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復讐の異世界転生者 ~魔法適性ゼロの『魔抜け』、前世の知識と『気功』を極めて魔法至上主義を粉砕する~  作者: ボルトコボルト


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042 【迷宮開拓】深層の災厄スキュラを屠る圧倒的蹂躙。そして、未知なる蜘蛛の味。

 迷宮『猫の穴』地下75階、ボス部屋。


 アラクネとキラースパイダー数百匹が全滅した光景を前に、エリとハルカはただただ呆然と立ち尽くしていた。


 「はぁ……。つくづく、主様は規格外じゃな」


「本当に……。あのアラクネと数百匹のキラースパイダーを瞬殺するなんて、聞いたこともないよ。しかも、死骸に傷ひとつないなんて……これなら最高値で売れるね」


 俺は苦笑しつつ、出現した宝箱を開ける。中身は『結界の盾』。魔力を流すと結界を展開する強力な防具だが、俺のスタイルには合わない。即座にアイテムバッグの肥やしとなった。


 「さて、先へ進もう。76階からは環境も厳しくなるはずだ」


 76階から80階にかけての道中は、もはや俺たちにとって「狩りの時間」だった。アラクネやキラースパイダーが出現しても、俺の『生命力吸収ライフドレイン』で食材を傷つけずに丁寧に倒していく。


 蜘蛛の味、か……。前世の知識では甲殻類に近いと聞いたことがある。どんな料理に変貌するか、今から楽しみでならない。


 そして、辿り着いた80階のボス部屋前。俺の気配探知が、これまでとは一線を画す強大な反応を捉えた。


 「……ボスはスキュラだ。さらに、アラクネ2体、ゴーゴン2体、ラミア5体が随伴している」


 「スキュラ……!?」

 エリの顔色が変わる。


「スキュラは全身が錬金素材じゃが、何より厄介なのはその攻撃範囲じゃ。犬の頭は自在に伸び、12本の足と8本のタコの足が獲物を逃がさない。現れるだけで港町を壊滅させる災害級の魔物よ!」


 「タコ足と魚の尻尾は美味しいよ!」

 ハルカの呑気な声に、俺たちは思わず笑ってしまう。この緊張感の中で食い意地を張れるのは、彼女たちの強さの証明だ。


 「よし、ゴーゴン対策の『石化防止の魔道具』はある。素材のことは二の次だ、全力で叩くぞ!」


 「了解じゃ!」

「僕も頑張る!」

 扉を蹴破る。


 巨大な魚の尻尾を引きずるスキュラが、威嚇の咆哮を上げる。同時に、周囲の魔物たちが一斉に襲い掛かってくる。


 「ペロ、スキュラを拘束だ!」


 ペロが影移動でスキュラの背後に現れ、闇の触手が蛇のように絡みつく。だが、スキュラは伊達ではない。残りのタコ足が激しくうねり、ペロの拘束を力ずくで引き剥がそうとする。


 「食らえ!」

 俺は仲間たちが巻き込まれないよう、部屋全体に生命力を吸い取る霧を散布しつつ、一直線にスキュラへ突進する。向かってくるタコ足を『牙弾』で弾き飛ばし、その巨躯の懐へと滑り込む。


 ペロが動きを止めた瞬間、スキュラの巨大な背中に掌を叩きつけた。


 「『生命力吸収ライフドレイン』――全出力!」


 スキュラの咆哮が苦悶の叫びへと変わる。タコ足の勢いが急激に萎え、魚の尻尾が力なく床を叩く。あんなに暴れていた魔物が、見る間に干からびていく。


 背後では、激戦が繰り広げられていた。エリが放つ矢は、迷うことなくラミアとアラクネの額を貫く。そこにペロの『闇槍』が重なり、魔物たちの首が次々と跳ね飛ぶ。


 空では、ハルカとゴーゴンの空中戦が展開されていた。ゴーゴンが金属の腕で防ぐのに対し、ハルカは高い機動力を活かして回避し、風刃を叩き込む。


 「させないよ!」

 ハルカがゴーゴンの動きを止め、俺が背後から放った牙弾がその後頭部を射抜く。動きが止まったゴーゴンの首を、ハルカの風刃が鮮やかに斬り落とした。


 静寂。倒れ伏す魔物の死骸が、部屋を埋め尽くす。


 「ふう、完勝だな」


 「……どうなることかと思ったのじゃ。迷宮に入ったばかりのレベルでこんな奴らに挑んでいたら、即座に食われていたじゃろうな」


 「僕もそう思うよ。レベルアップのおかげで、空中で自由に動けるようになったのが勝因だね」


 全員、息を乱すことなく、完璧な連携で勝利を収めた。死骸はエリが手際よくアイテムバッグへ収めていく。


 ボス部屋の奥に出現した宝箱。中には、刀身から絶えず炎が揺らめく『魔剣』が収められていた。


 「炎付与の魔剣か……。これも宝の持ち腐れだな」

 魔剣を迷わずアイテムバッグへ放り込む。俺にとって、最強の武器はすでにこの手の中にあり、遠距離からの牙弾に勝るものはない。


 「さて、地下81階に降りて、お昼ごはんにしようか」

 「やった! スキュラのタコ足、楽しみにしてるよ!」


 俺たちは深層の冷たい空気の中、次の階層へと足を踏み入れる。迷宮の深淵に近づくにつれ、魔物の強さは増していくが、俺たちの「食欲」と「探究心」もまた、深まるばかりだ。

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