2:トグルオーガ その1
2017/01/11 5:41 室温13・5℃。でも超寒い。直接操作のための入力内容が少なかったので、増やしてみました。
2017/01/10 7:35 室温11・5℃。寒いですね。少し整えました。
2017/01/10 4:18 室温12・5℃。寒いですよ。文字数だけを見れば、珍しく丁度良く書けました。よろしくお願いします。
「フンッフンッフフッフンッ」
「ニャン、ニャニャーンッ」
「ニョロニョロニョロリッボワッ」
VRE研が居る、『デフォルトの出現地点』は、未来的なオブジェや建物が並ぶ公園。
その4ブロック隣という、結構近い地点に、トグルオーガ達は居た。公園から続く街道の最初の分岐点。森林エリアと、湖畔エリアへ道が分かれている、その真ん中の突き当たり。
切り株の上に、鎮座在している、初心者案内用のBOTプログラムを前にして、何かを、囁き合っている。
自動機械”赤点號”に似たフォルム。本体と支える3つ足、3足歩行の最小構成。
鮮やかなミントグリーンの筐体上部から、ネオンサインのように浮かび上がる、マンガの白い”フキダシ”。
見てくれと言わんばかりに、定期的に引っ込んでは再び膨らんで出現する、”会話を表す丸い下地”。
その中で1文字単位で回転する文面。
『オンライン・インフォメーション』
『初心者掲示板もあります』
『ランキング戦ハイライト』
『中ボス試験:ライブ中継、中断のお知らせ』
文字の回転にあわせて、次々と切り替わっていく案内内容の”見出し”。その早さに、トグルオーガ3体の視線が泳く。
自動看板の正面にいた、赤色に輝く二足歩行のトカゲが、何もない空中を見てから、『初心者掲示板もあります』の文字を指先で突いた。よく見れば、炎が弱まっているときの地肌は、黄色がかった白で、鱗の隙間から吹き出る炎が、赤く見せているのだと解る。鱗の一部と融合して背後に突き出た耳のように見えているツノに付けられているのは、ヘッドセットのようだ。蛍光イエローの表示が忙しなく動いていて、何かを聞いているのが解る。
中世の甲冑を着込み、もたげた首との、バランスをとるかのように、長い尻尾を水平に伸ばしている。
ヒュワワワワン。
コカカカカカッ。
スレッド一覧が表示され、掲示板を開いたNPCのID等が、自動的に入力される。
『@LV0:ラージ◆ケルタ』
その表示を確認し、眼を山なりに細めているトカゲ。自分の名前が表示されていることが嬉しいのかもしれない。
炎を操る爬虫類と言えば、”サラマンダー”の伝説が思い浮かぶが、ここ、スターバラッドの世界では、違うのかもしれなかった。
”一角獣”は現実世界の幻獣伝説の通りに命名されていた事を考えると、この炎を扱うトカゲとは別の、サラマンダーというボスモンスターが居てもおかしくはないが。
「ボッワ、ニョロロリレ?」
「ニャンニャッフー?」
「フンッフンッフンッ?」
赤光を放つトカゲは、両脇の2体と会話らしき物をし、再び、何もない空中を見てから、爪先で、1つの汎用掲示板を選択した。
◇◇◇
ドンッ!
ジジッジギャリリィィィィィンッ!
体表面を流れる放電が、幾重にも軌跡を残していく。
暴風になびく少女の鼻を、発生するオゾンがくすぐる。
ぶえっくし!
ドゴンッッドゴンッッドゴンッッドゴンッッ!
