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ワルコフに気をつけない  作者: スサノワ
13:サインオーガ爆誕!

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6:コウベ 対 MΘNΘCERΘS その2

2016/09/26 13:52 間が開いてしまい申し訳ありませんでした。暫定部分もありますが、設定変更はたぶんありません。よろしくお願いいたします。

「ワルよぉー。ありゃ、本当に、お前さんの”棒”の中身なんかよ?」


 刀風(カタナカゼ)は、映像空間の中の、宇宙服(ワルコフ)を、小声で問いただす。少し開いた引き出しの底から、上を見上げているワルコフ。

 


 驗(シルシ)から接続(リンク)された映像空間(パーティーチャット)は、刀風(カタナカゼ)たちの背後に固定されている。近寄って、上から覗き込みでもしなければ、環恩(ワオン)達からは、直接見えない。

 刀風(カタナカゼ)の現在の外装は、身長の低い魔女っ娘なので、椅子に乗って上から見ている。


 全長10センチちょい(サムネイル)の小さい宇宙服は、映像空間の中で、さらに小さくなり指先程度だ。もし白焚(シラタキ)に見られても、不振なNPC(・・・・・・)だと、見抜かれることもないだろう。それでも、生徒達は、念入りに、コソコソしている。

 特区での”管理者権限(アドミニストレータ)”は、万能(・・)と言って良い。ましてや、今日は危険な色(動脈色)の自動機械(・・・・)を従えている。用心に越したことはないのだ。


 禍璃(マガリ)が、アタシにも見せなさいよと、刀風(カタナカゼ)を力任せに後ろへ引っ張る。大男が女の子を力任せになぎ倒しているようにしかみえないので、絵的(えてき)に、非常によろしくない事この上ない。


 ワルコフは、机の引き出しや天板を無視して、驗(シルシ)主観の映像空間を見つめている。

 バイザー外周を回る小さな光点が、3周した所で、打鍵音が驗(シルシ)の耳に届いた。


 カタカタタカタッタン。

「■ハイ。私ガ機能優先デ作リ上ゲタ、電磁推進エンジント、超大容量バッテリーノ実物デス_」

 宇宙服(ワルコフ)の入力した文字が、文字チャットウインドウに書き込まれる。


「なにそれ? そう言うの姉さんが好きそうね、詳しく教えなさいよ」

 興味を持った、海賊姿の禍璃(マガリ)が、肩を怒(いか)らせて、映像空間の中に、手を突っ込んで引き出しのあたりを突っつく。


 引き出しの中の宇宙服が、まるで突(つつ)かれたように、体を揺らす。


「■コレハ、”スターバラッド”ノ、全テノ宇宙船ニ、使ワレテイル、根幹技術デス_」

 背中のバックパックから、電磁棒(ロッド)を取り外す。両手に1本ずつ持って、松明(たいまつ)のように振り上げて見せる。

 スイッチを入れられ、先端から放電する電磁棒(ロッド)。


「なんか短いわね」

 そう言われた、宇宙服(ワルコフ)は、棒をガシリと繋ぎ合わせ、一本の電磁槍(ロッド)にした。


「ザザッ―――で、あの、鉄の塊をどうやったら、そんなに小さく出来たんだよ?」

 映像空間(パーティーチャット)の中の驗(シルシ)は、決戦場に繋がってる映像空間(パーティーチャット)を見ながら会話を続ける。


 決戦場では、倒れた鉄塊にコウベがよじ登り、一角獣は鉄塊へ向かって頭突きをしてる。配管構造に帯電していた電力を奪ったのか、一角獣は体表面の流れるような放電を取り戻した。

「ザザッ―――ゴアァァァッ!」


「ザザザッ―――ああっ! チョットだけど、使い切ってたMPが戻ってる!」


「鋤灼(スキヤキ)君ー。どうかしましたか?」

 白焚(シラタキ)女史が、真っ赤な”自動機械”に乗ったまま、すぐ近くまで移動してきていた。


 驗(シルシ)は慌てて引き出しを閉める。

「な、なんでも無いすよー?」

 不自然極まりないが、女史はテーブルに、長めの”特選おやつ”を並べることに専念している。残念会を開催する気、満々なのだろう。


「もぉーうぅー、……やってりゃりゃ……れりゃいっ、……ど・す・えっ!」

 歌色(カイロ)さぁん、これぇー、ブドウジュースよぅ?

