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復讐の異世界転生者 ~魔法適性ゼロの『魔抜け』、前世の知識と『気功』を極めて魔法至上主義を粉砕する~  作者: ボルトコボルト


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032 迷宮への逃避行――ギルドの監視網を切り裂き、牙を研ぐ日々

 俺たちは迷宮へと足を向けることにした。


 「よし、今日からはレベ上げに専念だ。迷宮に潜って、潜って、潜り倒すぞ」


「賛成じゃ。今の私たちに必要なのは、何よりも力じゃからな」


 今回の素材は、冒険者ギルドには一切卸さないと決めている。ギルド長や『炎猫』たちと顔を合わせるリスクを冒す必要はない。ニャルマル商会に買い取ってもらう方が安全で、かつ利益も出る。ギルドに対しては、以前から良い印象も持っていないのだ。


 迷宮へと続く大通りを歩いていると、妙なことに気づいた。


 俺たちが歩く先々で、周囲の冒険者たちが蜘蛛の子を散らすように道をあけていくのだ。昨日の迷宮の騒動によるものだとしても、全員が警戒しているのは異常だ。


 迷宮の門へ近づくと、門番たちが俺たちを待ち構えていた。

 昨日とは違い、明らかに俺たちを「待ち伏せ」していた様子だ。


 「……失礼ですが、お二人とも『疾風』と『風刃』の方ですよね」

 門番が恭しく、しかし逃がさないという意志を込めた声で呼び止めてくる。


 ハルカはきょとんとして知らん顔を決め込んでいるが、エリがスッと目を細めた。

 「そうじゃが……それが何か用か? 門番が冒険者の名を聞き出すなど、珍しいこともあるものじゃな」


 「ギルド長がお呼びです。至急、ギルドへ向かっていただきたい」


 その瞬間、エリの纏う空気が一変した。冷徹な理詰めの威圧感。


 「……それは異なことを言うのじゃな。我らは今日この門に来たばかりじゃ。門番は勤務中、持ち場を離れられぬはずじゃろう? なぜギルド長が、我らが今日この時間に、この門を訪れると知っていたのじゃ? あるいは、昨日からずっとここで我らを待ち伏せしていたのかのぅ?」


 門番はたじろぎながらも、言い訳を口にする。

 「……昨日、お二人がこの都市に現れたという報告を受けました。それ以来、ギルド長から『二つ名持ちが迷宮に来たら、至急連絡しろ』と厳命を受けているのです」


 「おや。では、昨日ギルドの連中が我らの顔を確認し、この都市中の冒険者に噂を流したということか?」


 「……二つ名を持つ冒険者が現れたのですから、報告義務があるのは当然でしょう!」


 エリはふっと鼻で笑った。

 「その『報告』とやらが、どうも早すぎるのじゃ。我らがここを訪れると予測して待ち伏せをさせる……。それは即ち、ギルド職員であるお主らが、冒険者の移動ルートすら監視しているということではないか?」


 門番の顔色が青ざめる。「しまった」とでも言いたげな表情だ。

 「冒険者の個人情報は、死活に関わる秘匿事項じゃ。これがもし極秘のクエスト中だったら、お主ら、責任を取れるのかのぅ?」


 門番たちは圧倒され、恐怖に顔を強張らせた。

 「せ……責任は、取れません……」


 「じゃろうな。……いいか、我らとお主らは、今ここで会わなかったことにしてやる。そうせねば、お主らの責任問題じゃな。勿論、ギルド長には我らの姿を見失ったと報告せねばならぬはずじゃ。それが、お主らが破滅を免れる唯一の道じゃぞ」


 「は、はい……申し訳ありませんでした!」


 「では、中に入るぞ。お主ら、今後も我らのことは秘匿するのじゃ。我らは他の都市へ行く途中に立ち寄っただけ。この都市で冒険者登録するつもりも、ギルド長に会う義理も無い。……分かったな?」


 「承知いたしました……!」

 門番たちは深々と頭を下げ、俺たちは何事もなかったかのように迷宮のゲートをくぐった。


 迷宮に入った瞬間、俺は溜息をついた。

 「酷い門番だね。街中の冒険者が道をあけていた理由がようやく分かったよ。門番が裏で情報を言いふらし、監視までしていたんだな」


 「そうじゃろうな。昨日、迷宮前で騒ぎになった時点でギルドに筒抜けだったのじゃ。敵対する可能性のある相手に、そう易々と情報は渡したくなかったのじゃが……背に腹は代えられぬわ」


 エリはそう言うと、険しい表情で迷宮の奥へと視線を向けた。

 「主様、今はギルド長とは会いたくないじゃろ?」


 「ああ。あいつらが何を企んでいるのか。裏が取れるまでは、迷宮に引きこもって力を蓄えるしかないな」

 「そうじゃのう。……さあ、行くぞ。ここからは戦場じゃ」


 俺たちは迷宮の深淵へ向かって歩き出した。

 地上で何が起きようと、ここでは俺たちの強さだけが唯一の正義だ。シャルさんからの連絡が来るその時まで、俺たちは牙を研ぎ続ける。

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