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復讐の異世界転生者 ~魔法適性ゼロの『魔抜け』、前世の知識と『気功』を極めて魔法至上主義を粉砕する~  作者: ボルトコボルト


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045 「闇の王、沈黙す――魔法の極致を葬り去る“魔なき”暗殺劇」

サイクロプスの討伐後、俺たちはボス部屋の戦利品を確認した。


出現したのは鑑定機能付きの『黒のロークラウン・シルクハット』。ドラゴンの皮で補強されたその帽子は、物理的な防御だけでなく、精神干渉への耐性も備えていた。


「これは俺が貰うよ。鑑定ゴーグルの機能が統合されているし、何よりデザインが最高だ」


「どうぞ、どうぞ。主様が装備するなら文句はないにゃ」

俺が帽子を被ると、視界の端に自動で鑑定情報が浮かび上がる。以前使っていたパイロットゴーグル型より遥かにスマートで、まるで溶接用ゴーグルのようなサイバーな雰囲気が気に入った。お役御免となったパイロットゴーグルは、鑑定能力を持たないペロに譲ることにした。


91階から95階にかけての階層も、俺たちにとっては「熟練度を上げるための道」に過ぎなかった。


サイクロプスやトロルといった強敵も、俺たちの連携とレベルアップしたステータスの前では、もはや敵ではない。素材を傷つけず、丁寧に解体・回収を繰り返すうちに、俺たちのアイテムバッグは深層の希少素材で溢れ返っていった。


■95階の悪夢:死のリッチ

95階のボス部屋の扉を押し開けた瞬間、そこには異様な圧迫感が満ちていた。


部屋の奥に浮かぶのは、黒いローブを纏った骸骨――リッチ。その周囲には、漆黒の鎧を纏ったデュラハーンが5体、そしてリビングアーマーが10体、無言で俺たちを待ち構えている。


「り、リッチぃぃぃ?! 嘘じゃろ、そんなはずはないのじゃ……!」

エリが青ざめる。


「魔法を極めし者が目指す最終形態……。無限の知識を求め、永遠の命を手に入れた闇の王。物理攻撃も魔法も効かないという伝説の魔物だよ。攻略なんてできるわけがないよ!」

ハルカの絶望的な呟きに対し、俺は冷めたまま剣(のような存在感)を研ぐような気持ちで前に出た。


「猫の勇者はこれを攻略して王国を築いたんだ。俺たちにできない理由はない」


「……結界の盾を貸すにゃ。……主様、本気なのじゃのぅ」


「僕も、もう諦めたよ。主様について行くだけだ。それが僕の選択だからね」


ハルカに『結界の盾』を託す。


「合図したら結界を張れ。リッチの魔法を相殺する魔法は無詠唱で来る。……行くぞ!」


■支配者への奇襲

俺は気配を消し、死角を通って部屋に侵入した。


リッチは俺の存在に気づいていない。俺には魔力がなく、魔力を感知する術に長けたアンデッドにとって、俺は「そこにある空気」と同じくらい認識しづらい存在なのだ。


案の定、リッチはいきなり部屋全体に向けて、無慈悲な無詠唱の闇魔法『恐怖ホラー』を放った。


「――っ!」

ハルカが即座に盾を掲げ、結界を展開する。黄金の膜が仲間たちを包み込み、精神を蝕む恐怖の奔流を完璧に弾き飛ばした。


デュラハーンたちが凄まじい勢いで迫り来るが、俺は一切の迷いなくリッチの背後へと回り込む。


リッチは無詠唱で次の「超魔法」を構築していた。周囲の空気が重く澱み、空間そのものが崩れそうなほどの禍々しい魔力の残滓が漂う。


(……この魔法が放たれたら、部屋ごと吹き飛ぶか)


俺は奴の背中に掌を密着させる。


「チェックメイトだ」

生命力吸収ライフドレイン』――最大出力!


俺の掌が触れた瞬間、リッチの構築していた魔力の奔流が霧散した。


強大な魔力で繋ぎ止められていた骸骨の肉体が、まるで砂時計の砂がこぼれ落ちるように、一瞬で灰と化していく。


リッチは断末魔すら上げられなかった。最強の闇の王は、自身の魔法を放つことも、侵入者の正体を知ることもできず、ただ虚無へと還った。


背後では、結界から飛び出したエリとハルカ、そしてリビングアーマーに食らいつくペロの戦闘が始まっていた。だが、主であるリッチが消滅した瞬間、デュラハーンとリビングアーマーの動きがピタリと止まる。


「……あ、あれ?」

ハルカが拍子抜けしたように空中で停止する。


俺はリッチがいた灰の山を見下ろしながら、肩をすくめた。


「掃除の続きをしようか。……ああ、宝箱には何が入っているかな?」


俺の「魔抜け」という特性が、またしても伝説級の敵を葬り去った瞬間だった。

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