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ワルコフに気をつけない  作者: スサノワ
13:サインオーガ爆誕!

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82/153

6:コウベ 対 MΘNΘCERΘS その3

2016/09/27 9:49 酷い乱丁を訂正。大変失礼しました。

2016/09/26 15:06 要素として大きな物が一つ、手つかずなので、まだ、本格始動とは言いがたい状態です。よろしくお願い致します。

「■惑星ラスクデ使ワレテイル、宇宙兵装ト宇宙船ノ推進装置ニ発生スル、パテント料ノ全テヲツギ込ミマシタ(・・・・・・・)_」


「ザッ―――さっき、自分で作った(・・・・・・)って言ってたな」

「ふ、ふーん。姉さんが、飛びつきそうな話ねー」

 禍璃(マガリ)は、指先でメモ帳アプリを起動させて、何かをフリック入力している。


「でも、そんな高っけーモン、毎回爆発させてたら、幾(いく)らあっても足(た)んねえぜ?」


「■何度、壊レテモ爆発サセテモ、バックパック内蔵ノ工作機械(クラフトマシン)ガ再生産(リプロダクト)スルノデ、安心デス_」


「■ソレデモ再生産(リプロダクト)スルト、1基ニツキ、400万宇宙ドルスルノデ、出来ル限リ回収シマスケd_」


「はーっ。なんて、もったいない。50兆宇宙ドルとか、1基400万宇宙ドルとか。そんなお金有ったら宇宙ステーション、……どころか、小さめの惑星なら丸ごと買えそうじゃない! もったいない、もったいない―――けど、まあ、いいわ。高性能の理由が解ったし」

 海賊(マガリ)は不適な笑みを浮かべ、メモ帳アプリの平面を、指先のリング型デバイスへしまった。


「ザザッ―――じゃあ、話を戻すぞ。あの、鉄の塊(かたまり)は、コウベに”分解”されて、その”圧縮プロトコル”が自動解凍(解除)されて、出てきたって訳だな?」


「◆hfj※っdrlじゅw_」

 ザッ―――ピピッ♪

 宇宙服の日本語入力(ワルコフIME)が不調をきたす(ジャムった)。

 宇宙服は文字入力を諦め、件の電磁槍(ロッド)を突き上げた。

 ”肯定”と言うことだろう。宇宙服に首を縦に振る自由度は無い。


「ザザッ―――さて、どうなってる?」


 驗(シルシ)達は、一斉に、決戦場へ視線を戻した。

 気の早い残念会会場では、B級映画のクリーチャー、”悪夢の(ナイトメア・)処刑人(エクスキューショナー)”が、叫んでいた。


 大声を張り上げているので、刀風(カタナカゼ)経由で、声はとどいているようだが、直接、映像空間が繋がっていないため、驗(シルシ)には休憩所のテーブルのあたりは見ることができない。


「―――こら! ”試作コード68”! ……”試作コード65”を放しなはれー!」


 ビビビビビビヂヂヂヂヂヂッ♪

 濁(にご)ったさえずりがかすかに聞こえてくる。


 ”試作コード65(小鳥)”は、自身の管制制御下に置かれているっぽかった、”試作コード68(米沢首)”に、両手で首根っこを捕まれていた。

 小鳥の眼の明滅パターンを、応答する側のコウベの眼が凌駕(りょうが)していく。


 本来の敵、一角獣(モノケロス)は、コウベを中心に、左右へうろついていた。

 時折放つ、コウベへの雷撃(MP)は、鉄塊に吸収されている。


 一角獣との距離が離れ、映し出される範囲が最大になったとき、隅に小さくフレームインしてきた顔長猫。

 ジャングルの中に開けた決戦場(フィールド)の中央、驗(シルシ)が、忘れていったギザギザした円盤の上に座り込んでいる。華麗なセッションを見せた、大きいサイズの顔長猫だ。

 戦闘が膠着(こうちゃく)状態になったため、木々の茂る奥から這い出てきたとみえる。


 その円らな瞳の向いた先。

 鉄塊の上で、ピタピタコスチュームのコウベは、小鳥の首を掴んだまま、小鳥の頭を ムギュムギュムギュッっと3回叩いた。


 ビョビョビョォォォォォォォン!

 どういう仕組みなのか、おもしろい音を立てる小鳥。

 赤く明滅していた、瞳に黒い色が戻る。

 コウベの瞳にも、髪と同じ色が戻った。


「自力で戻った!? ど、……どういうこと……でっしゃろ、あんな設計し……てやしまへんえ!?」

 狼狽するVR設計師にして、今の姿は細身の巨漢の、項邊歌色(コウベカイロ)。

 表情を”?”にする、笹木環恩(ササキワオン)と白焚畄外(シラタキルウイ)。


 動きがないため、ズーーーーーームされ続けた、映像空間に、大写しの美少女コウベ。衆目(しゅうもく)の集まる中、腰のスロットから取り出す、烏賊飯(いかめし)の形の特選おやつ。

 有効攻撃力を持たない以上、どうやっても、負けてしまうのだ。

 ヤケ気味なのだろう。

 頭の上の小鳥は何やら囀(さえず)り、”わかってるよ五月蝿いなあ”と手で、追い払われたりしている。

 先ほどまでの、緊迫した空気は無い。

 コウベは、鉄塊の縁から足をブラブラさせて座り込んだ。


 開封された、烏賊飯(いかめし)から、瞬間的に湯気が立ち上る。

 切れ込みが入ってて、手でも千切れるようだ。

 その手づかみで千切り取った、天辺の烏賊耳(いかみみ)部分。

 今まさに、牙を突き立てようと、眼前1メートルへ瞬間移動してきた、青い鹿《モノケロス》。その開いた口に、向かって、烏賊耳(いかみみ)を放り投げた。


「ザザザッ―――チョット待ってなさいよ。決着はコレ食べてからね」

 獣は、着地して、口の中のおやつをモグモグモグ。

 ピチチチッ♪

 こっちにも寄越せと、小鳥に頭をつつかれ、しぶしぶ、千切って頭上へ突き出す。


 コウベは、パッケージへ囓(かじ)り付いて、烏賊飯(いかめし)を口へ詰め込んだ。パッケージを投げ捨て、小脇に抱えていたモノを、取り出す。


「ザザザッ―――さっき拾ったコレ、……もぎゅもぎゅ……どうすんのさ。え? 何処でもいいから装備しろ?」

 ドコにすっかな。やっぱし、ココかな!


