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ワルコフに気をつけない  作者: スサノワ
13:サインオーガ爆誕!

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83/153

6:コウベ 対 MΘNΘCERΘS その4

2016/10/01 16:41 また間が開いてしまいました。申し訳ありません。細かい所は調整するかもしれません。よろしくお願いいたします。

※それと、表現や表記など、何か問題がありましたらば、メッセージを下さい。善処いたします。

「じゃあ、再開する?」

 円盤の上に仁王立ち、尖ったギザ歯を剥き出しにする、上から目線の、対戦数ゼロ(LV0)。


 鹿と少女は、近い距離で、対峙した。

 やや緊迫した空気にギャラリーは、おやつを囓(かじ)るのを、止めて見守る。


「グルルルゥ、ゴガァァ!」

 敵対する、獣の内面が、溢れ出―――

 青い鹿は、どういう理由によるモノか解らないが―――

 ペコリとお辞儀をした(・・・・・・)。


「これはどうも、ご丁寧に」

 ペコリ。礼を返すSFピタピタコスチュームの少女。

 角度最大(最敬礼)の瞬間、一回、ボウッと光る真空管(電球)。


 間抜けな光景に、虚を突かれ、数拍の間が空く。

「ザザッ―――公園の鹿……みたいど……すなぁー」

 映像空間から、呑気(のんき)な感想を述べる、項邊歌色(コウベカイロ)。

 米沢首(ヨネザワコウベ)の、外装提供者(外面の元ネタ)にして、VR設計師(開発者)は、作業服の胸ポケット(処刑人外装)から、何個かおやつを取り出して、テーブルに置いて行く。


 ノイズ(演出)混じりの感想を、合図(スターター)代わりに、円盤から飛び退く少女《コウベ》。


 ゴァゥッ! ジィー、ジッジッ、ジィーッ!

 青い獣は毛皮表面の、体軸に沿(そ)った放電を再開した。


 ギャーッ! パリ、パリパリ、バリ、ヴァリヴァリッ!

 少女は、ツインテール(おさげ)を伝(つた)い、毛先へ向かう環状の放電を再開した。


 足爪を突き立て、肩にしがみついている小鳥が、くしゃみをした。少女は鼻を擦った。

 放電(プラズマ)によって発生したオゾン臭を、映像から想起したのか、驗(シルシ)少年も、同じように鼻を擦った。

 少女の右前方に浮かぶ映像空間の中、締まらない顔の、サイボーグが、声を掛ける。

「ザザッ―――おーい! 負けてもいいぞ! 全力でやってやれ!」


「アハハ、変な顔のシルシだ! ボサボサーッ!」

 一触即発中にも関わらず、ナックルガードを映像空間に向け、ウケている少女。


 その、後頭部へ、ソバットを繰り出す、青い鹿。又の名を一角獣モノケロス。


 チチッ♪

 小鳥の声を聞き、即座に、上体を斜めに倒す(ダッキング)。舞い上がるお下げ(ツインテール)。

 あまりにも見事なタイミングでかわしたため、観客の一部が”ああっ”と悲痛な声を上げた。まるで、蹴り飛ばされて、上体が沈んだように見えたのだろう。

 そのフォームは、教わった訳でも無いだろうに、驗(シルシ)少年が、時折見せるボクサー顔負けの(大袈裟な)ダッキングと瓜二つだった。


 空を切る鋭利な蹄(ひづめ)。

 ゾッ! 少女のお下げの末尾。30センチ程度が、真剣を思わせる切れ味に、寸断される。

 上体を起こす、彼女(コウベ)の瞳に、青白い炎が宿る。蹄(ひづめ)を打ち出した、体軸に沿(そ)って繰り返し流れる放電の光だ。


 小鳥が、ヂ♪

 コウベが、自分の瞳の中の青白い炎を、肩口に止まる”小鳥”へ向けた。

 小鳥は羽ばたき、飛び立つ。そのまま旋回もせずに、ひたすら羽ばたいて、コウベから離れていく。


 ピカカーーーンッ!

 輝く頭上の真空管(まぬけ装備)。

「ザッ―――あはは、かわいー」

 左前方に浮いているで有ろう、環恩(ワオン)達と繋がっている映像空間(パーティーチャット)から、感想が届く(リアクション)。


 バリッ!

 首の後ろからオレンジ色の稲妻(イナズマ)が発せられるが、それは”切り取り線”を無視して、体表面を伝って、腕に流れていく。

 骨(軸)に沿った環状放電は、細腕を一周している。髪の房に流れてた電流の種類(パターン)と同じだ。


 バリバリバリッ!

 少女の腕にオレンジ色の放電が、幾重にも(・・・・)流れ込んでいく(・・・・・・・)。

 繁華街のネオンを思わせる電気的な(派手な)挙動。それは獣が放った後ろ足(凶器)を流れている殺意(モノ)とそっくり(・・・・)だった。


 ヴァリヴァリヴァリッ!

 電磁加速(リニア)によって射出された左腕のナックルガード。

 まるで勝ちどき(勝利のポーズ)のように突き上げられた拳(衝撃)は、青い獣の鎧のような毛皮を貫(つらぬ)いた。


 ゴッン! チッ、ピピッ♪

 ナックルガードの信管が、ほぼ瞬時に(ノータイムで)作動し、青い獣の胴体を爆破した。


 シュドドドドドドドドドゥ!

