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復讐の異世界転生者 ~魔法適性ゼロの『魔抜け』、前世の知識と『気功』を極めて魔法至上主義を粉砕する~  作者: ボルトコボルト


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061 【雷光の絆】宿を救いし雷猫との邂逅。闇猫の面影と、宿が結ぶ新たな英雄たちの休息

12/04誤字修正致しました。

(誤)スタンピート

(正)スタンピード

 ■雷光の主との邂逅

 破壊された門、焦げ付いた地面。凄惨な戦場と化した『猫が安らぐ宿』の庭で、静寂が戻りつつあった。


 空中に漂うオゾンの匂いと、微かに残る稲妻の残滓。それが、この宿のオーナーであるシャム猫のケット・シー、『雷猫』ライガの力の証だ。


 「ショータさん、本当にありがとう。助かったよ」

 ライガは、戦い終えた後の安堵と、敬意を込めた眼差しで俺に握手を求めてきた。


 彼の纏う威厳と、そこから滲み出る兄貴分としての暖かさ。シャルさんと通ずるものを感じ、俺は力強くその手に応じた。


 「ショータです。シャルさんのお兄さんですね。間に合って本当によかった」


「妹も助けてくれて感謝する。君は、私とシャル、兄妹二人にとっての命の恩人だ」


 「いえ、ニャルマル商会とこの宿には、いつも世話になっていますから。こんなに居心地の良い宿は初めてです。当然のことをしたまでですよ」


 ライガは嬉しそうに目を細めると、周囲を警戒していた執事たちに向かって声を飛ばした。


「ラルク、警戒を続けてくれ。もし魔物が近づいたら、即座に通信魔道具で連絡を頼む」


「畏まりました」

 一番体格の良い執事が即座に応じる。統率の取れた素晴らしい動きだ。


 そしてライガは、俺の肩からダルの頭へと飛び移ったドラムを見やり、驚愕に目を見開いた。


「驚いた……! ドラゴンかい? まさかドラゴンを使役しているとは……。君、全く規格外だね。ドラム様、宜しくお願いします」

 ライガがドラゴンに対して深々と頭を下げる。


 ドラムは得意気に胸を張り、小さく鳴いた。

「儂に任せておけ!」


(……素材を焼き尽くした張本人が、随分と威張るなぁ)と苦笑しつつ、ここでは何も言わずに飲み込むことにした。


 ■闇猫の記憶、受け継がれる意志

 ライガに案内され、安らぎの食堂へ向かう。戦闘で高ぶっていた神経が、宿特有の温かな空気に触れて少しずつ解けていく。


 「闇猫のお嬢さんも、助かったよ。ありがとう」

 ライガがペロを見やり、優しく声をかける。


 「……ペロだにゃ。まだ『闇猫』は襲名していないにゃ」

 ペロが少し寂しげに呟く。


 するとライガは、どこか懐かしむような表情で首を振った。


 「いやいや、トロルを瞬殺なんて、お父さんのシュガにだって出来なかったはずだ。二つ名なんてものは、誰かが勝手に呼ぶものさ。実力が伴い、周囲が認めればそれでいい。俺が保証するよ、君の実力は十二分だ。もう君は『闇猫』だよ」


 ペロの瞳がわずかに揺れる。

「……お父さんとは、知り合いだったのかにゃ?」


「ああ、昔は同じパーティーで冒険者をしていたよ。……良い奴を亡くした。返す言葉もないが、本当に良い奴だった」


 ペロは言葉を返さず、小さく頷いた。父の背中を知る者との出会いが、彼女の中で何かを静かに昇華させていくのがわかった。


 その空気を切り裂くように、ダルが俺の隣で明るく声を上げた。

「私はダルアだよー。うーん、そうね……ショータの恋人兼弟子兼従者って感じかな!」


 俺は盛大に吹き出しそうになったが、ダルは悪びれる様子もなくニコニコとしている。


 ライガは一瞬呆気にとられた後、豪快に笑った。

「ははは! ダルアさん、宜しくね。賑やかになりそうでいい」


 ■黒いカードと新たな旅路

 夕食の時間が終わり、くつろぐ俺たちに向かって、ライガが一枚のカードを取り出した。黒い漆塗りのような素材に、猫が眠る紋章が描かれたシックなカードだ。


 「命の恩人のショータさんたちには、いつでも『猫が安らぐ宿』の宿泊費を無料とさせていただきます」


「いや、それは貰いすぎですよ。これだけの恩義を無料にするなんて」


「そんなことはない。ニャルマル商会と、うちで働く従業員たちの命を助けてもらったんだ。当然の対価さ」


 ライガはふふふ、と笑う。

「それにね、シャルと同じで、君のような力ある者とは知己を得ておきたいのですよ」


 「……分かりました。このご恩は、いつか必ず返します。ただ、一つ伝えておかないと。俺たちは近いうちにこの都市を出ます」


 「ははは! 大丈夫。うちの宿もニャルマル商会と同様、大陸全土に展開している。この『黒の宿札』があれば、どこの都市の宿でも使えるよ。是非、旅の拠点にしてくれ」


 受け取ったカードは、ずっしりと重かった。それは単なる宿泊券ではなく、この世界に広がる広大なネットワークへの招待状だ。


 外ではまだスタンピードの喧騒が続いている。しかし、この食堂の中だけは平和だった。俺は温かい紅茶を啜り、カードを指でなぞる。


 復讐の旅はまだ途中だ。だが、信頼できる仲間と、こうして安らげる場所があることが、何よりの力になる。


 「さあ、明日は忙しくなるぞ。準備はいいか?」


「「「にゃー!」」」

 ペロとダル、そしてドラムの元気な返事が、宿の食堂に響いた。

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