 自分の頭(ヘルメット)を電磁槍(ロッド)で小突(こづ)いていた、宇宙服(ワルコフ)が―――

 カタカタカタ、カタカタカタ、タン。

 と再び文字チャットへ書き込みだした。IMEの調子が戻ったっぽい。

「■最高ランクノ強度ヲ誇ル、”圧縮プロトコル”、『量子(QUANTUM)圧縮(ZIPPER)』ニハ、バグ(BUG)ト言ッテモ良イ特典(・・)ガ有ッテ、複合化(解凍)スルト、”機能”ガ圧縮サレタママ、分解(物質化)サレル場合ガ有リマs_」


「……長えな。えっと、つまりどういう事だぜ?」


 映像空間に映し出される、美少女は、その電球のような真空管(・・・・・・・・・)を頭の上に、乗せた。

 虹色に煌(きら)めくソレに、押しのけられた小鳥は仕方なく、周囲を旋回した後で、少女の肩に止まる。


「■『量子(QUANTUM)圧縮(ZIPPER)』ヨリモ、効率的デ、省スペースナ、高性能の代替品(ブラックボックス)ガ手ニ入ルトイウ事デス_」


 小鳥が鳴くと、何故か光る真空管。その大きさは結構でかくて、直径10センチ、高さ15センチの円筒状。

 コウベの髪を放電が流れ、ツインテールの先まで行って、オレンジ色の放電を放った。

 同時に、わずかながら、コウベの体が浮かび上がった(ホップした)。


 ウォ!?

 一斉に観客(ギャラリー)が、期待の声を吐く。


 小鳥が鳴くと、何故か首の後ろから、右拳まで、”導電体による回路配線《切り取り線》”が引かれ、ナックルガードが、自動的に再装填された。


 ウオォォォ!?


 小鳥が鳴くと、何故かもう片拳にまで、線が引かれ、再装填。

 両拳共、再使用可能になるまでのタイムゲージはまだまだ、残っていたにも関わらずだ。


 ウォオォォォォォオォォォォ!


 小鳥が鳴くと、頭の上の真空管が強烈な強さで光り出す。

 ペカーーーーーーーッ!

 正直な話、それほど格好良くは見えない。それどころか、頭の上の電球は、間抜けで有り、何が閃いたの? と問わずには居られない。それでも、取りあえず、迫る敵と渡り合える武装が使用可能になったのだ。多少の見てくれの悪さを気にするプレイヤーは居ない。


 バリバリッバリ! 毛先から鉄塊へ流れ込むオレンジ色の放電。

 もはや、地に足は着いていない。ほんのちょっとだが浮かびっぱなしだ。


 ウォオォォォォォオォォォォォォォオォォォォォォォォォ!


 歓声に答えて、大爆発する、ワルコフ謹製、電磁槍(ロッド)の中身(・・)。

 ドッガーーーン!

 電磁槍(ロッド)内訳(・・)は、光の粒子と化した。


 爆発に驚いた、顔長猫達は再び、木々の茂るジャングルの奥へ逃げていく。


 コウベは華麗に宙を舞い、ムーンサルトで決戦場の中央、驗(シルシ)が忘れていった歯車(ギア)型の円盤へ降り立つ。

 が、足を取られ、円盤へペタリと女の子座りを披露した。


 かっ!

 ざわつく観客。


 「ザザッ―――「「「「か?」」」」」


 かわいぃぃぃぃぃぃぃーーーーっ!!

 半狂乱の観客たち。期待と手詰まり感の漂う中、何か、やってくれそうなパワーを身に付け、あまつさえ、コケたドジを隠すように、「失敗失敗」と、猫手で頭の上の真空管をコツン。

「ザザザッ―――あんな芸風、どこで覚えやがった!?」

 色めき立ち、大口を開ける驗(シルシ)。さすが末席とはいえ、自律型(会話型アブダ)NPC(クションマシン)といったところか。彼女(コウベ)も、毎分毎秒、成長しているのだ。


「ぎゃーーーーーーーーっ!!!」

 叫んだのは細身の巨漢の、無骨で泡立つような、掠(かす)れ声。

 取り乱す余りに、キャラに設定された音声ライブラリで発音されている。

 項邊歌色(コウベカイロ)は、のたうち回っていた。


「い゛ーーーや゛ーーーや゛ぁーーーーー!」


「歌色ちゃんそっくりで(・・・・・)、かぁんわいいぃーーーーーーん❤」

 意地悪な表情を張り付かせ、嬉々として、赤い”自動機械”から、次々とおやつを取り出して並べていく、白焚(シラタキ)。

「あ゛て゛ぇは、……あ゛んなこ゛と゛……せ゛えへんも゛ん!」


「もぉうー、すっかりー打ち解けたぁ、ようでぇーすねぇー」

 猫耳ヒューマノイドは、ほっと胸をなで下ろした。

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