 ひっく! うぃーーーーっ! とクダを巻く”悪夢の処刑人(コウベカイロ)”。


 片や、VR専門家にして、特別講師。片や、”自動機械(マシン)”群システム(OS)管理者にして、スターバラッド運営サイドだ。

 根幹となる技術群の出自が、VR設計士とは違うのは、否めない。

 骸骨型のフェイスガードを付けた、細身の巨漢が、空になった”特選おやつ”の瓶をテーブルに叩きつける。

 ”瓶”は光の粒子になり、受け取り保留のアイコンと化した。


「いえ、先生、これ、”お酒”ですよ? 生徒さん相手に、まずかったかしら?」

 タンジェリンオレンジのカーディガンを羽織った白焚(シラタキ)が、ブドウの絵が描かれた瓶のラベルを、指さした。


 『コレは、お酒です。※アルコール成分はありませんが、体質によっては酔う場合があります。』

 ラベルに描かれている一房のブドウの、一粒が人の顔になっている。ツノが生えていて、魔女帽子をかぶっている、例のアイツ(・・・)だ。キャラメイカーズのタイトルロゴといい、メインヒロイン(PLOT-AN)の扱いが、どこか雑なのは、やはり、鳴り物入りで、登場したのに、サービス開始と同時に、突如失踪したからだろうか。


「えーっ! てっきりブドウジュースとばかり。校舎内での酒盛りはぁ厳禁……でも、歌色(カイロ)さん大人だしー、VR空間内じゃ、長時間酔っぱらう訳じゃ無いしー、問題なぁーい? ……のかしらぁ?」

 頬に手を当て、思案に暮れる猫耳。

 次々と、縦に細長い”特選おやつ”を、手に取り開封していく、処刑人(カイロ)。

「いいわね、いいわね、こういうの!」

 と眼を細めて喜ぶ白焚(シラタキ)女子(・・)。”自動機械”に乗ったまま、上機嫌で環恩の隣(女子会)へ戻っていく。

 ……やはり、システム管理者(シスアド)は、寂しいのかもしれなかった。


 盛り上がってきた、成人組とは対照的に、教室(シルシ)直通の映像空間(パーティーチャット)を隠し、ヒソヒソ話を続ける、生徒組。

 因(ちな)みに、観客達は、コウベと謎の鉄塊と、一角獣の行動に目が離せないでいる。

 広場は、観客がおやつを囓(かじ)る音と、環恩(ワオン)達の一足早い、残念会の喚声(かんせい)に包まれる。


「ザザッ―――で、何の話してたんだっけ?」

 ヒソヒソ。


「■コノ電磁槍(ロッド)ノ中ニ、ドウヤッテ、アノ電磁推進エンジント、大容量バッテリーヲ詰メ込ンダカ、オ尻(・)ニナリタインジャ、無カッタカシラァ?_」

 カタカタカタ。


「おい、字が間違ってんぜ?」


「■ゴッメンナサーイ。ウフフフフゥー_」

「なによ、鋤灼(スキヤキ)みたいな、しゃべり方するんじゃないわよ」


「ザザッ―――……ワルコフ(コイツ)、説明するのに飽きて来たな。さっさと頼むぜ、あっちもほっとくわけにもいかねえし……」


 映像空間の中(決戦場)では、一角獣(モノケロス)が、やや遠間から大電流を放つ。コウベは小鳥に頭を捕まれ、まるで持ち上げるかのように羽ばたく方向へ、飛び退いて躱している(サイドステップ)。


「■一言デ言エバ、課金(マネー)パワーデス_」

 カタタタタタタンッ!

 入力スピードが倍速になった。


「「「はっ?」」」


「■最高ランクノ強度ヲ誇ル、”圧縮プロトコル”、『量子(QUANTUM)圧縮(ZIPPER)』ヲ課金適応シマシt_」


「なにそれ? 50円とか払えば、VRアイテムを小さくしてくれるの?」

「■ソウデスネ。金額(桁)ハ、違イマスケド」


「幾らぐらいなんだぜ? 俺も、インベントリ(アイテム金庫)いっぱいだから、デカいアイテム小さくしたいぜ」


「■50兆宇宙ドル、カカッテシマイマシタワー」


「ザッ―――「「ブッッ! 今なんて言った!?」」」

「50兆って、”宇宙ドル”の、年間流通量と同じじゃないの!」


「ザッ―――そんな大金、まさか、ハッキングでっ!?」


「■イイエ、ゲーム(スターバラッド)内仮想暗号通貨、”宇宙ドル”ノ堅牢性ニハ、白旗ヲ揚ゲザルヲ得マセンデシタ_」


「ザザッ―――白旗って、やっぱり一度は試みたんじゃねーか!」

 映像空間の中の、驗(シルシ)が、VRHMD前面に表示された顔を歪め、指先で宇宙服を弾く。

 必死に、電磁槍(ロッド)で、ガードし、よろけながらも、説明を続ける。

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