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ワルコフに気をつけない  作者: スサノワ
13:サインオーガ爆誕!

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68/153

0・5:出た! キャラ設定ダイアログ

2016/08/23 9:52 ぐぐぐ。デカイ要素が後1個。よろしくお願いします。

 直径2メートルくらいの大きさの、真っ赤な血塗れ。

 なんかすっげえデケえ、丸いのが、壁から飛び出してきた。


「うっわうわうわっ!?」


 なんだよ! これ、楽しく無ぇー!

 コレゲームじゃん!? くそ!

 ようやく、ダイブオンしたってのによ!

 もう、眼と鼻の先に迫る赤くて血濡れの赤い球。


 飛んできた血しぶきが、俺の頭に降りかかる。

 俺の頭は解像度が高いのか、荒い粒子になったりしないで、そのまま額(ヒタイ)に垂れてくる。


 しかしデケエなあ。このワルコフの頭。俺のサイボーグ姿の全身、そっくり実物大で楽に写り込んでる。

 教室で飛びかかってこられたときは、もっとふつうに小さかった。

 あん時も、ワルコフの顔(バイザー)に俺の顔が写り込んでたっけ。


 ガキンッ!

 そう、あんな風に(・・・・・)、手甲からナックルガードを飛び出させて……


 ん? ナックルガード?

 目の前のワルコフの腕は付いちゃあ居るが、背後の胴体が付いた先、すっと後ろの方だ。


 それは、赤い半球状の水面(血だらけ)に写り込んでいた。

 全身が写り込んでいる俺の隣。降ってくる結構でかい鏡の破片も一緒に写り込んでる。その破片の中を、白い(ピンク色の)ワルコフが拳を伸ばしてくる。


 その放電が走る拳が、視界の隅で煌(きら)めく。


 俺は、教室で、コレをどうやって、躱(かわ)したんだっけ?

 ネゴシエイト中の意識拡張(ブースト)と意識閉塞(バイアス)がキツくなってきてる。

 なんか、ガラスの割れる音に混じって、すぐ後ろから、小さく怒声が届く。

 なんか、教室でも”何かしろ”って言われたような。

 なんか、なんだったっけ!?


 緩やかな曲面を描く、赤い板。表面を覆う赤い液体。巨大ワルコフのバイザーが、俺のオデコにぶち当たる。


 俺は、渋めの兄さん声で、「バ」って言った。

 ぶち当たる巨大ワルコフの頭を、少しでも避(よ)けようと、首を回した先に、デカ目の鏡の破片が浮いてる。

 ソコに移り込んでいる、白いワルコフ。俺と一緒に巨大血濡れに写り込んでた、小さい方のワルコフだ。返り血を浴びて所々、赤いし、バイザー自体も真っ赤だ。

 それでも、その顔の中央に描かれた白文字を、俺の(ハンサム)頭が、骨髄反射的に、読み上げた。

 なんか、まだまだ思い通りに動かせてねえけど、俺は、このハンサム顔が気に入ってきた。そいつが、わざわざ声にした『バ』を、無碍(ムゲ)にも出来ねえとか、『バ』って何だよとか、思ってたら思い出した。状況はそっくりじゃねえか。

 昨日有ったばっかだし、前回のワルコフ戦の、鮮烈さは忘れてねえ。

 いや、忘れてたけど―――


「―――トルレンダ起動!」

 もう俺の顔面は、顔面ワルコフにぶち当たってた。


 俺の顔面で支えられてる、巨大な顔面ワルコフと、その先に繋がってウネってる胴体。

 む?

 俺は体を後ろへ倒して顔を離す。


 ワルコフの頭は、巨大な光球に変化し空中で停止した。

 すぐ横のでかい破片の中のワルコフはワルコフのままだ。


 割れた分厚い鏡の向こうは、崩れたコンクリの壁だった。ソコから胴体が生えてやがる。

 鏡の厚さは、せいぜい、2メートルと言ったとこで、上げ底だった。


 そして―――


 ギュヴォンヴヴヴォンヴォン。

 また出た。何もセットされてねえ、リングアイコンみてえなヤツ。

 俺の胸の前あたりに、半透明の小さい丸が出てきて、ダイヤルっぽく、クルクル回る。

 第珊(さん)教室で、ワルコフの頭突きをかわした時の―――役立たず(・・・・)。


 違うか……コレを操作してる間、ワルコフの野郎に高負荷(・・・)を掛けられんのは、事実(ホント)だし、それだけでも大手柄だ。……大手柄なんだけどよ。

 相変わらず、遅延(レイテンシー)ゼロで|操作感は抜群に良い。クルクルと回転させて、選択されてる拡大された丸を叩けば、実行できる。

 そして、相変わらず、選択項目自体は無え(・・・・・・・・・)んじゃ、何も起こるワケが―――。


 ヒュリン♪

 バーン!


