065 ダンジョンマスターになった
俺は迷宮『猫の穴』の最下層で魔族マロンを倒した。
エリが俺の元に駆け寄ってきた。
「主様は凄いのじゃ。あの強大な魔力の魔族を無傷で倒すなんて信じられないのじゃ。」
ハルカも飛んで抱きついて来た。
「僕は怖かったよぉ。」
ダルも俺の所に歩いて来る。
ドラムも飛んで来た。
ペロは宝箱が出現したのを見つけた。
「やったぁ!宝箱にゃ。」
宝箱の中身は『神酒ソーマ』。
鑑定をしてみた。
飲めば何でも治る霊薬。
生命力回復、魔力回復、状態異常解除、欠損再生。
飲めば治ると言うことで、死体は飲め無いので蘇生は出来ない。
魔力回復以外は、気の力で出来そうな効果だ。
今すぐは必要無いな。
アイテムバッグに入れた。
エリとハルカはそれをもの欲しげに見ていた。
酒だから飲みたいんだろうな。
でも今はダメだ。
地下に行く階段が現れていたので、皆で降りてみる。
壁も天井も床も真っ白い小さい部屋。
家具等は何も無い、殺風景な部屋。
部屋の真ん中にある台の上にメロンぐらいの透明な玉が置いてあった。
迷宮核だろう。
思ってたより小さいなぁ。
なんて思いながら、俺は迷宮核に触れた。
<マスターを登録しました。>
「え!」
頭に浮かぶメッセージ。
頭の中に流れてくる迷宮核の機能、操作。
「主様!どうしたのじゃ。」
エリに肩を叩かれハッとした。
「迷宮管理者になった。
迷宮核の機能と操作方法が頭の中に一気に流れて来たんだ。」
「迷宮管理者!伝説の職業じゃな。」
「伝説かぁ。」
頭の中に流れてきた機能はちょっと考えても色んな事が出来そうだ。
「それで、何が出来るのじゃ。」
俺は左手のグローブを外す。
「先ずは・・・、変形!」
迷宮核は俺の左手の指なしグローブになった。
色も黒で前とそれほど変わらない。
変わった箇所は拳部分、前はシルバーのアダマンタイトだったが、黒っぽい茶色になっている。
「迷宮核を手袋にするとはのぅ、流石主様だ斜め上を行くのじゃ。」
「迷宮核は自由に形を変形出来るらしい。
俺の転生前の世界では『質量保存の法則』と言うのがあって、物質は形が変わっても質量は変わらないと言う法則があるんだけど、DPを使用する事で大きさや重さも自由に変えられる。質量も変えられるんだ。」
「DP?」
「迷宮核の機能を実行するときに必要なポイントさ。
魔法を使う時に必要なMP、気功を使う時に必要なHPと似たようなものだよ。」
「と言うことは迷宮核の機能は魔法では無いのじゃな。」
「そうだね。迷宮核の機能は魔法では無い。
それから、DPは、死体から取得するパターンと迷宮に留まる事で取得するパターンがあるらしい。
死んだ者または迷宮にいる者のHP、MPの総量とレベルで取得量が変わるんだ。
恐らくドラムはボスとして対応させる事と同時に、DPを取得する為に迷宮に連れて来たんだろうね。」
「なる程のぅ。」
「まあ、詳しくは追々だね。
サイクロプスとリッチが王宮を襲ってる。
猫の王国を助けるか否か決めないと、助けるなら時間が無い。」
ペロが俺を見て、
「国が無くなるのは寂しいにゃ。
なので助けたいにゃ。」
「分かった助けよう。」
ダルアが俺に話し掛ける。
「ショータが迷宮管理者なんだからさー、リッチとサイクロプスを命令で止めればいいんでしょー?」
「いや、大量の魔物を放出したので、魔物を制御しきれない事から、制御を切り離してる。止められないね。
単純命令で『猫の王国を襲撃しろ!』みたいな事だけ伝えて制御は切った様だ。」
「直接行って倒さなきゃダメかー。」
「そうだね。行くぞ!」
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