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ワルコフに気をつけない  作者: スサノワ
13:サインオーガ爆誕!

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1:ブリーフィングその2

2016/08/25 16:11 これも、暫定版。申し訳ありませんが、よろしくお願いします。

 ここは、公園隣接のカフェテリア。

 午前中の、部活動を終えた、昼食タイム。


 テーブルの隅に青い角(ツノ)の付いた人形。

 その重石(おもし)の下には、一枚のレシート?


「俺のキャラ爆死の件は、あとで、お知恵を借りたいんですが、さしあたって、これ、どうしましょう?」

 驗(シルシ)は人形を手に取り、レシートを指で滑らせ、テーブル中央へ。

 それは第珊(さん)VR教室の教卓に付いてる、小さな汎用プロッタから出力された物だ。


 頭頂部すべてを覆い尽くすほどの太い角。反り返る首筋からの流れのまま、やや後ろへ反り返り、先端部分が前方へ向かってカーブしている。

 雄鹿のようなスラリとした体躯には、似付かないほどの巨大な一本角。

 身長よりも長く、そびえ立つ、蛇腹のような規則正しい、その節目。刻まれた幾つもの傷が、歴戦の凄まじさを物語っている。


 フルカラーのドット絵で描かれた。崖に颯爽と立つ、なんか格好良い四つ足の一角獣。

 その下には、SBT(スターバラッド時刻)表記で、受理時刻が印字されている。

 さらに、その下に、きらきらと7色に変化していく文字が大きめに書かれている。

『”LV52ーMΘNΘCERΘS(モノケロス)”からの決戦申請証(エネミーチケット)』

 荒いドット文字だが、何とか読める。

 決戦申請証(エネミーチケット)は、モンスターサイドから(・・・・・・・・・・)の(・)、要請で(・・・)発行される。経験値2倍、宝箱の数も2倍、モンスター固有のレアアイテムが有る場合には、必ず宝箱に入ってる。


「でも、なんで、こんな高レベルの伝説級(レジェンダリークラス)の激レアモンスターが、あんな、詳細不明の地下にいて、しかも、鋤灼(LV0)なんて(・・・)目の敵にしてんのかしら?」

 画素対応テーブルの、隅に表示させている”スターバラッド攻略本”から、ちらりと、眼だけを、締まらない顔の少年に向けた、小柄な少女。


「おい、ご挨拶(・・・)だぞ……もぐもぐ」

 山盛りポテトを前にして、何故か楽しそうな、締まりの無い顔の少年。


「鋤灼(LV0)は兎も角(・・・)、コウベもワルも、ひと鳴きでノックアウトってのは無えぜー!」

 マルゲリータを切り分けながら、ちらりと、眼だけを、ポテト大王に向けた、大柄な少年。


「おい、旧友。もっと、オブラートに包(くる)もうぜ」

 身振り手振りを交えて、ますます楽しげになっていくボサ髪の少年。


「たしかに、そおどすなあ。……あてぇの娘(試作コード68)ぉも、……スタバにコンバートしたばっかりで、……LV0じゃしゃあないにしても、……無敵の宇宙服(いけず)まで、……手も足も出えへんてのは、……驚きどすな」


「■(ワルコフゥ)ハハハハ。ウケルー。拙者モ、LV0デンガナ~_」


「なに言うてはりますの? ……そんなウソ言うても、……ちゃんとわかりますえ」


「いや、項邊(コウベ)さん、ホントに、LV0ってなってるわよ?」

 禍璃(マガリ)も、自分の携帯(SSG)ゲー(MR400)ム機(ーRD)でプレイヤーカードを見てる。

 テーブルに上を向けて置かれる、真っ赤なSSGMR400ーR(ゲームローズ)D。

 刀風(カタナカゼ)のゲーム機(オレンジ色)より、幾分、薄型(スリム)だ。


 宇宙服の描かれた公開用のキャラ名刺(プレイヤーカード)。

『WARKOV__/LV0』

 そのLVは、驗(シルシ)や米沢首(ヨネザワコウベ)と同じだった。


「ほんまやがなぁ! ……どういうことでっしゃろ?」


「たぶんー、スターバラッド内でのぉ、撃破数がゼロだからぁ、……ズズズズ……LVUPに制限(レベルキャップ)が……ズズ……掛かってるんだとぉ、思う……あちっ」

 ……特別講師は猫舌のようだ。


 ちなみに、ワルコフの、文字化けだらけの、システムログを、環恩(ワオン)がざっと読んだ(・・・・・・)結果。赤達磨(バトルレンダ&暴走)の内訳は、こんなだった。同じ事を項邊(コウベ)も試みたが、開始30秒で読み上げ始めた環恩(ワオン)の声を聞いて、悲鳴を上げた。


 ア:パーティーメンバー登録してある鋤灼驗(スキヤキシルシ)のキャラクタが、検索にヒットした。

 イ:ゲームキャラとして大事な、”キャラクタアカウントの登録”がされていない驗(シルシ)のキャラの整合性(プログラムの健康)チェックをしようとしたが、何故かエリア間電送(ファスト・トラベル)が出来ない。