『キャラクタアカウント設定ダイアログ』 ヒョコッ♪

 出た。何でか出やがった。何も起こらねえのが俺のバトルレンダだと思ってたけど、空っぽを、くるくる回してる内に、その一つを選択したっぽい。

 そしたら、その空きスロットに、何故か、スターバラッドの、プレイヤーキャラクタの設定画面が、出た。


 割れた鏡は、空中で小刻みにブルブルして停止してっけど、ワルコフの光球は、その光の輪郭(大きさ)を、グワワっと急激に小さくしてる。


『作成したあなたのキャラクタに名前を付けて上げてください。』

 プレイヤーがキャラクタを設計した後、まず最初にする事は、プレイアブルキャラクターとしての名前(ID)登録だ。


 光球はドンドン小さくなってく。ワルコフはもうすぐ処理を再開すっだろう。この一瞬で、入力できる、キャラクターっぽい名前の心当たりは無えっ!

 いつも、どれだけ悩んで入力してると思ってんだ!

 『A』とか『ああああ』とかは、いやだ!

 けど、なんか、それなりのを入力して、キャラクタ設定、済ませちまわねーと、

 また、ここまでのを頭から、やり直させられたら皆にも悪りぃし……。うぐぐぐ。


 タン♪

 ええい、無えよかマシだ。

 フリック入力で最速のショートカット。押してはなせばネーム入力が決定される。


『SIg_』ビ。

『SIGN†Or_』ロ。

『SIGN†ORGE』ン。

 俺は、登録した。


 ”サイン、ダガー、オーガ”の入力で、”サインオーガ”って読む。

 真ん中の”†(ダガー)”は、最初、『SIGN☆ORGE』って入れたら、誰かすでに、そんな素敵ネームで登録してやがったから、仕方なく、使える記号の中から適当に決めたんだよな。


 コレは、VRーSTATI◎Nで連勝(ハイスコア)ネームを残すときの―――


 まだ視界のほとんどを締める、ワルコフの巨大な頭が光を失う。

 即座に迫る、赤い壁。再び顔面の半分にめり込む。

 せっかくのオニューの、基本ボディー(ハンサム)だけど、しゃーねー。

 コレは死ぬ(撃破される)か? でも、キャラ登録さえ出来りゃ、たぶん便利(マシ)にゃなるだろよ。


 ビビビッ♪

『同じアカウント名で、すでに登録済みの、サービスがあります。同期させますか?』

「え、なんだそれ?」

 このネーム入力(ショートカット)に設定してある、最後の決定(Enter)はトグルオーガの、連勝記録(ハイスコアネーム)エントリー(ダイアログ)を終了させる分の決定(Enter)が、追加で入れてあった。

 自動的に、選択されちまう。

 同じアカウント名で、すでに登録済みの、サービスに同期されちまった。


 視界を埋めて無え、もう半分。つまり、まだ見えてる方では、何でか、見覚えのあるような無えような光景が、繰り広げられてる。

 立体的に大きく割れた嘘つき鏡(・・・・)の中。白ワルコフが、霧になって霧散、霧が斑に変色し即座に凝縮する。

 ツルンとしたワルコフの頭に、艶やかな栗色の長い髪が生える。

 無機質で直線的な体が、華奢な、それで居て、それなりに凹凸のある体に引き締まる。先生の猫耳ヒューマノイドみたいな、SF風味で、ちょっと露出の高いコスチューム。後ろへ靡(なび)く、長い髪を、耳の後ろで纏(まと)めるように、出現した(現れた)赤いリボンで、自動的に結ばれ―――


 パリーーーーーン!

 ガシャララッ!