 天へ向かって吹き上がる爆炎は、全体的に炎の(オレンジ)色を濃くしていて、見た目が派手だ。


 沸き上がる歓声。

 映像空間の中の、VRE研の3名と白焚(シラタキ)、そして別枠の驗(シルシ)と宇宙服《ワルコフ》も、食い入るように、一点を見つめている。

 爆炎が薄くなり、跳ね上げられた獣が露(あら)わになった。

 まるで、噴出した原油(黒いダイヤ)を見上げる山師のように、全員が歓喜の表情で獣を仰(あお)ぐ。宇宙服の表情は見えないが、引き出しの隙間から、槍の先が飛び出しているところをみる限り、拳を掲(かか)げる驗(シルシ)少年(ボーグ)と同じように喜んでいるのだろう。


 小鳥はコウベの背後に滞空し、ヂヂヂッ♪

 その白く縁取(ふちど)られた眼が捉(とら)えるえるのは、真空管(面白パーツ)。


 真空管(電球)が輝き、コウベの首の後ろから、吹き出す火花。

 パシューーーーッ!

 肩や腕の切り取り線を焦がし、シュパパパパパッ! と一気に拳へ到達する。

 拳が白くなるほど、強く握られる、ナックルガードのグリップ。


 カチカチッ!

 押さえ込まれた、再装填の(リロード)動作(アクション)がキャンセルされる。

 ピッ♪

 拳(ナックルガード)にオレンジ色(・・・・・)のランプが点(つ)き、使用可能にな―――


 チッ、ピピッ♪

 ナックルガードの信管が、もう一度、遅延無しで(ノータイムで)作動した。


 鹿(か)の敵を突き上げた、打点の頂点(・・)。

 毛皮(装甲)を貫(つらぬ)く、少女の拳に乗った重心(慣性)、有効打撃(あたり)判定。


 その衝撃で、エビ反りになっている一角獣の背中。

 橙色の虎縞(とらじま)が浮き出ている辺(あた)り。


 頂点にコンマ数秒、制止した獣。

 毛皮は放電が無く、毛先がバラバラの方向を向いてしまっていて、鎧のような防御効果は期待できない。

 膂力(りょりょく)を、元とした、鉄壁の耐久力も、伸びきった今の体勢では効果薄と思われ。


 オレンジ色の爆炎(・・・・・・・・)に、再度、晒(さら)される獣。

 シュドドドドドドドドドゥ!


 ンギャオオオウゥオウゥオウゥッ!

 無防備状態(ノーガード)で、ゼロ距離爆撃(最大確定攻撃)を喰らったのだ。

 そりゃあ、ンギャオオオウゥオウゥオウゥッ! と叫び悶絶するだろう。


 んぎゃおおおうぉおうぅおうぅっ!

 と、巻き起こった大歓声が収まると同時に、環恩(ワオン)が叫んだ。

 舌っ足らずでかわいらしい、キャラ設定通りの、ライブラリ音声が轟(とどろ)く。意図的に、音声ライブラリ、を使ったのは、その方が、観客(ギャラリー)への通りが良いと思ったからだろう。


「ザザッ―――見てぇ! 攻撃がHIT! したわぁっ!」


 『HP:■__________』

 『MP:|______』


 頭上に浮かぶ、とても長い横棒(バー)を、見る。何度迎撃しても、カスリ傷一つ負わせられなかった、鉄壁のHP(ヒットポイント)が確実に減っていた。

 驗(シルシ)の連続コンボが確立した時点から、初めての有効打撃だ。

 驗(シルシ)の最後の攻撃が的中(HIT!)したときから、一角獣(モノケロス)のHPバーは赤くなっていたが、コウベの有効打を受けるに至り、とうとう赤点滅(レッドブリンク)しだした。


 現在2。『115200 DAMEGE! 2HIT COMBO!』。


『MΘNΘCERΘS__/LV52』

『HP_909461/6400000』

 カタカタカタカタカタカタッ、ズドン♪


 戦闘(バトル)システムがコンボ数を確定し、実際のダメージ数値を表示した。

 驗(シルシ)がコツコツと積み上げた、”戦艦による砲撃”クラスの、100万ダメージオーバーの一撃(いちげき)と比べれば、相当に落ちる。ソレでも、スターバラッドでの戦闘経験(LEVEL)ゼロが、叩き出して良い数値ではなかった。トップランカーの持つ、伝説級の武装(レジェンダリー)にも引けを取らない事は、2HITで、10万ダメージ(・・・・・・・)を叩き出したことで、証明されている。


 残り体力(HP)、2割を切った所からの、停滞を打ち破る、快挙。

 少女は好敵手(ライバル)と化した、小型ボス最高峰(難攻不落)へ、言い放つ。

「どうだっ! ……えっと何だっけ? えーっと、……そだっ、モロケトル(・・・・・)ッ!」


 ザザザッ―――ウオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオッ!


 環恩(ワオン)達と繋がっている、映像空間(パーティーチャット)』から、大歓声と共に、欲のでた部員達の勝手なアドバイスとかが、飛び込んで来た。


「ザザザッ―――やるじゃないの! 間髪入れずに叩き込みなさいよ!」

「ザザッ―――すげえぜ! 慎重に行け! カウンター狙ってけ!」

「ザッ―――怪我とかすんなよー。あと”モノケロス(・・・・・)”なー」


 コウベは文字チャットを開いて無かったが、驗(シルシ)が写る、映像空間の下に勝手に字幕が表示された。


 『■何ソノ、ブラックボックスユニット! 超イケテルジャナァーイ? イイカンジジャナーイッ?_』

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