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復讐の異世界転生者 ~魔法適性ゼロの『魔抜け』、前世の知識と『気功』を極めて魔法至上主義を粉砕する~  作者: ボルトコボルト


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062 【迷宮の深淵】魔族の罠と復讐の合図。最強パーティ、竜の背に乗りて最下層へ急行せよ!

12/04誤字修正致しました。

(誤)スタンピート

(正)スタンピード

 ■繋がる意図、分かたれる運命

 『猫が安らぐ宿』の温かな食堂。食事を終え、くつろぎの時間が流れていた俺の腕輪型通信魔道具が、鋭い電子音を奏でた。


 情報屋モヤジーだ。俺は即座に応答する。

 「ショータ、掴んだぜ。魔族マロンの動向だ」

「仕事が早いな。どこだ?」


「迷宮へ入っていく姿が目撃された。間違いねぇ」


 心臓がドクンと大きく脈打った。

「……やはりか。マロンの逃走先は迷宮の中。スタンピードの発生源も迷宮だ。全てが繋がったな」


 「行方までは特定できねぇが、今の俺が集められる情報はこれが精一杯だぜ」


「十分だ。感謝する」


 その会話を聞いていたライガが、険しい表情で会話に割って入ってきた。

「今の話は本当か? マロンが迷宮に潜ったというのは」


「ライガか。ああ、確かな筋からの情報だ」


 ライガは深い溜息をつき、テーブルを強く叩いた。

「……なるほどな。王国と魔王軍の間で決定的な亀裂が入ったということか。魔族が独断で動いているのか、それとも魔王軍そのものがこの国を見捨てて爪を研いでいるのか……」


 ライガは俺の目を真っ直ぐに見据えた。

「迷宮に行くんだろ? ショータ」


 「当たり前だ。マロンはペロの両親の仇だ。奴を生かしておいて、復讐を果たすことはできない」


 俺の言葉に、ペロが力強く頷く。

「行くにゃ。父さんの分まで、アイツを地獄に落とす」


 ライガは部屋を見渡す。

「ここはもう俺たちが死守する。王宮周辺の脅威も、王宮へ向かうサイクロプスと、王宮前で交戦中のリッチ以外は概ね沈静化した。……だが、ショータ」


 ライガは言葉を切り、真剣な眼差しで俺に頼み込んだ。

「マロンを倒した後で構わない。王宮を滅ぼそうとしているサイクロプスとリッチを排除してくれ。俺の生まれ育った国だ。たとえ腐敗していても、滅びゆくのをただ見ているのは耐え難い」


 「約束はできない。だが……考えておこう」

「今はそれで充分だ」


 俺は即座に通信を切り替え、モヤジーに命じた。

「モヤジー、まだ聞いているな?」

「ああ、聞いてるぜ」


「エリとハルカに『迷宮前集合』と伝えてくれ。シャルさんには、俺たちが迷宮へ向かうと伝言を頼む」

 通信魔道具の不便さを改めて痛感する。ペアでしか繋がらないのは致命的だ。


(迷宮から戻ったら、エリに魔道具の根本的な改良を依頼しよう)


 ■崩落する迷宮の門

 王都キャルベルの外縁、迷宮入り口。そこはかつて、冒険者たちが夢を追い求め、屋台が立ち並び、活気で溢れていた場所だった。しかし今は、死の静寂と荒廃に支配されていた。


 門番が立っていた扉は無残に砕け散り、迷宮を囲っていた石塀は大規模な破壊工作を受けたかのように崩落している。スタンピードの嵐がここを最初に蹂躙したのだと、一目で理解できた。


 俺たちが到着すると、そこには既にエリとハルカが待機していた。ハルカは俺の姿を見つけると、飛翔して俺の胸元に飛び込んできた。


 「主様ッ! ニャルマル商会に来たのに、挨拶もなしに行っちゃうなんて酷いよ!」


「悪かった、ハルカ。宿が危機で、緊急出発せざるを得なかったんだ」


「もう、次は絶対に一声かけてよね!」


 ハルカの頭を優しく撫で、エリに向き直る。

「エリ、最速で迷宮の最深部まで行きたい。50階以降の地図はあるが、最短距離を走破しても魔物を無視して二日はかかる」


 エリは苦い顔をする。

「そうじゃな。魔物を無視するにしても、相手はスタンピードの余波で興奮状態じゃ。避けたり、排除したりする必要がある以上、二日でも甘いかもしれない」


 その時、ドラムが俺の足元から姿を現し、自信満々に言った。

「主よ、儂の出番だな」


 「ドラム……? どうするつもりだ?」


「皆、儂の背に乗れ。迷宮の壁など、儂の鱗で粉砕しながら直線で突っ切る!」


 「それは……確かに最高の方法だ!」


 ドラムがみるみるうちに巨大な竜の姿へと変貌する。漆黒の鱗が迷宮の入り口で鈍い光を放ち、その圧倒的な存在感に、周囲の空気が震える。


 俺、エリ、ハルカ、ダルがその背に乗る。ペロはいつものように俺の影へと潜り込んだ。


 「準備はいいか!?」

 俺の叫びに、仲間たちが力強く応える。


 「迷宮のルールなど知ったことか! 最深部まで、一気に駆け抜けるぞ!」


 ドラムが強靭な翼を羽ばたかせた瞬間、迷宮の入り口が爆風で吹き飛んだ。壁を破壊し、階層を突き破り、魔物たちの群れなどものともせずに、竜は迷宮の深淵へとダイブする。


 「うわあああッ!」

 ダルアの悲鳴が混じる中、俺たちは迷宮の歴史上、誰も到達したことのない速度で最深部へと肉薄していく。


 復讐と、真実の究明。その全てを乗せて、最強の竜が闇を切り裂いた。

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