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復讐の異世界転生者 ~魔法適性ゼロの『魔抜け』、前世の知識と『気功』を極めて魔法至上主義を粉砕する~  作者: ボルトコボルト


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043 【迷宮開拓】深層の蟹鍋と、鋼鉄をねじ伏せる素手蹂躙の騎士戦

 迷宮『猫の穴』地下81階。


 俺たちは、80階の守護者スキュラを討伐した余韻を背に、深層へと足を伸ばしていた。


「さて、お昼にしようか。75階で仕留めたキラースパイダーを食べるぞ」


 俺の言葉に、料理担当のハルカが嬉しそうに翼をはためかせる。

「いい響きだねぇ! 素材として優秀なだけじゃなく、食えるなんて最高だよ」


「この世界での定番は焼いて食べるのが主流みたいだが……俺の世界には『カニ』という極上の食材がある。今回はそれを再現して鍋にしてみよう」


 調味料と限られた食材を駆使し、ハルカが手際よく調理していく。出来上がったのは、キラースパイダーの脚肉をふんだんに使った「蜘蛛鍋」と「焼き蜘蛛」だ。


 「……っ!? これ、本当に蜘蛛なの?」

 一口食べたエリが、目を丸くして箸を止めた。


 「食感が……プリッとしていて、甘みがある……。カニとしか思えないのじゃ!」


「焼いたのしか食べたことがなかったけど、鍋にすると出汁が出て最高だね。お代わり!」


 ペロも無言で鍋に食らいつく。キラースパイダーは、見た目のグロテスクさを完全に裏切る極上の食材だった。深層攻略の合間に挟まれるこの憩いの時間は、過酷な迷宮攻略を続ける俺たちの精神安定剤になっている。


 81階から90階にかけての道中は、俺たちにとっての独壇場だった。スキュラ、アラクネ、ゴーゴン、ラミアといった強敵たちが次々と群れを成して襲い来るが、俺たちは陣形を崩すことなく、分断し、素材を傷つけぬよう丁寧に仕留めていく。


 レベ上げ、素材採取、そして新たな食の探求。迷宮攻略はかつてないほど充実していた。


 やがて俺たちは、地下85階のボス部屋の扉の前に立つ。扉の向こうから、重厚な鎧の擦れる音と、馬の荒い鼻息が聞こえてきた。


 「ボスはデュラハーン。お供はリビングアーマーが5体、スケルトンが10体か」


 首無しの騎士が、首無しの馬に跨り、漆黒の鎧を纏って待ち構えている。無類の怪力を誇るアンデッドの王。エリが緊張の面持ちで弓を構える。


 「奴の鎧と武器は最高級の錬金素材じゃ。だが、まともにやり合えば肉が引き千切れるほどの怪力を持っておる……!」


 「食べられないのは残念だけど、やるしかないね」

 ハルカはニヤリと笑った。


「今回は趣向を変えて、俺がデュラハーンをタイマンで押さえておく。ペロはリビングアーマーを瞬殺してからデュラハーンを拘束してくれ。スケルトンはエリ、ハルカは全方位の援護を頼む」


 「了解にゃ!」

 扉を押し開くと同時に、俺は一直線にデュラハーンへ駆け出した。


 奴もまた、俺の存在を察知し、首無しの馬を猛烈な勢いで加速させる。蹄が大地を揺らす。


 「正面からか……上等だ!」

 視界に飛び込んできたのは、重厚な馬の前足。殺意を込めて振り下ろされたその質量を、俺は身体中の気を左手に集中させて真正面から受け止めた。


 ゴッ――! という鈍い衝撃音。だが、折れたのは俺の腕ではなく、馬の前足だった。


 「ひるむな!」

 勢いに乗って右拳を叩き込む。馬の胸板がひしゃげ、デュラハーンが馬から投げ出された。


 奴は即座に両足で着地すると、漆黒の剣を振り上げ、俺の脳天へと叩き込んでくる。俺は紙一重で剣を躱しながら、奴の剣を持つ手首を掴み、そのまま回転の力を利用して懐へ潜り込んだ。左の拳を、奴の鎧の中央に叩き込む。


 ドォン! という乾いた音と共に、硬いはずの鎧が飴細工のように歪む。


 「今だ、ペロ!」

 俺が姿勢を崩させた瞬間、背後から影が飛び出した。リビングアーマーを片付けたペロが、闇の触手でデュラハーンの四肢を完璧に拘束する。


 「逃がさないにゃ!」


 デュラハーンが暴れようとしたその隙に、俺は左手を奴の腹部に直に押し当てた。


 「生命力吸収ライフドレイン


 黒い霧がデュラハーンの鎧から溢れ出し、俺の掌へと吸い込まれていく。ゴゴゴ……と嫌な音を立てて、強固だった鎧の光沢が失われていく。首無しの騎士は、最後に魂の抜けたような動きを見せ、そのまま力なく崩れ落ちた。


 静寂が戻ったボス部屋で、エリがスケルトンの残骸を片付けながらこちらを眺めている。


 空を舞っていたハルカが、ふわりと着地して肩をすくめた。

 「終わっちゃった……。僕、エリの援護なんて一度も必要なかったんだけど? 暇だったんだけどなぁ」


 俺は笑いながら立ち上がる。

「それは、俺たちが強すぎたってことだ。行くぞ、次は90階だ」


 俺たちは次なる階層へと降りていく。この迷宮の底に何が待っていようと、俺たちの拳と絆の前では、全てが糧になるだけだ。

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― 新着の感想 ―
[一言] 話は面白くて好きだけど今のダンジョンの話がパターン化してるから早く次に進んで欲しい
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