 清楚系美少女が、鏡をぶち破って、飛び出てきた。

 そのポーズはナックルで殴るワルコフそっくりだ。

 清楚系美少女は、引いていた側の手にナックルガードを装填(ロード)した。

 あー、なんか、ワルコフの洗練された感じのじゃなくて、鳥の足跡みてえな突起(ビス)がいっぱい付いてて、なんか火薬搭載型のブービートラップみたいに、チカチカ赤いランプが点滅してる。細く2つに纏(まと)められた髪の先に、火花が点る。

 ボシュシュルルーーーーーーーゥ!

 揺らめく火花は、推進力の増減や、ベクトルの偏向もできるっぽい。

 空中だってのに姿勢制御し(拳に乗せる重心を取っ)てやがる。実に頼もしいな。

 そのまま、俺に、のし掛かる、巨大赤達磨(ワルコフ)を迎撃―――


 あれ? おかしいぞ? ギリギリ見えてた、片眼に最後に飛び込んで来たのは、両目を真っ赤にした清楚系美少女と、ググンと迫る、ナックルガードの打突面。なんか火薬搭載型のブービートラップみたいに、チカチカ赤いランプが点滅して……。


 ドッゴッガアアアアアアアアアアアアァァァァァァァン!


 案の定、正当派清楚系美少女優等生風味のカミツキ・ガールは、―――

 ―――ワルコフじゃなくて、俺(・)に拳(ナックル)をぶち当てた。


 何故か轟くサウンド♪


『彼の地に万有が降り立ち―――』

 何この勇ましいナレーション?

 いつもの、初期フロア登場前のと、声が違う。


 ズムズムズムズム。


 えー? 最近のスターバラッドのキャラ登録には、こんなかっけー演出が付いてんのかよー? うふふー。

 ―――んなわけあるかい! コウベのやろうが、俺のこと撃破しやがったんじゃねえか!

 まあいい。どこに再生(リスポーン)される?


 目の前に、閃光のように、入るヒビ!


 パリン!

 なんかショボい感じで、画面全体が更新された。

 コレと比べたら、ワルコフ鏡面体(ミラー)の割れっぷりは、凄かったなーとか思った。


 薄暗い密林。地面からは10メートルくらい。飛び降りるには高すぎる高さが、どんどん降りていく。

 落ちている1メートルくらいのギザギザした円盤。


 俺の複製主観《コ・サブジェクティビティ》に視線制御(カーソル)が戻ってくる。

 ジジジジジッ!

 見えている視界に、稲妻で、一足先に、手足のシルエットが表示される。


 あの、落ちてるヤツは俺がぶち抜いた、初期フロアの床じゃん。

 顔の長い猫が、何匹か乗って遊んでる。ははは。


 ジジジジジッ!

 ジジジジジッ!

 俺の両脇にも、誰か電送されて、降りてくる。

 実体化するまで待たなくても、稲妻のシルエットで確認できた。


 右の方はデカイ頭に、モコモコした手足、背中に箱。

 左の方は、体の線がよくわかる。出るとこが出てて、耳の後ろでくくった長髪。

 まだ、トチ狂ってたら、今度は、俺も迎撃すっかな。


 なんか武器はねえかと思ったら、

 ヒュパパッパパパパパグイイイイイインンッ♪


 各種表示が点(とも)って、グリングリン動き出した。

「システムH(ヘッドア)U(ップディ)D(スプレイ)でた! やっと、スターバラッドっぽくなってきた!」


「よし、武器はー、……1個も無えな」

 辺りを見回すと、顔の長い猫が、なんか、見たことの無え、小さい振りのダンスを俺に披露している。

 何となく『上の方を、見てみたら良いんじゃないでしょうか?』って感じの控えめなダンス。

 ん? どーしたの? 俺も、そのダンス覚えなきゃな。

 コウベとワルコフにも、おまえ等の事、紹介してやらなきゃな~。



   ◇◇◇



 スタッ。スタッ。

 ジャングルへ降り立つ追加2名。


 上空を見上げる彫りの深い顔が、モコモコと泡立ち、しまりのない少年の様な顔に変形していく。

 その隣で、同じように上空を見上げる、栗色の髪の美少女と、宇宙服。

 後ろ髪を留めているリボン以外に、赤い色は無い。

 その涼しげな顔が、緊張の色を帯びていく。宇宙服の方は何故か嬉々として、バックパックから、棒を取り外している。


 上空から投げつけられる衝撃波(雄叫び)。

 ンギャオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオ!!


 凄まじい音圧だ。少年と少女は耳をふさいで倒れ込み。

 宇宙服は棒を落とし、真後ろに倒れた。

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