070 泣きっ面に蜂
猫の王国王宮。
国王執務室。
部屋には3人。
『光猫』国王ライル
『風猫』宰相ウィラ
『土猫』騎士隊隊長ロウガ
騎士隊隊長ロウガが衛兵隊小隊長ホクシンを騎士隊隊員達に牢に連行させた。
入れ違いに『雷猫』ライガが入ってきた。
「ウィラ、ショータさんを招待した人選を間違った様だな。
うちの執事に聞いたが、ホクシンは始めから上から目線で喧嘩腰で命令してたらしいぞ。
ショータさんじゃ無くても、それでは王宮に行かないな。ホクシンから手を出そうとした様だしな。」
ウィラは残念な顔。
「ライガ!お前が居なくなったので、しょうが無くホクシンに指示したのだ。お前がおれば・・・。」
「おいおい、他人の所為にするなよ。自分の確認不足と説明不足。根本は会話不足が原因だろう。」
そこに『水猫』冒険者ギルド長ウォガも執務室に入ってきた。
「その所為で俺もショータ殿と敵対する事になったと聞いたぞ。
お前等何やってんだ。」
ライガは4人に向けて話す。
「ウォガもお前等も『闇猫』と彼が住んでた村を滅亡させたのが悪いんだろう。始めからお前等4人にショータさんは良い印象を持って無いぞ。
マイナススタートを払拭したいのに安易な対応して失敗するとはな。」
ウィラはライガの言葉にイラッとした様だ。
「うるさい!
魔王軍の奴等に脅された時に居なかった奴がとやかく言うな!」
「それが、闇猫を殺した理由か?」
ウィラとライガの会話は続く。
ライル、ロウガ、ウォガは黙って聞いている。
「そうだ。そして、行方が分からん魔族マロンが戻る前に、ショータ殿と協力体制をとりたいのだ。」
「魔族マロンは戻らないよ。」
「まさか?」
「想像通りだ。
魔族マロンは闇猫の仇。
ショータさんが倒した。」
「本当か?」
「本当だ。スタンピードもマロンの手によるものだった。」
「するとショータ殿にスタンピードの根本の解決もして貰ってたのだな。」
「そうだよ。」
「闇猫の仇・・・。
も、もしかしたら、戻らない炎猫も・・・。」
「そうだ。既に死んでいる。」
『光猫』ライル、『土猫』ロウガ、『風猫』ウィラ、『水猫』ウォガ、
救国の七猫の内の4人の英雄の子孫達は項垂れた。
ライルが皆に話す。
「前向きの話をしよう。これからショータ殿と戦うつもりは無い。新しい闇猫の娘にもお詫びをしたい。
ライガ、仲を取り持て。」
「断る。」
「ライガ、まだ王国を追い出した事を恨んでいるのか?」
「恨みは無いとは言えないが。
王国を追い出された俺がただ報告しに来たと思ってるのか?」
ウィラがライガに問い質す。
「何しに来た?」
「お別れの挨拶だ。」
「お別れ?」
「猫が安らぐ宿は猫の王国から撤退する。」
「何故だ!」
「魔王軍に脅されたぐらいで村を滅ぼす様な国に怖くて居られるか!
何かあれば容赦なく店も店員も潰すんだろう。」
「そ、それは・・・。」
「因みに、ニャルマル商会や他の商会も撤退するところは多いぞ。先が無い国に見切りをつけた。」
「先が無い?何を言ってるんだ。」
「スタンピードは迷宮『猫の穴』を暴走させた魔族マロンが起こした。
魔族マロンをその最下層で倒したショータさんが迷宮核を取らない理由は無いぞ。
王国に不信感しか持ってないしな。
迷宮の資源に頼っていたこの国が、
迷宮を失った今、先は無いと思う商人は多いだろう。
それに加えてスタンピードさえあっという間に殲滅する勢力に、喧嘩を売る国に居続ける理由があるのか?
魔王軍にも狙われてるんだろう?
何処に明るい未来がある?
この国が生き残る最後のチャンスが、ショータさん、ペロさんと和解して協力体制をとり、魔王軍に対抗する事だった。そうなれば俺も協力する事は吝かでは無かったが、喧嘩を売る始末。呆れたよ。」
「今すぐショータ殿に会わねば!」
「もう遅い!
ショータさん達は国を出た。
俺が最後の思い遣りでショータさん達にお願いしたよ。
スタンピードで崩壊した王都で頼りの七猫も殺されては、この国は潰れる。
今回はお前等に手を出さないで国をでて貰った。
覚悟しておけ、次にショータさん達がこの国に来るときは戦争になるかも知れん。戦争にさえならず蹂躙されるだけかもな。」
雷猫ライガは脅しの台詞を告げると姿を消した。
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