 ウ:禁止事項のリアルタイム回線の、ハッキングを、多重に強行。

 エ:整合性チェック開始、自身の”自作のキャラクタアカウント”の整合性エラーが検出されてしまう。

 オ:整合性チェックの一部に、公式のライブラリを使用していたため、自動的に読み込まれたキャラアカ修復プログラムと、自作キャラアカに内蔵の自己修復プログラムが、食い合いになる。

 カ:超高負荷のため起動中のバトルレンダが暴走。

 キ:驗(シルシ)が、自家中毒状態のワルコフに、取り込まれたまま、ワルコフの再起動過程(リブートプロセス)に立ち会う。

 ク:米沢首(ヨネザワコウベ)は、驗(シルシ)がやっと、キャラクタ作成したので、喜んで飛んできた(クイック電送)ら、巻き込まれた(バトルレンダ暴走)。

 ケ:経緯は理解しましたぁ。ワルさんはこの際ぃ、普通のスターバラッドNPCとしてぇ、レベル上げに邁進(まいしん)されてはいかがぁ? もちろんー、普通のぉハッキングも無しでぇー。早い話がぁー、鋤灼君達の護衛任務ですぅ。期限は、私たち残りのパーティーメンバー全員との合流まで―――


「フルトインフェルノをご注文のお客様ー?」

 長い前髪、丸眼鏡、地味な着こなしの割に、体つき(スタイル)が矢鱈(やたら)と派手な、ウエイトレス乱入。

 ワルコフシステムの、口頭によるログサルベージは寸断され、意気消沈の宇宙服十数センチは、ヨタヨタしながら、テーブルの隅へ歩いて行く。


「はーい俺、俺です!」

 軽い腰を上げ、自分で受け取りにいく驗(シルシ)。


 フルトインフェルノとは、3本150円の赤(ケチャップ)と黄色(マスタード)たっぷりの、長大カリカリソーセージの、超特盛り(・・・・)VER(バージョン)の事だ。

 30本で1200円(10800S$)とかなりの特価メニューだが、そのすさまじい見た目の分量に恐れを成すために、滅多に注文されない(出ない)。


 その山盛りのソーセージの乗ったデカイ皿を、リアル項邊(コウベ)の前へゴトンと置く驗(シルシ)。


「昨日、刀風(カタナカゼ)と話してたんですよ、項邊(コウベ)さん、すんげえがっかりしてたから、なんか奢ってやろって」

 少年は立派だった。気落ちした美少女成人女子生徒を元気づけてやろうというのだ。


「そうだぜ、ホントなら、自動学食捕まえて、もっと、ちゃんとご馳走したいとこだけど、今日は居ねーみてーだから、名物(フルト)で我慢してくれ」

 違うな、我慢ってのはカフェに失礼だ。

「言葉の文(あや)だぜ、気にしないでくれ」

 と人数分の取り皿を持ってきてくれた、ウェイトレスを手伝い始める刀風(いい男)。


 驗(シルシ)も、自動学食アプリを確認した。『出没予測……0%』。


「へー、それ、まだ動いとるん? ……自動学食アプリでっしゃろ?」

 やや、気落ちしてた項邊(コウベ)が、会話に参加する。


「え? 知ってるんですか?」


「だって、ソレ、……あてぇが作ったモンどす」

 頬を指先で掻(か)きながら、言葉をこぼす。


「「っへーーーーーーー! そうだったのーーー!?」」

 仲良く声を張り上げる、環恩(ワオン)と、驗(シルシ)。

 ”レタスたっぷりハムカツサンド”に伸ばした手は離さない。VR専門家兼大食漢(ササキワオン)。


「もぐもぐ……はんはひ仲良いと、……むぐっ……ひっぱたくわよ」

 ”カルボナーラとバニラアイスのセット”をパクついていた禍璃(マガリ)が、驗(シルシ)を睨んで、色めき立つ。

 驗(シルシ)は、項邊(コウベ)の前に、こんもりと積み上げてもまだまだ余る、長大なフルトを取り分けて差し出す。

「皆も、よかったら喰ってくれ、午前中、心配かけちまった詫びだ」


「当然ね。でも、項邊(コウベ)さんには、お裾分けしてもらう、お礼を言わなきゃ」

 禍璃(マガリ)は刀風(カタナカゼ)と驗(シルシ)以外には至って、礼節を重んじる性格である。話の流れから本当にそう思ったのだろう。

 それでも、項邊(コウベ)は、また少し、居心地悪そうにする。


「はっはっはっはっはー! 気にしないで良いよう! ドンドン食(く)ってくれい!」

 小鳥に寄りかかって、ふんぞり返る米沢首(ヨネザワコウベ)。

 その様を、ちらりと盗み見たあとで、「そうね、凄く美味しそう」と項邊(コウベ)VR設計師は気を取り直した風だ。自分の皿の、ホットケーキの一枚を手に取り、超長めのカリカリソーセージを、フォークで3等分して乗せていく。


「…………やっぱり、コイツ(・・・)の呼び方、考えねえと、紛らわしいすね」

 驗(シルシ)は、小鳥の首に噛み付いてる、小さい美少女に、眉をひそめながら、赤(ケチャップ)と黄色(マスタード)たっぷりの、長大カリカリソーセージに囓(かじ)り付いた。

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