055 極炎の宴を倒した
王都キャルの北側にある森の中。
俺達はダークエルフの『魔抜け』の女性を陵辱していた『極炎の宴』の冒険者達を襲撃した。
そして全員の両手両足を傷付け戦闘不能にした。
俺はハルカに頼んで、皆が見えない位置で女性の全身を縛っていた麻縄を外して貰った。
ハルカはアイテムバッグに入れていた自分の着替えを女性に着せて、俺にマントコートを返して寄越した。
さて、初めは『炎猫』だ。
「ペロ、『炎猫』はどうするんだ?」
「先ずは確認するにゃ。」
「『炎猫』ファイガ!
『闇猫』の村にゴブリンの群れを誘導して村の皆を殺したにゃ!」
炎猫の名前はファイガと言うらしい。
「やっぱり『闇猫』の身内だったか。ああ、そうだ。
俺がゴブリンどもを誘導した。
国王の命令だ。
俺達を殺すと王国を敵に回すぞ!」
「魔王と組む様な国と馴れ合うつもりはないにゃ。」
「何!貴様、何故その事を・・・。」
『炎猫』が最後まで言う前に闇槍が額を刺し貫いていた。
「聞きたい事は聞いたにゃ。
もう用は無いにゃ。」
次は冒険者達だ。
俺はハルカが肩を抱え支えているダークエルフの女性を向いた。
「俺はショータ、君は冒険者達を殺して過去と決別するんだ。」
女性は俺を見上げる。
「た、助けてくれて有難う。わ、私はダルア、カコトケツベツ?」
俺はアイテムバッグから、迷宮で魔物が持っていた斧を出して女性に渡す。
「これで冒険者達の首を刎ねるんだ。そして経験値を取得して貰う。」
それを聞いていた冒険者達が悲鳴を上げる。
「ひぃ、助けてくれ!」
「け、経験値。まるでRPGだよ。」
ダルアが小声で呟いたのを聞いた。
ダルアは冒険者達を睨む。汚い不潔な物を見る目の奥底には、憎しみの深く暗い闇が漂う。
ダルアは両手で斧を持ち、よろよろとしながら、慣れない手つきで、ぎこちなく、そして必死に振り上げる。
ダルアは命乞いをする冒険者を冷めた目で見ながら、無言で一人目の冒険者の首を刎ねた。
そして次の冒険者に向かって歩く。
「おっと、ちょっと待って。」
ダルアを止める。
探索者を指差す。
「こいつも殺したいか?」
弟に命は助けて欲しいと言われたんだよなぁ。
「勿論!こいつも他の奴等と一緒。」
ダルアは怒りで震えて、目の底に恨みの炎が見える様だ。
エリとハルカも冒険者達を今にも殺しそうな眼で睨んで肯定している。
それを見てペロも頷く。
「しょうが無いね。殺して良いよ。」
泣き叫ぶ探索者の背中を足で押さえ、淡々と首を刎ねた。
殺す度に斧の振り上げも徐々にスムーズになっていく。
レベルアップしたのであろう。
最後には力強く斧を振り下ろした。
冒険者の首が転がる。
「証拠隠滅だ。ペロ、お願い。」
ペロは冒険者達の死体と野営の跡とテントや冒険者達の備品を影に沈めた。
迷宮攻略でレベルアップしたペロは、かなり大量の物も影に収納出来る様になっていた。
「凄い!」
ダルアは目を見開きペロの闇魔法を見ていた。
「さあ、帰ろうか。」
ドラムは小鳥サイズに変わり飛んできて俺の肩に止まった。
ダルアが俺に駆け寄り手を握って話しかけてきた。
「待って、ダルはどうすれば良いの?
ショータはダルをどうするの?」
「ダル?」
「あ、自分の事よ。
ダルアを略してダルなの。」
「ああ、そうか。
君をどう扱うか話し合っていなかったね。どうする気も無いよ。
助けただけだ。
家に帰りたいなら帰れば良い。
『魔抜け』が生きて行き難い世界だから一緒に来たいなら拒まない。
俺も『魔抜け』で転生者だから、気持ちは分かると思うよ。
但し、付いてくるなら俺達の復讐は手伝って貰う。
その為にはレベルを上げて戦力になって貰う必要があるがどうする?」
「ちょっ、ちょっ、ちょっと待ってよ。突っ込みどころがいっぱいだわ、一つ一つ確認させて。」
「ごめん、ごめん、ここでは何だから宿で話しをしよう。
ドラム、ダルを乗せて。」
「承知した。」
ドラムは馬サイズになり、首を下げて乗り易い体勢になりダルアに言った。
「儂に乗ると良い。」
「このドラゴンも突っ込みどころよねー。」
ダルアはボソッと呟いてドラムの背に乗った。
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