カタカタカタカタンッ
タイル敷きの街道が、15メートルごとに踏み抜かれる。
ひび割れ、穿たれた穴から、光の粒子を放ち再定義されたのは、宇宙冒険喝檄のメインヒロイン、PLOTーANのレリーフ。
交互に埋められている、REVOLVER-SWORDのレリーフは、歩幅の関係上無事だ。
そして、コウベの瞳が、見据えるのは、おそらく、公園で探査した、”トグルオーガ”達の現座標。つまり、街道を逸れて、街道沿いの建物に、急接近しているのは、この真っ直ぐ向こう側に、奴等が居ると言う事だ。
「とまれっーーー! 壁だぜっ!? ぶつか―――」
刀風の顔の横に見えている”太さを増していくタイプの数値表示”。彼の主観に、出現した詳細な移動速度は、本来、高速移動体を操縦するときに表示されるべき物だ。
乗り物の巡航速度は、時速230キロ。
新米NPC米沢首は、身体操作系のポテンシャルを、理論値を凌駕する上昇率で、発揮していく。
「ギャッ?」
掴んだ魔女っ娘刀風少年を振り返る、SFピタピタコスチューム姿の、美少女。耳の後ろで括られたお下げが、暴風に煽られる。但し、腰下までの長さは戻っておらず、せいぜい、肩くらいまでの長さ。
もし、”余剰リソース開放”したとしても、即座に燃料切れになってしまうだろう。
背後に迫る、煉瓦作りの壁に背を向け、コウベは刀風を引き寄せた。
◇◇◇
―――Httpqs:/nFAI/FRAMEーCONNECT―――
#import”SRssClass.h”
<!ーー軸索さんフレームAIコネクト>
@interface 3DViewer()
@end
@implementation 3DViewer
-(void)viewDidLoad{
[super viewDidLoad];
SRssClass *srssClass = [[SRssClass QBalloc]{nFAI | SCHEMA}[IF NOT EXISTS]軸索さんFRAME];
[srssClass @検索ワード{”トグル*オーガ” +”稼働中”}]
}
コカカカコカカカ。
『_』を開き、フレームを直接操作するコマンドが簡易入力される。軸索さんに実装されている”構文AI”が、そのやや乱暴な、新旧の構文が混ざった命令を、苦も無く受け付ける。
カチリ。開かれる、積層タイプのタイムライン。
軸索さんの機能、検索項目に関するAIに依るまとめページ内部での、全フレーム横断タイムライン表示。
トカゲは人差し指1本で、それなりに複雑な操作をしている。
半開きの口から細い炎を吐き、グルルルルと唸っている所を見ると、『_』への直接のコマンド入力は、得意では無いようだ。
ポンッ♪
自動生成され表示された、トグルオーガ関連の本スレは以下のような物だった。
『【彼の血に】トグル<鬼>オーガ:最終調整Ver49【蛮勇が降り立ち】(A3:171)』
A3:132:鬼さんコチラ:2015/12/22(火)05:59:12:35
ID:■■ー■■■■■
そもそも対人戦しようにも、稼働中の”オンステージ”ってある?
A3:159:鬼さんコチラ:2015/12/25(金)08:05:18:03
ID:@■■■■†■■■■
>>132
無いよ。生きてる筐体が、VRーSTATI◎N特区本店地下の1セットしかないと思われ
”積層パネルタイプの基盤”なら、まれに出るけど高額
対戦環境再現出来んから、事実上全滅と言って良い
現行の対戦用ライブラリが軒並み、”スターバラッド準拠”になっちまったのがでかい
A3:160:鬼さんコチラ:2016/01/03(日)17:48:02:55
ID:■■■■■■
同じ開発元なんだから、トグルオーガの通信対戦規格(VSプロトコル)だけでいいから解放してくれりゃいいのに
A3:162:鬼さんコチラ:2016/01/10(日)06:06:28:00
ID:@■■■■■_■■
オフステージしかねーのはキツい
鋤灼Pは、フルダイブ格闘に批判的なんだっけ?
