↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
復讐の異世界転生者 ~魔法適性ゼロの『魔抜け』、前世の知識と『気功』を極めて魔法至上主義を粉砕する~  作者: ボルトコボルト


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

5/267

005 『文明の息吹』〜魔石を換金し、社会をハックせよ。気功を操る元社畜、農村へ降り立つ。〜

 ようやくたどり着いた川辺は、森の暗闇とは対照的に、陽光を弾いてきらめいていた。


 「……ふぅ。ようやく一息つけるな」


 途中、何度か襲ってきた魔物どもを返り討ちにし、回収した魔石でポケットはパンパンだ。この世界の通貨価値はまだ把握しきれていないが、魔道具という「魔法の電池」のエネルギー源である以上、これらは間違いなく金になる。スライムの小さな核からゴブリンの魔石まで、俺の稼ぎは、この村での最初の軍資金となるはずだ。


 川の水をすくい、喉を潤す。冷たい水が五臓六腑に染み渡る。


 生きている。

 生きているが……深刻な問題が一つ。腹が減った。

 この世界には魔法インフラはあっても、ガスや電気のような近代設備はない。俺のような魔法適性ゼロの人間が、野宿生活のまま生き延びるのは不可能だ。食料を得るには、町や村に行き、文明の中に身を置くしかない。


 「さて、レベリングは後回しだ」

 俺は両足に『気』を流し込み、同時に気配検知を並行して発動させる。


 当初は足がもつれそうだった制御も、今や歩くように自然にこなせるようになっていた。

 身体のレベルアップに伴い、走る速度も反応速度も上がっている。あの理不尽な孤児院の連中、そして俺を崖から突き落とした奴らを見返すためにも、今は地盤固めが必要だ。


 川沿いを下ること数時間。

 森が開け、視界に長閑のどかな田園風景が飛び込んできた。


 「……畑だ。人がいる」

 そこには、茅葺き屋根の素朴な家が並ぶ農村があった。


 俺は全身に巡らせていた気を緩め、ゆっくりと歩調を落とす。気配検知は継続中。周辺に怪しい殺気はない。


 農作業をしている村人が一人。

 俺は、孤児院で虐げられていた頃の「怯えたショータ」ではなく、前世の俺――日本のサラリーマンとして培った「営業の顔」を貼り付けた。

 挨拶は、信頼を得るための第一歩だ。


 「こんにちは」

 俺はできるだけ明るく、爽やかに声をかけた。


 かつての俺なら、誰かと目が合うだけで震えていたはずだ。だが、今の俺には「コミュニケーションはリソースの最適化だ」という割り切りがある。


 「おう、おめさ、どごがら来たんだ?」

 農作業を止めた村人は、泥だらけの俺を怪訝そうに見つめた。


 俺は背筋を伸ばし、淀みなく語りかける。

 「お名前を伺ってもよろしいですか? 俺はショータと言います。山の向こうの町から来ていたのですが、不運にも崖から転落してしまって……迷い歩いているうちに、この美しい村へ辿り着いたんです」


 「オラはゴヘーだ。難儀なごったな……」

 ゴヘーさんと名乗った村人は、俺の落ち着いた話し方に警戒心を解いたのか、表情を和らげた。


 「この先に村長の家があるだ。立派な家なのですぐ分がる。まずはそこで相談してみるだ」


 「ありがとうございます、ゴヘーさん。助かりました」

 深く頭を下げ、丁寧に礼を言う。


 俺の立ち振る舞いは、明らかに「孤児院の魔抜け」のものではなかったはずだ。


 (まずは情報収集、そして衣食住の確保。……ここからが俺の、本当の人生の始まりだ)


 俺はゴヘーさんに教えられた方角へ、確かな足取りで歩き出した。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。