極秘事項だ、分かっても知らない振りするんだよ。」
「そうだったにゃ。ごめんにゃ。」
モヤジーは無言でペロをジト目で見てた。
ハルカの作った料理を食べながらモヤジーと話し始める。
夕飯は味噌スープの鍋。
締めは辛味噌ラーメン。
ダルから日本の料理を教わって、ハルカの料理は俺好みになっていた。
「この鍋、美味いぜ。この深い味のスープは初めてだぜ。」
モヤジーも満足だ。
「モヤジーは何で小人の国に向かってるの?」
「猫の王国に見切りをつけて、監視だけ残して撤退した。それで自分の国に一度帰る事にしたぜ。」
「撤退?」
「迷宮素材の売買で潤ってた猫の王国は、迷宮が無くなったので先が無いぜ。
また、魔王軍に狙われた上に、スタンピードをあっという間に解決するショータさん達と敵対した猫の王国は危険だぜ。」
「そっかあ。迷宮核を持って来ちゃったもんな。返すか?」
エリが会話に入って来た。
「それはやめた方が良いのじゃ。
また魔族に利用される可能性があるし、攻略した迷宮の迷宮核は攻略者の所有物じゃ。
どうしようと攻略者の自由。
攻略者の権利じゃよ。」
「そうだぜ。どうせ最下層まで行けない猫の王国では制御出来ないぜ。」
「それもそうか。そうなるとニャルマル商会と猫が安らぐ宿が心配だなぁ。」
「あいつらがむざむざと先の無い国で商売を続ける訳無い。とっくに国を出てるはずだぜ。」
「そうだよね。」
それから、話は小人と妖精についてに替わった。
「小人は手先が器用で繊細な物作りが得意なのじゃ。妖精はそれに加えて魔法の付与も行うのじゃ。」
エリが話すとモヤジーが応える。
「小人は小さいから細かな細工が出来るだけだぜ。」
「そこがよいところじゃろ。
小人が細かな細工をして、魔法が得意な妖精がそれに精密な魔法陣を書いて魔法付与を行う。
それで、超一級品の魔道具が出来るのじゃ。」
「ふん。対した事は無い。たまたま小人の近くに妖精が住んでたから、協力する事になっただけだぜ。」
「たまたまでも、それで超一級品が出来たんだから、凄いにゃ。」
「それ程でも無いぜ。」
「まあ、話はそれくらいにして、そろそろ寝るか?
実は面白い事を考えたんだ。」
「何だにゃ?」
ペロとエリ、モヤジーが俺の傍に集まって来た。
横になって話を聞いていたドラムと料理の後片付けを終えたハルカも来た。
俺は崖の下の壁の前で迷宮核のスキルを使った。
「迷宮創造!」
壁に洞穴が出来た。
「洞穴に入ってみて。」
「うん。ワクワクするにゃ。」
ペロ達は洞穴に入って驚いた。
洞穴の中に部屋が4つ。
「女子の寝室。男子の寝室。お風呂とリビングの迷宮を作った。」
「凄いにゃ。
移動中もぐっすり眠れるにゃ。」
「そうだろう。」
「DPは減るじゃろ?」
「創造時に消費はするけど元々100階層の迷宮を作ったDPがあるんだよ。
それに俺と従属してるドラムが迷宮にいる扱いになっててDPが増えてるんだ。
1階層にもならない大きさの部屋4つなんてたかが知れてるよ。
それに明日の朝にはDPに戻すしね。
その時に多少目減りはするけど、ペロ達が迷宮の部屋で過ごす事で貰えるDPの方が多いんだよ。」
「なるほどなのじゃ。」
「何だか分からないけど、これで僕たちはいつでも暖かいベッドで眠れるし、毎日お風呂に入れるんだね。」
「そうだよ。」
「やったにゃ~!」
「見張りは必要だぜ。」
「見張りはドラムとドラガがいればいいのじゃ。」
「そうだね。魔物が迷い込んでも大丈夫な様にドラガとドラムの部屋を入口に作っちゃうか。」
「迷宮に入って直ぐの部屋に、猫の穴地下100階のボスが居るって、凄まじい迷宮じゃな。」
「あははは。」
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