A3:165:鬼さんコチラ:2016/01/10(日)07:55:19:41
ID:@■■■■☆■■■■
>>162
違う、乗り気なんだけど、事あるごとに上層部からの待ったが掛かって、今、ベータテストが無期延期中
A3:170:鬼さんコチラ:2016/02/28(日)11:15:50:01
ID:■■■■Orz
ぐぬぬぬぬ。格ゲー、冬の時代再び
A3:171:鬼さんコチラ:2016/02/28(日)11:15:50:03
ID:@■■■■■AN
世知辛い
◇
チョロロロッ。
狛丑の視界の隅を、惑星ラスク最弱と謳われる、”ラケルタ”が横切っていく。
ちょうど小鳥と同じくらいの、確認サイズで実物大。小さなトカゲの風貌は、掲示板操作中の”ラージケルタ”と瓜二つだった。
ただ、こっちのトカゲは、尻尾を入れたら全長4メートルはある。その大きさだけでも、とても最弱とは呼べない。しかも、”トグル<鬼>オーガ”という格闘ゲームの最終調整バージョンにおける、”キャラ性能ダイヤグラム”で、パワーファイタータイプの狛▼丑よりも上位に着けているほどの高性能キャラだ。余計に最弱とは呼べないであろう。
フォォォォォンッ! ドドドドドドドドドドドドドッ!
予備動作なしの、急加速を見せる、ショルダータックル。
青い軌跡を幾重にも描いて、逆算角形が、小さなトカゲを、追跡開始。
それを眺めていた、”オウガ▲▲ニャン”は、ため息を吐き、ホルスターから、極太の短剣を抜いた。
両サイドのトグルオーガが居なくなって、1体だけになってしまったトカゲ。
特に気にせず、スレッドをスクロール。
おぼつかない指先の動きとは裏腹に、結構なスピードで読み進めていく。
◇
―――Httpqs:/nFAI/FRAMEーCONNECT―――
#import”SRssClass.h”
<!ーー軸索さんフレームAIコネクト>
@interface 3DViewer()
@end
@implementation 3DViewer
-(void)viewDidLoad{
[super viewDidLoad];
SRssClass *srssClass = [[SRssClass QBalloc]{nFAI | SCHEMA}[IF NOT EXISTS]軸索さんFRAME];
[srssClass @検索ワード{”トグル*オーガ” ”キルイメージ”}
]
}
コカカタン。
『_』が開かれ、フレームを直接操作するコマンドが、再度、簡易入力された。検索内容以外は、使い回しのためか、即座に終了する。
カチリ。開かれる、積層タイプのタイムライン。
ポンッ♪
次ぎに、自動生成された、検索結果は以下のような物だった。
『【猫耳拳聖】にゃんばる喰いな:18杯目【公式】』
A4:31:ねぇー、君ぃー? クエストォ行かなぁーい?:2016/06/19(日)10:01:03:59
ID:@■■■■Orz
スタバ内で、トグルオーガの良くできたプレイヤー外装、見かけたって本当?
A4:32:ねぇー、君ぃー? クエストォ行かなぁーい?:2016/06/19(日)10:04:43:21
ID:■■■■■
”中ボス試験のライブ中継”に乱入して来たの見たけどNPCっぽい
A4:33:ねぇー、君ぃー? クエストォ行かなぁーい?:2016/06/19(日)11:15:12:35
ID:@■■■■†■■■■
つうか、今、そ れ で 中断してるっぽい件;
A4:34:ねぇー、君ぃー? クエストォ行かなぁーい?:2016/06/19(日)11:15:12:37
ID:@■■■■■AN
ウケるw
◇◇◇
振り向いた、米沢首の体が、視界から消える。
小柄な魔女っ娘は、上空へ放り投―――射出された。
そう、この円の動きは、巴投げである。
腹に右足裏を当てられた瞬間、魔女っ娘の顔が青ざめた。
なぜならば、右太股から急速に集まってくるオレンジ色の放電で、右足がヴァリヴァリッと輝いていたからだ。
「鋤灼ィー! 助け―――!」
コウベ&刀風コンビは、まだ、映像空間を開いていない。
◇◇◇
「んー? 誰か呼んだー?」
「ピピチュイッ?」
鋤灼驗少年は、弾道飛行中の旧友の声を聞いたような気がしたが、気のせいだった。
上半身を起こして、胡座をかいてみたが、光弾が飛んでくることは無く、体を伸ばしてあくびをする。
再び、寝転がり、構えた探査棒に、小鳥がちょこんと止まった。




